経済

ABEMA TIMES

2026年1月24日 14:00

「食料品の消費税ゼロ」で本当に国民は救われる?経済専門家が指摘する疑問点の数々「説得力のある財源がない」「今、そこまで必要か」界隈では実質賃金上昇の見込みも

「食料品の消費税ゼロ」で本当に国民は救われる?経済専門家が指摘する疑問点の数々「説得力のある財源がない」「今、そこまで必要か」界隈では実質賃金上昇の見込みも
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 23日に衆議院が解散された。27日に公示、2月8日に投開票というスケジュールで選挙戦が繰り広げられるが、各政党が軒並み打ち出したのが消費減税だ。期間限定、あるいは恒久的、食料品のみを対象など手法は様々だ。物価高に苦しむ生活者を救うように見える政策だが、果たしてその実効性と持続可能性はどこまで担保されているのか。「ABEMA Prime」では、経済専門家や小売店で働く当事者を招き、消費減税を巡る議論を展開した。

【映像】世界の食料品消費税(比較表)

■与野党が競う食料品の減税策

各政党の消費税政策

 現在、主要政党の公約には、消費減税について似通った文言が並んでいる。中道改革連合の本庄知史共同政調会長は「食料品消費税ゼロ実現を具体的にすぐにやると言っているのは中道だけ」と述べた。また自民党の小林鷹之政調会長も「飲食料品については2年間に限り消費税の対象としないことを今後、国民会議において財源やスケジュールのあり方など実現に向けた検討を加速する」と語った。

 この状況について、第一生命経済研究所の主席エコノミスト・永濱利廣氏は、各党が掲げる数字の現実味について「同じ消費減税といっても、必要な財源が全く違う。例えば、食料品(の0%)だけであれば年間5兆円で済むが、一律5%だと15兆円。消費税廃止だと31兆円かかるので、現実的ではない」と指摘する。さらに、このタイミングでの各党の足並みの揃え方には「高市政権の政策がマーケットから少し誤った認識をされ、金融市場が混乱している。少なくとも国債に依存しない形でやらないと、結構まずい。本当に、100%(消費減税を)やるかというと、まだ懐疑的だ」。

 実務を担う現場からは悲鳴も上がっている。横浜市のスーパー「セルシオ」の鶴田英明店長は、減税による消費拡大への期待と、現場を襲う事務作業の膨大さの間で揺れる胸中を明かした。「(食料品の消費税が)8%が0%になったら、単純に普段買ってるものを安く買えるので、消費動向はよくなる。当店は1万点から2万点ほどアイテムを揃えているが、表示されている税込み価格を全て消し込む作業が必要になる。レジのシステム改修費は、当店はもともとシステムを導入してるのでいいが、一般的には10万円や20万円かかってしまう可能性もある」。

 鶴田氏が特に懸念しているのは、一時的な減税によって現場の労力が搾取されることだ。「いち消費者として、普段の買い物が安くなるのはとてもうれしい。ただ、現場の人間としては1万点、2万点のアイテムのプライスを変えるのは頭が痛い。人件費も5年前と比べると20%以上は上がっていて、事務的な労力が発生してしまい、かなり現場は疲弊している」。

■専門家が疑問視する「今、やる必要性」

消費税

 永濱氏は、現在の経済指標を冷静に分析すると、無理に消費減税を強行するメリットは薄いと分析する。「1年前であれば、食料品の消費減税はしてもいいかなと思った。1年前はまだ石破政権で財政運営が緊縮で、国民負担もかなり高まっていた。ただし、高市政権になって『責任ある積極財政』としてかなり減税ができている。かつ、エコノミストの予測だと、今年はおそらく実質賃金がプラスになる。それはインフレが落ち着くから。この状況を考えると、さらにあえてそこに消費減税をする必要性があるのか」。

 物価高の要因となっていた食料品価格も、今後は落ち着く兆しがあるという。「去年、インフレ率は3.1%だったが、半分以上が食料品だった。でもコメの価格は、かなり売りの段階で余っているようで、さらに世界的に小麦の値段も5年前の水準ぐらいまで下がっている。その影響で、実際に年明けから業務用の小麦の値段も下がり、そうなるとパンや麺類の値上げも落ち着くし、上昇ペースが下がる。賃金はたぶん2%以上は上がるので、実質賃金はプラス。その状況の中で、あえて無理して(消費減税を)やる必要があるのか」。

 何より深刻なのは、消費減税をする上での財源の不透明さだ。「ムダな基金など効率化したりなど様々な案があるが、いま各政党を見ても説得力のある財源を言っているところはほとんどない」と問題点をあげた。

 また フリーアナウンサーの柴田阿弥氏は「すごく選挙前を感じる話題。消費税減税は、すごく生活者にとってわかりやすいが、社会への影響は大きい。どの層をターゲットに誰を助けたいのか。せめて丁寧に試算は出さないといけない。減税したら社会にお金が増え、社会は回っていくというが、(減税分を)戻す時にどうするかなど、社会への影響はちゃんと試算しないと、ちょっと不親切というか、ポピュリズムだと思う」と語っていた。 (『ABEMA Prime』より)

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