原油高騰が続いた場合、半年後に家計へどれほどの負担が生じるのかを見ていきます。
さらに、イランのアラグチ外相と日本の関係についても見ていきます。
■7月から石油製品の供給制限の可能性 車の利用頻度抑制も
日本の石油の備蓄量は3月21日時点で残り240日分となっています。
政府は、『国家備蓄』の1カ月分を3月26日から放出します。
高騰するガソリンに補助金も支給しています。
レギュラーガソリンの全国平均価格は3月16日時点で、1リットルあたり190.8 円で過去最高となりました。
政府は3月19日から価格を170円程度に抑えるため、補助金を元売り各社に支給しています。
補助額は1リットルあたり30.2円です。
ガソリン補助金の財源は専用の基金から捻出された2800億円です。
3月24日には新たに事態の長期化も見据え、予備費から約8000億円の支出を決定しました。
野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんの試算では、このままのペース(1リットル30円引き下げ)を継続すると、7月上旬には使い切ることになります。
こうした中、自民党の会議で、元売り各社で作る石油連盟の幹部がアメリカなどから石油を輸入できても、日本に到着するのは『最短で6月』と説明しました。
そのうえで、政府・与党に対して、
▼在宅勤務の推奨、
▼自家用車の利用頻度を抑える、
▼高速道路の速度制限を10キロ引き下げる、
など燃油需要を抑制する対策を例示したということです。
「7月から石油製品の供給制限が発生する可能性」があるとして、国家備蓄のさらなる放出などを要求したということです。
■原油高騰 半年後の家計への影響 備蓄石油“枯渇”したら?
原油高騰が続いた場合、家計への影響はどうなるのでしょうか。
WTI 原油先物取引価格は、日本時間3月24日時点で、1バレル91ドル台でした。
アメリカとイスラエルによるイラン攻撃前と比べて、約24ドル上がっています。
※1バレルは約159リットルです。
半年後の家計への影響について、木内さんの試算です。
まずは『ホルムズ海峡が完全封鎖されないが、原油輸送の支障が長期化するケース』です。
半年間の原油価格を1バレル87ドルと想定し、どれくらい生活に影響があるかを試算していただきました。
2人以上世帯ですと、半年後は3.5%増えることになります。
月あたり1万3206円だったのが、1万3668円に上昇します。
10個入り1パックが、半年後、3.1%増えて、313円から323円に上昇。
半年後は7.6%増えます。
521円が561円に上昇します。
これは物価がすぐに1%上昇するケースを想定した試算です。
続いて、『ホルムズ海峡が完全封鎖されたケース』です。
半年間通じた原油価格を1バレル140ドルと想定しています。
月あたり1万3206円から1万4891円に上昇します。
10個入り1パックは、半年後、11.3%増えて、313円から348円に上昇。
521円が666円に上昇します。
これは物価がすぐに1.14%上昇するケースを想定した試算です。
「ホルムズ海峡を経由しない原油輸入量は、今後調達先を拡大するなかで 全体の25%程度まで広がる可能性があり、原油・石油製品の輸入は従来の4分の1程度になると仮定できる。需要を抑えるための電気の利用制限、自動車の利用制限などが行われる可能性」
「原油を原料に作られる製品で代替できる素材がないものは価格が大きく上昇する可能性が高まる」
■石油危機 アジア各国の対策 在宅勤務 週休3日制へ変更も
では日本より備蓄が少ないアジアの国々はどう対策しているのでしょうか。
石油備蓄量が3カ月ほどのタイでは、アヌティン首相が政府機関や国営企業に可能な限りの在宅勤務、海外出張の見送り、冷房の設定温度引き上げを求めました。
ガソリンなど燃料の備蓄量が約1カ月ほどのスリランカでは、燃料節約のため、先週から病院などの保健関連施設を除く公共機関や学校を週休3日制にしました。
現地の日本人男性によると、ガソリン代は1リットルあたり40円ほど値上がりし、201円に上昇しています。
石油備蓄量が20日ほどのベトナムでは、ファム・ミン・チン首相が高市総理に石油備蓄の提供を求める書簡を送ったと明らかにしました。
対策として、航空便削減の可能性を示唆したり、公共交通機関の利用を推奨したりしているということです。
■イラン・アラグチ外相と日本との絆 被災地支援で炊き出しも
続いては、ホルムズ海峡封鎖は今後どうなるのか、元駐日イラン大使で親日家のアラグチ外相についてみていきます。
「日本側との協議を経て日本関連船舶の通過を認める用意がある」と発言しました。
アラグチ氏とは、どういう人物なのでしょうか。
2008年から2011年の約4年間、駐日イラン大使を務めていました。
アラグチ氏が書いた回顧録には、冒頭、
『日本での日々は私の心に深く刻まれかけがえのない記憶となっております』と書かれています。
回顧録では、大使を務めていた時の名刺について、アラグチ氏が日本で出会った僧侶に考えてもらった当て字、『新久地(アラグチ)』を使っていたことを紹介しています。
「日本語表記は日本の人々と関係を築く上で大きな助けになった。『新しく久しい大地』とは私にとって日本のこと」だとしています。
「日本人は保守的なところがあり、関係を築くまでに時間がかかる。しかし、一度氷解に成功すると温かく友好的な関係が築かれ永続的なものとなる」と説明しています。
東日本大震災の時には、2003年のイラン大震災時の日本の支援に対する“恩返し”として、イランから物資の支援があり、アラグチ氏も被災地で炊き出しを行いました。
「傷つき苦しんだ人々が落ち着いて規則正しく列に並んでいた。被災者支援においても日本の人々から多くを学び、同時にイランについての良い思い出を被災者の心に残すことができた」
■日本とイラン「深い結びつき」ホルムズ海峡通過の糸口に?
日本とイランの過去のつながりです。
1950年代、イラン政府はイギリス資本の会社の管理下にあったイラン国内の石油施設を国有化しました。
イランの石油施設の国有化に対して、イギリスは軍艦を派遣し海上を封鎖して、イランの石油輸出を妨害。
この時、日本の石油タンカー『日章丸』がイギリスの海上封鎖をかいくぐり、世界で初めてイラン産の石油を輸入しました。
『イラン国民はこの出来事を高く評価している。イランと日本の経済関係および友好関係に否定しがたい影響を与えた出来事であり、両国の深い結びつきと友情の象徴として語り継がれている』としています。
イランでは日本のドラマがヒットしました。
『おしん』です。
1979年イラン革命後、イランでは外国のテレビ番組はほとんど禁止される中、『おしん』は問題なく放送され、イランでの視聴率は90%を記録しました。
2019年にはペルシャ湾でタンカーを狙った攻撃が相次ぎ、イランは、攻撃への関与を否定しましたが、アメリカは、イラン側のイラン側の責任だと批判し、各国に、タンカー護衛のための有志連合への参加を求めました。
日本は、有志連合に反発するイランへの配慮から有志連合には参加せず、独自に自衛隊を派遣しました。
「日本はこれまでイランとは政治問題を抱えこんだことはない。少なくとも日本側に交渉のチャンスは与えられているということ」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年3月25日放送分より)

















