通常は立ち入ることのできない場所を巡るツアーが今、人気になっています。客室乗務員の仕事の裏側を見るツアーや、「東の軍艦島」と呼ばれる人工の島を訪ねるツアーなどがあります。
CA訓練施設で特別体験
「なかなか行けない所ですよね。なので貴重だなと思って」
「若い時はやはり憧れもありましたので、こういう機会があってとてもうれしいなと思って、参加させていただくことにしました」
東京駅に集まってきたツアー参加者がバスで向かったのは、普段は入れない特別な施設です。
「こちら日本航空のテクニカルセンター、客室乗務員、運航乗務員、地上スタッフ、すべてのものが訓練を受ける施設です」
到着したのは、日本航空第一テクニカルセンター。施設内には…外は普通の部屋のように見えますが、飛行機内部をそっくりそのまま再現した部屋があります。ここで日々、日本航空の職員が訓練を行っています。もちろん一般の人は普段、立ち入り禁止です。
永井綾さん
「私たち客室乗務員が、離陸と着陸の際に着席しておりますこの座席に、本日は皆様にお座りいただきたいと思います」
案内してくれるのは客室乗務員歴17年の永井さん。国際線のファーストクラスの乗務経験もあるベテランで、これまで多くの後輩を育成してきました。
そんな永井さんの指導のもと、体験するのは救命胴衣を実際に膨らませたり、ドリンクサービス体験も。
「実は私たち止める時に車輪の向き、決まっております。万が一、このカートがお客様の方に倒れてしまったりしないように、この車輪が後ろにあることで安定いたします」
車輪が進行方向と逆になるよう、止めたい場所を一度通り過ぎてから、引き戻してカートを止めているといいます。普段飛行機の中で目にするものの、まず触れることはない、ドリンクカート。アドバイスを参考にして、動かします。
「本日はご搭乗ありがとうございます。お飲み物は何になさいますか?」
「お召し上がりくださいませ。ごゆっくりお過ごしください」
「夢かなった」英語教師
そして、CAの花形業務といえば、離陸前に必ず行われる「機内アナウンス」。
参加者は普段座ることのできないCAシートに座ってチャレンジします。
参加者が次々とアナウンス体験を行う中、並々ならぬ思いで参加した客がいました。
「YouTubeで練習したやつなので」
「(Q.練習してきた?)少し」
かつて、CAを目指していたという湯村さん。そのために勉強した英語を生かし、現在は英語教師を務めています。そんな湯村さんに順番が回ってくると、得意の英語で堂々のアナウンスを披露。
「素晴らしい!すごくお上手でしたね」
「(Q.夢がかなった?)そうですね。一つはかなったかな」
そして最後は、ビジネスクラスでしか食べることができない特別な機内食を堪能。普段は立ち入れない特別なツアーは約3時間に及びました。
「もし客室客務員になっていたら、こういうふうにやっていたんだろうなっていうのを思い浮かべてやっていました。絶対個人では入れない場所に来られて本当に幸せです」
ツアーの企画担当者・はとバス広報室の竹下成美主任はこのように話します。
個人で上陸不可 海上要塞
国土交通省によると、空港やダム、橋や地下施設など普段は行けないインフラ施設を観光資源としたツアーの参加者は、2017年から2023年の間に倍増しました。
こうした中、かつて立入禁止だった場所へのツアーも。
「建物の方が好きなので、今回明治の跡が見えるっていうことで、ちょっと魅力を感じました」
「個人では行ける所じゃないっていうことなので、これは機会を逃してはいけないかなと思って」
横須賀にある船着き場からツアー客が目指したのは、東京湾のほぼ中央に浮かぶ人工島・第二海堡(かいほう)。首都・東京を防衛するための海上要塞として明治から大正時代にかけ建造され、“東の軍艦島”とも呼ばれています。
ツアーでは、そんな第二海堡と神奈川県横須賀市にある千代ヶ崎砲台跡を約8時間をかけ巡ります。
安全上の理由から長らく立ち入り禁止だった第二海堡。2019年からツアーでのみ上陸可能になりましたが、いまだ個人では上陸できません。そのため、オンライン地図を使い、“予習”をしてから来る人もいました。
「ずっとGoogleMapとかで見てたんですけど。上からはずっと見ていたんですけど」
「目前にしてわくわくしています」
いつも地図で眺めていた島についに足を踏み入れる瞬間が…。
意外なフォトスポット
幕末、かの有名なペリー艦隊いわゆる黒船が来航。幕府は海岸防衛の必要性を認識します。明治新政府になると、当時、陸軍元帥だった山縣有朋が日本列島の要所に砲台を築くことを提案。東京湾沿岸に砲台を備えた海堡が次々と造られていきました。
第二海堡の建設過程には、日清戦争や日露戦争が勃発。工事中にもかかわらず、防衛の一端を担いました。そんな歴史の息吹は随所で感じられます。
「まずはみなさま第二海堡上陸おめでとうございます。というのもこの第二海堡、催行率めちゃくちゃ低い。3回に1回は欠航になってしまう。ですからきょう1回で来られた方ラッキーですよ」
個人では行けず、上陸するのも天候次第という、まさに運に左右される第二海堡。そんな簡単には行けない所で意外なフォトスポットになっていたのが、普段立ち入ることができない特別感が演出できる「立ち入り禁止の看板前」です。
「立ち入り禁止の所に入っちゃったって感じしますね」
「この護岸をご覧いただきたい。これ間知石(けんちいし)といいます。なんとこの一つの石、1トンぐらいあるんだそうです」
当時の職人たちによって伝統的な建造技術で作られた護岸は、関東大震災でも崩れなかったといいます。
当時は建造技術が発達していなかったため、伊豆方面から集めてきた石を船で運び、水深10メートル以上の海底に一つずつ投げ入れる、という気が遠くなるような方法で25年の歳月をかけて造られました。
さらに、島のシンボルとなる灯台がある場所は…。
かつては外国の艦船から首都を防衛するため、島全体には9基の大砲が配備されていました。実戦で使われることはありませんでしたが、第2次世界大戦後、アメリカ軍によって接収され、砲台やレンガ構造物などが爆破されました。
実は有名映画のロケ地
歴史の面影を感じ、ツアーを満喫する参加者たち。意外なことにも心を躍らせます。
「映画のロケ地にもなりました。松田優作さん有名ですよね。松田優作さんが出ている『蘇える金狼』なんとここで撮影された」
「『蘇える金狼』のレコードジャケット、ここで撮られています」
約1時間かけて“個人では行けない島”第二海堡を堪能したツアー客。
「普段立ち入れない所に入れて、見ることもできて、とても有意義だったと思います」
「上陸してみて、新しく分かったこともありましたし、実際に見てみることでスケールとかも分かったりして、非常に面白かったです」
(2026年1月28日放送分より)














