経済

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2026年3月31日 16:00

“ホルムズ封鎖”で原油争奪戦 足りない原油 新たな調達『4つのルート』代替可能?

“ホルムズ封鎖”で原油争奪戦 足りない原油 新たな調達『4つのルート』代替可能?
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事実上のホルムズ海峡封鎖で、世界で原油の争奪戦が起きています。

日本の原油は新たな調達ルートで補えるのか見ていきます。

■電気・ガス値上げへ 7月から石油制限!?節約要請は?

石油の供給不足による、私たちの生活への影響です。
今後、節約を求められる可能性があります。

4月使用分(5月請求分)の電気・ガス料金です。
大手電力10社、大手都市ガス4社、全社で値上がりします。
主な要因は、政府補助金が3月使用分で終了するためです。
電気料金については、再生可能エネルギーの普及のために上乗せされる賦課金が上がることも影響しています。

電気料金は、中東情勢の悪化を受け、燃料価格の変動を電気料金に反映させる『燃料費調整額』が今後、上がる可能性があります。
料金への反映に3カ月ほどの時間差があるので、6〜7月ごろに影響が出る恐れがあります。

全国のレギュラーガソリンの価格です。

イランへの軍事攻撃前の2月24日は、157 .1円でしたが、攻撃開始後の3月16日は、1990年の調査開始以来、史上最高値の190 .8円でした。
3月19日から政府の補助金が再開され、3月23日は、177 .7円になりました。

河野太郎元・外務大臣です。
政府のガソリン補助金について、
「パニックを防ぐという意味での短期的な価格抑制はいいが、そろそろ節約が必要だ」とSNSで指摘しています。
元売り各社で作る石油連盟の幹部は、このままホルムズ海峡の封鎖が続けば、
7月から石油製品の供給制限が発生する可能性がある」と自民党の会議の中で話しました。

燃油需要を抑制する対策として、
在宅勤務の推奨
▼自家用車の利用頻度を控える
▼高速道路の速度制限10キロ引き下げ 
などが挙がりました。

節約について、エネルギー経済社会研究所代表の松尾豪さんです。
3月26日から石油の国家備蓄の放出が始まっていて、5月ごろまで実施予定ですが、
「現時点で節約をするにまで至っていないが、次回の石油追加放出前(5月以降)には国民への節約要請に向け、議論を始めるべきでは」としています。
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■ホルムズ海峡“封鎖”で日本の原油どれくらい不足?

日本の原油の現状について見ていきます。

日本の原油の輸入先です。
大部分は中東に依存しています。
UAE(アラブ首長国連邦)が43.3%、
サウジアラビアが39.4%などとなっています。

原油の中東への依存度は94%
ホルムズ海峡を通る原油への依存度は93%にもなります。

日本の原油・石油製品の消費量です。

日本は1日あたり323万7900バレル消費しています。
仮にホルムズ海峡が航行できない場合、単純計算で1日約275万バレルの原油や(ガソリン・軽油などの)石油製品が不足することになります。

現在の石油備蓄状況です。

国家備蓄は146日分、
民間備蓄は85日分、
産油国共同備蓄は6日分、
合計237日分(約8カ月分)が現在備蓄されています。

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■足りない原油 補う『4つの調達先』 も代替入手は困難!?

ホルムズ海峡経由の原油がストップした場合、補える手段はあるのでしょうか?

日本へ輸入される原油、石油製品の大部分がホルムズ海峡を通って輸入されます。
ホルムズ海峡を渡る原油・石油製品は全体で1日あたり1987万バレル
日本へは約20日間で輸送されます。

エネルギー経済社会研究所の松尾さんにホルムズ海峡ルートに代わる原油の調達先を挙げて頂きました。
松尾さんによると、4つの調達先が考えられるということです。

まず1つ目が中東の原油を別ルートで運ぶ方法、
2つ目がカザフスタンやアゼルバイジャンなどの中央アジア産の原油、
3つ目が北米のアラスカ産の原油、
4つ目が中南米、エクアドルやコロンビアなどの原油が調達先の候補になるのではないかということです。

様々な地域の原油の調達が考えられますが、地域ごとに原油の特性があるようです。

原油には特性によって細かく分類されています。

原油の比重によって、軽いほうから、
・超軽質
・軽質
・中質
・重質
・超重質
といった形で分類されています。

また、原油に含まれる不純物(硫黄など)の含有量によって不純物が少ない原油を『スイート』、不純物が多い原油を『サワー』と分けています。

地域ごとに様々な特徴があり、松尾さんによると、日本で多く輸入される中東産の原油は『中・重質サワー原油』で比重がやや重く、不純物が多い原油だということです。

日本は中東への依存度が高いため、日本にある製油所のほとんどが中東産の原油に最適化された設備だといいます。

こうした特徴を踏まえ、4つの調達先をそれぞれ見ていきます。

1つ目は中東の別ルートです。
サウジアラビアやUAEのパイプラインを使ってホルムズ海峡を迂回するルートです。
パイプラインの輸送能力ですが、2026年1月時点で1日あたり310万バレル
最大で470万バレルから570万バレルまで、このパイプラインを使ってサウジアラビアのヤンブー港やUAEのフジャイラ港まで原油を運び、そこから追加で輸送できるということです。

