顧客による暴言や理不尽な要求、カスタマーハラスメント、いわゆる“カスハラ”。苦情を寄せた相手の怒鳴り声を、AIを使って「ソフトな声」に変換する新たなサービスが始まった。
「心の盾として」
「この前買ったテレビなんだけど、いらなくなったから返品させて!とにかく、全額返金して!」
客からの暴言や理不尽なクレーム、いわゆるカスハラ。電話応対での被害を減らすべく、新たなサービスが2日から始まった。
ソフトバンクと東京大学が共同開発した技術で、パソコンなどにアプリケーションをインストールすることで、AIが怒っている声を穏やかな声に変換するという。その名も「ソフトボイス」。
「とにかく、全額返金して!はあ?もうあんたじゃ話にならないから!責任者に代わって!」
この音声が、どう変わるのか?
「とにかく、全額返金して。はあ、もうあんたじゃ話にならないから、責任者に代わって」
違うシチュエーションでは…。
「だいたいそっちが絶対後悔しないとか言って、買わせたんだよね!いや、返品できないなら、そんな売り方しないでよ!」
「だいたいそっちが絶対後悔しないとか言って、買わせたんだよね。返品できないなら、そんな売り方しないでよ」
金切り声などに威圧感を感じるオペレーターが、相手の声を6種類の声色の中から選んで、切り替えることができる。
「いやいや、それって毎回じゃないですか」
ソフトボイスをオンにすると、“穏やかな声”に変換。
「想定外想定外って、それ、ただの準備不足じゃないですか。本当、時間も気持ちも全部無駄にされた気分」
さらに、暴言や長時間にわたる場合は、自動音声で相手に警告することもできる。
2日からサービスが開始され、価格は月額5万円。主にコールセンターや小売店などでの活用が想定されている。
中谷敏之担当部長
「このSoftVoiceを、従業員の心の盾として利用してもらえれば。カスハラ対策が当たり前の社会にしたい」
介護業界では懸案事項も
カスハラを巡っては、こうしたAIによる変換ソフトの導入など、従業員を守る対策を義務づける法改正が今年10月に施行される見通しとなっている。
10月1日に施行予定の「改正労働施策総合推進法」では、カスタマーハラスメント対策を講じることが義務付けられているが、具体的には下記がある。
・事業主の方針等の明確化・周知・啓発
・相談・苦情への対応整備
・カスハラ相談への迅速かつ適切な対応
・カスハラ抑止のための措置
そんな中、厚労省の部会では、介護業界でのカスハラについても議論が進んでいる。
介護業界における従業員を守る対策は、セクハラ・パワハラについては義務だが、カスハラ対策は「推奨」となっているのが現状だ。改正労働施策総合推進法の内容等を踏まえ、すべての介護事業者に対してもカスハラ対応の義務付けを行う見通しとなった。
しかし、介護業界にも特有の事情から懸案事項も挙がっている。
厚労省の部会では、「介護サービス利用者の多くは認知症や精神疾患を抱え、一般的な消費者としてのカスタマーとは違う。病気や障害の特性により大声を出すなどの場合がある。対応マニュアル作成の際は、要介護者の特性に最大限配慮した内容と、適切な判断が望まれる」と指摘する声が出ている。
(2026年2月4日放送分より)







