2月24日から国会では、各党の代表質問が始まり、高市総理が施政方針演説で言及した『働き方』についても論戦が交わされました。
高市総理が検討を進めるとした『裁量労働制の見直し』や『テレワーク』のメリット・デメリットについて、みていきます。
■裁量労働制の見直しへ “柔軟”だけど“働かせ放題”懸念も
「働く方々のお声を踏まえ、裁量労働制の見直しに向けた検討を進めます」として、対象職種の拡大も念頭に議論する方針を示しました。
「働き方の実態とニーズを踏まえ、運用と制度の両面から議論を進める」としました。
見直しが言及された裁量労働制とは、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ企業と労働者で決めた時間を働いたものとみなして、その分の賃金を支払う制度です。
例えば、みなし労働時間を、企業と労働者が『1日10時間』と定めた場合、実際に働いた時間が8時間でも12時間でも、10時間分の賃金が発生します。
裁量労働制のメリット・デメリットです。
メリットは、仕事の進め方、出社・退社時間などは労働者に任され、柔軟で自律的に働ける点です。
一方でデメリットは、実際に働いている時間の把握が甘くなり、長時間労働助長の懸念があります。
また、『定額働かせ放題』という声もあがっています。
実際に、裁量労働制で働いている広告会社に勤める30代男性は、見直しに危惧を抱いています。
今も前の仕事も同じ職種『広告会社のクリエイティブ職』で、裁量労働制で働いていました。
「前の職場がひどく、アクの強い上司の言うことが絶対だった」ということです。
その上司は50代で、
「頭がクリアなのは午前中」
「やる気のあるやつは朝早い」
という考えで、その影響により、雨の日も雪の日も午前9時出社が普通でした。
10時を超えると、なぜか遅刻扱いになったということです。
もともと、クライアントの事情で、業務の時間帯が左右される職種だということですが、加えて、上司の都合で、チームミーティングは午後6時からで、こぼれた業務は土日に行うことになっていたということです。
この男性の当時のみなし残業時間は30時間でしたが、実際の残業は60〜80時間だったということです。
「サービス残業がすごすぎて、身体も生活も大変だった」と話しています。
一方、見直しに賛成の、税理士法人を経営する50代男性です。
「裁量労働制を広げることに賛成。従業員は時間制だが、データ入力など期日までにしっかり結果を出してもらえたら、自由な時間で仕事してOK」と話しています。
「子育てなどプライベートも充実させたい」と、導入を求める声が出ているということです。
そして、制度の見直しが「日本経済のためにもなる」と考える人もいます。
「裁量労働制の職種拡大には賛成。向いていない職種や人はやらなくて良いが、選択できる世の中になればいいと思う」
「時間や残業より成果、これを評価軸でやっている環境のほうが幸福度が高いし、日本経済のためになっていると思う」としています。
なぜ、今見直しを検討するのでしょうか。
日本は人口減少に直面しています。
経済界や政府は、企業の成長を図るには、1人1人の生産性(働く人が生み出す価値)を高めることがカギとみていて、そのため、働き方の見直しが議題にあがっています。
■リモートから出社回帰で商談成約率アップ 一方で離職増も
今、リモートワークから出社回帰の流れが起きています。
リモートワークを続けることで、
▼コミュニケーションが希薄になった
▼新人育成がしにくい
▼従業員の生産性が全体的に低下した
▼チームの一体感が薄くなった
という回答が上位にきています。
実際に出社の頻度を増やした、都内の人材コンサルティング会社です。
コロナ禍で社員全員が、リモートワークになりましが、『出社したくなる空間』にするため、内装工事に約2億円費やしたオフィスに移転しました。
その後、90%以上の社員が出社するようになりました。
出社する人数が増えると、新入社員の教育環境も良くなり、商談での成約率も、リモートに比べ対面だと4倍に増えたということです。
一方で、IT企業でリモートワークをしている従業員に対するアンケートで、今後、出社先が出社回帰を打ち出した場合、「同職種での転職を考えるきっかけになる」と回答した人が43. 7%です。
「原則出社にした後、従業員の離職が増え、慌ててリモートを増やした企業もある」ということです。
■出社×リモート“ハイブリッド”の働き方 社員意識に変化は
出社とリモートをうまく組み合わせた、ハイブリットワークの形態をとっている企業も増えています。
大手菓子メーカーのカルビーは、コロナ禍の2020年7月から、原則モバイルワーク(リモートワーク)という方針をとりました。
コロナ終息後もその方針を続けましたが、管理職の人が、「きょうは、顔を合わせて話そう」と提案して、社員から、「会社のルールは原則モバイルワークですよね?」と出社を拒まれるというやりとりも見られたということです。
「原則モバイルワークという言葉に縛られ、『家にいなければならない』と思い込む人や、その言葉を盾に出社を拒むようなケースも散見されるようになった」として、2025年5月から、リモートワークと出社を組み合わせたハイブリッドワークの方針に変更しました。
「出社とリモートワーク、それぞれにメリットがある。社員一人一人が『自律的に』考えて活用してほしいため、ハイブリッドという形にした」と話しています。
カルビーでは、このハイブリッドワークの実施にあたり、『週何回の出社』と回数を指定せず、上司が必要と判断した際に、チームメンバーに出社を促すという形にして、出社かリモートか、選びやすい環境にしました。
さらに、出社しやすい環境を整えるため、
●本社ビルのオフィスを、約3割増床、
●通勤を許可されている範囲の通勤手当の上限を撤廃、
●上司が許可すれば、本社から通勤圏外の場所であっても、最寄り事業所などでの勤務を認めました。
「商品には営業、マーケティングなど様々な部門がかかわっている。リモートのみの時よりも、部門外の人と実際に会社で顔を合わせる機会が多くなり、社員のモチベーションの向上につながった」ということです。
■副業推進で“隠れ過重労働”!?労働者の健康どう守る?
働き方改革で進む、副業についてです。
政府は、キャリア形成を促進する等の観点から副業や兼業を推進しています。
2023年に比べて2025年は、企業の副業容認率、社員の副業実施率ともに増加しています。
しかし、一方で、副業を行っている人へのアンケートでは、
「副業を行ったことで、過重労働となり仕事に支障をきたした、体調を崩した」と回答した人も増えています。
2025年は26. 9%でした。
さらに、自分が本業として働いている企業へは、副業先での勤務時間の報告が必要ですが、報告は自己申告で、企業が労働時間を正確に把握できず“過重労働に”なっているケースもあるということです。
「働く形式を問わず、すべての労働者が自律的に健康管理をし、必要なときにストレスチェックや産業医面談に近い保護を受ける体制の構築が必要」だとしています。
■時間=成果は終わり?これからは「働き方のメニュー増」へ
倉重弁護士が考える、これからの働き方です。
今の労働法制の根幹は、明治時代の工場法にさかのぼります。
集団的・画一的な労働が前提で、働いた時間と生み出される成果が比例するという考え方です。
しかし、現代は、ホワイトカラーの急増、AIの台頭やテクノロジーの進化があり、技術革新や仕事の進め方次第で短時間で大きな成果を生み出すことが可能になりました。
『時間による労働者管理』が合理性を失うケースが増えています。
生成AI時代には、情報の整理や要約、定型業務など様々な仕事が自動化に向かい、スキルの陳腐化が加速します。
「激変する環境に対応するには、労働者自身が自らのキャリアを主体的に選ぶ『キャリア自律』がカギで、そのために必要なのが、企業が働き方のメニューを増やすこと」だということです。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年2月25日放送分より)















