北九州市で製作された飲食店のユニークな店主 、大将をモチーフにしたトレーディングカード。地域の飲食店などに活気を取り戻そうと始まったこの企画の背景には、北九州市「Z世代課」の取り組みがあった。
若者ならではのアイデアを
変わらぬ味できょうも暖簾(のれん)を守り続ける大将たちを盛り上げたい!そうした思いで生まれたのが、北九州市小倉の歓楽街として知られる鍛冶町の実在する店主をモチーフにしたその名も「大将カード」だ。
大将の名前や愛称のほか、店の特徴、1回あたりの平均的な飲食料金が記載され、“推し”の大将を見つけることで、街の魅力を再発見してもらおうというものだ。
このカードが誕生した背景には、ある深刻な問題があったという。
柏木佳奈子課長(42)
「時代の変化に取り残される街になって、北九州がなくなってしまうんではないかというような危機感を抱いているので…」
実は、北九州市は全国の政令指定都市の中で最も高齢化が進んでいる。
若者が流出する現状を変えようと市はおととし、1990年代半ばから2010年代序盤に生まれたZ世代の想いを受け止め、その視点から時代の変化に合った街づくりを目指すZ世代課を設置した。
Z世代課が取り組んだのが、若者ならではのアイデアを形にする「Z世代はみ出せコンテスト」だ。
「一歩とりあえず踏み出してほしい、はみ出すのは悪いことじゃないんだよというのを応援したいというのが大きい目的」
大将カードで地元アピール
去年8月に行われたコンテストでグランプリを獲得したのが、大将カードだ。
北九州生まれで市内のデザイン事務所に勤務する21歳の栗山友良さんが考案した。
カードは、栗山さんを中心にZ世代のメンバー4人が30店舗以上を巡り、SNSでは見つけにくいが、大将と会話を楽しめる店を取り上げたという。
「若い子が考えることは僕たちには頭がついていかない。たぶんいいことなんだろうなと思って。やってみたら、お客さんの反応もいいし、とても喜ぶ。街を盛り上げるだけでもいいことだなと思って」
完成した14種類の大将カードは、モデルになった店で手に入れることができる。
小倉食堂 ポロIIは、さまざまなお総菜がカウンターに並ぶ。「空腹救世の女帝」の称号を付けられた、大将のきょうこちゃんはこう話した。
「ハマりますね。みんなに配りたいですもん」
「お姉さんが出た!」
「みんな最初『おお!』って言うよ」
大将カードは、なくなり次第終了だという。
「第一弾は鍛冶町でしたんですけど、他にも高齢化が進んでいる商店街や、若者が足を踏み入れづらいエリアがたくさんあると思う。そういう所もカードにして面白おかしく発信して、知るきっかけをたくさん作っていけたらなと思っています」
Z世代課では、大将カード以外にも若者の力を使った地域活性化に取り組んでいる。一体それは…。
Z世代に注力するワケ
北九州市は、なぜこれほど若者の活躍に力を入れているのだろうか?
北九州市の高齢化率は31.4%と政令指定都市で最大。さらに、就職する若者が福岡市や首都圏に流出してしまうことで人口減が進むことに悩んできた。
そこで立ち上げたのがZ世代課だ。時代の先端を行く若い世代からニーズや価値観の変化を学び、その時代の変化にスピーディーに対応することで、北九州市の未来が持続可能なものとなることを目指しているという。
Z世代課の取り組みは
この大将カードはZ世代課の取り組みから生まれたが、こうした若い世代の感性を活かした取り組みは他にはどんなものがあるのだろうか。
Z世代課は「Z世代課パートナーズ」という制度に取り組んでいるそうだ。
Z世代課パートナーズは、地域を盛り上げたい、社会やまちづくりに関わりたいと考える若者を、Z世代課のパートナーとして委嘱する制度だ。
パートナーとなった若者は、行政の政策や事業への提案、会議体への参画、民間プロジェクトへの参加などを通じて、Z世代ならではの視点や声を行政や地域・企業の取り組みに反映する。
具体的には、地元のバス会社のフリー乗車券を使い、Z世代がお勧めする1日観光モデルコースを回り、北九州市の魅力を再発見する企画などが行われたそうだ。
おととし、北九州市は60年ぶりに転入する人が転出する人を上回り、去年も転入超過になった。
北九州市は、Z世代課の取り組みや、官民一体となった企業誘致、子育て環境の整備が特に若者・女性の定着に寄与しているとみている。
(2026年3月30日放送分より)