2つ目は中央アジア産の原油です。
生産量ですが、カザフスタンの生産量は1日あたり約184万バレル
アゼルバイジャンの生産量は1日あたり約60万バレルとなっています。
現在この原油などは主にイタリアなどヨーロッパ向けに輸出されています。

この2カ国には日本政府が出資する企業が権益を持つ油田が1日あたり80万バレルほどあります。

ただ、手に入れられたとしても、日本まで輸送するのに50日以上、ホルムズ海峡を航行するルートの倍以上かかります。
さらに原油の特徴も『超軽質スイート油』と、日本がこれまで輸入してきた中東産と大きく違っています。

3つ目が、北米・アラスカ産の原油です。
アラスカの生産量は1日あたり47万7000バレル
大部分がアメリカ国内に供給されています。

輸送にかかる時間は約11日とかなり短くなっています。

原油の質は中質サワー油と、中東の原油と近い特性を持っていますが、金属分が多いということです。
石油連盟によると、この金属分の除去が困難で、大規模に活用する場合は金属除去装置が必要となってくるといいます。

4つ目が、コロンビアやエクアドルなど中南米産の原油です。
生産量ですが、コロンビアは1日あたり約77万バレル、主にアメリカやパナマ、インド、中国などに輸出されています。
エクアドルは1日あたり48万バレル生産され、こちらも、パナマや中国、アメリカ、ペルーなどに輸出されています。

輸送には約30日以上かかるとされています。

原油の質は重質サワー油で、中東産よりやや重めだということです。

しかし、中南米産(エクアドル産)の原油は日本への輸出実績もあります

松尾さんです。
「日本は中東産原油に量・質共に依存してきた。他の地域の原油にはこれらのメリットを補う性質はない

不足分は補えるのでしょうか?

「国内消費量を賄おうとすると、4つのルートの国の生産量の4割近くを日本が獲得する必要があり、かなりハードルが高い。仮に確保できても価格はかなり上昇するのでは」
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■ロシア産原油 アジア諸国が次々購入 日本は?

ロシア産の原油についてです。

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、かつては最大の顧客だったヨーロッパ諸?国が購入を避けるようになり、現在は輸出の約8割がインドと中国向けになっています。

こうした中、エネルギー非常事態宣言をしたフィリピンでは、報道官が、
ロシア産原油70万バレル以上を積んだ船がフィリピンに到着した」とロシア産原油を輸入したことを明らかにしました。

▼ロシア産原油は約150万バレルを2回に分けて購入
5年ぶりにロシア産原油の輸入を再開したとみられます。

他のアジア諸国も動いています。

ベトナムは、首相がモスクワを訪問し、ロシアの石油・ガス企業に対し、ベトナムへの投資拡大と、長期的な原油の供給を要請しました。

スリランカは、ロシアのエネルギー担当閣僚がスリランカを訪問、ロシア産原油の供給について協議をしています。

タイも、副首相がロシアからの原油購入の可能性について協議中と明らかにしています。

日本は、今もロシア産原油を輸入しています。
油田からパイプラインを通って、ロシア極東の石油・LNG基地まで送られ、そこからタンカーで4日程度で日本に輸送します。

輸入量は、制裁前の多いとき(2015年)で1日あたり約29万5620バレルでしたが、制裁後の直近(2025年)では、1日あたり約1640バレルまで減らしています。

ロシア産原油の調達について、資源エネルギー庁の担当者は、
「国際社会と緊密に連携し、ウクライナの永続的平和の実現のために、何が効果的か、日本の国益にとって何が必要かを総合的に判断しながら対応していく」と話しています。

アメリカは3月、
ロシアへの制裁を緩和しました。
現在、海上で輸送中のロシア産原油に限り、各国が一時的に購入することを認めています
▼期間は4月11日までです。

アメリカのベッセント財務長官は、
「制裁解除によりロシアが追加で得る収益は、最大20億ドル(約3190億円)。20億ドルは、ロシアの国家予算の1日分に過ぎない」と話しています。

イギリスのフィナンシャル・タイムズは今回の原油高で、ロシアが1日あたり1億5000万ドル(約240億円)の追加収入を得ていると報じています。
アジア各国の原油購入でロシアの戦費調達を下支えする恐れが懸念されます。

(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年3月31日放送分より)

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