国立の美術館などの入館料について、外国人観光客と国内客に差をつける二重価格の導入が検討されています。
二重価格を導入する動きは、日本の観光地で広がっています。
トラブルを防ぐ方法など、課題についても見ていきます。
■日本で広がる二重価格 姫路城“外国人料金”検討も見送りに
2025年の訪日外国人観光客は約4270万人で、初めて年間4000万人を突破しました。
訪日外国人の旅行消費額は約9. 5兆円と、こちらも過去最高となりました。
こうした中で、国立美術館・博物館では、
●全体の7割以上が収入の半分以上を公費に頼っていて、
●外国人向けの多言語対応の費用が増えています。
そこで政府は、2026年度からの計画に、『訪日客の二重価格の設定』などの記載を求める方針です。
外国人観光客の料金はいくらになるのでしょうか。
東京国立近代美術館の場合、運営費をすべて入場料で賄うには、
一般料金 1500円
外国人料金 4000円
と、試算しています。
世界遺産の姫路城でも、二重価格の検討です。
修繕などの経費が増えています。
そこで、大人1000円、小・中・高校生300円という現在の料金を、3月1日から18歳以上の市民は1000円、18歳以上の市民以外は2500円に改定します。
18歳未満は、市民・市民以外を問わず全員無料です。
「外国の人は30ドル(約4800円)払っていただき、市民は5ドル(約800円) くらいにしたい」と発言していましたが、断念しました。
なぜ、断念したのでしょうか。
外国人観光客か判断が難しく、窓口対応で時間がかかり混雑が予想されたためということです。
新たに導入する市民料金は、マイナンバーカードなどを使って確認する予定だということです。
■導入飲食店では外国人客から批判 日本語話せば“割引”も
二重価格の飲食店での実例です。
『国内在住割引』を導入した、渋谷にある海鮮バイキングのお店です。
2024年にオープンし、日本在住は5478円から、外国人観光客は6578円からという二重価格を導入しています。
導入の背景です。
オーナーによると、海鮮バイキングはインバウンドに人気の業態ですが、日本語が話せないお客様には食材や食べ方の説明などに時間かかり、人手が必要となります。
そのため、最終的に人件費が増えて価格も上昇します。
「全体の2〜3割が外国人観光客。これ以上増えると、より人手が必要となり、料金を上げないといけない。それは避けたい」ということで、二重価格を導入したということです。
お客さんの来店時の対応です。
【予約客の場合】
●国内向け予約サイトでは、『通常価格』『国内在住値引き』の2つを表示していますが、
●外国語版予約サイトでは、割引の方の表示はありません。
【直接来店した場合】
日本在住の外国人客と、日本語が話せる外国からの観光客は割引されます。
だた、SNSでは批判コメントも見られます。
●外国人とみられるアカウントから、
「今すぐ二重価格をやめるか、店を閉めろ」といったメッセージが届いたり、
●店の口コミに「人種差別だ」というコメントをされたりするそうです。
「二重価格の理由を丁寧に説明しても、一定数不満に思う方がいる可能性がある。価格の決め方・提示の仕方が非常に重要」ということです。
■世界の二重価格 有名遺跡で外国人は50倍!?
エジプトにあるギザのピラミッドは、エジプト国民は約200円ですが、外国人は約2400円と12倍です。
インドのタージ・マハルは、インド国民は約90円ですが、外国人は約2000円と22倍です。
ヨルダンのペトラ遺跡は、ヨルダン国民は約220円ですが、外国人は約1万1200円と50倍もの差があります。
■ハワイ『住民優先』 在住者だけ割引 文句出ないワケとは
二重価格、人気観光地ハワイの状況です。
ハワイには、『カマアイナ割引』という制度があります。
ハワイ在住者が運転免許証や州のIDカードを提示することで、ホテル・レストラン・テーマパーク・水族館・博物館など、幅広い施設で割引を受けることができます。
ハワイのレストラン『ハードロックカフェ』では、州のIDを提示することで、食べ物やグッズが15%割引になります。
アルコールは対象外です。
では、どのように二重価格を表示しているのでしょうか。
メニュー表には通常価格の1つのみで、二重価格に関する情報は一切ありません。
「ハワイ在住者は、カマアイナ割引があるのをみんな知っているので、特に宣伝はどこにもしていない。割引があるかは客が聞いてくる」と話しています。
実際、どのくらいお得になるのでしょうか。
ベイビーバックリブは、通常価格が約6300円ですが、ハワイ在住者は約5300円です。
(※別途、州税4. 70%がかかります)
クラシック・バーガーは、通常価格が約3300円ですが、ハワイ在住者は約2800円です。
(※別途、州税4. 70%がかかります)
「観光客から文句を言われたことはない」と話しています。
なぜ、ハワイでは、二重価格が浸透しているのでしょうか。
「観光客の多くは、ハワイの自然や文化を求めて訪れていて、『ハワイを守る』『責任ある観光』という意識が広がっている。自然や文化を守るための費用負担としての二重価格を理解し、受け入れる土壌がハワイでは形成されている」といいます。
ハワイの二重価格の成功について、城西国際大学の佐滝教授の分析です。
1つ目は、割引を受けたい側が自ら証明責任を負っていること。
2つ目は、国籍ではなく、居住で割引を行うこと。
3つ目は、行政主導ではなく、民間事業者が自主的に採用する割引制度であること。
この3つの要素が組み合わさることで、二重価格が浸透していったいうことです。
■アンコールワット マチュピチュ 二重価格が浸透 成功の秘訣
二重価格が受け入れられている、世界の有名観光地です。
1つ目は、カンボジアのアンコールワットです。
1992年の世界遺産登録時から二重価格を導入しました。
入場料はカンボジア国民は無料、外国人は約5900円です。
12歳以下は無料です。
アンコールワットでは、なぜ二重価格が浸透したのでしょうか?
カンボジア国民は、仏教のため、日頃からアンコールワットを参拝をしていて、毎回支払うのは難しい。
外国人観光客は、観光料金を支払うのは当然と思っているということです。
「現役の宗教施設のため、観光客も宗教的・文化的背景を理解したうえで訪れることから、二重価格に対する理解が進みやすい」
この二重価格で得た収益は、遺跡の修復や職員・遺跡管理者の給料など、遺跡の保存・維持費用を賄うために使われます。
さらに、チケット1枚につき2ドルが、地元の小児病院の支援にあてられるということです。
二重価格が定着した観光地2つ目は、ペルーのマチュピチュです。
ペルー国民は約4000円ですが、外国人は約9000円です。
3歳未満は、国籍を問わず無料です。
この二重価格導入の収益は、遺跡の保全管理や考古学者・保存(修復)管理者・警備員・清掃員の人件費など、遺跡の日常的な維持管理にあてられているということです。
「その国の代表的な観光地や、高くても行きたいと誰もが思える場所には、観光客から納得を得られやすい」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年1月23日放送分より)










