ホルムズ海峡封鎖による原油の供給不安で値上げの波が始まっています。
私たちの家計にいつ影響が出るのか見ていきます。
■日本関係船 ホルムズ海峡通過 イランと首脳会談検討も
日本の関係船が新たにホルムズ海峡を通過しました。
通過した船です。
商船三井によると、ホルムズ海峡を通過したのはインドの関連会社が保有する液化石油ガス船で、ホルムズ海峡を通過してペルシャ湾の外に出たということです。
商船三井の船がホルムズ海峡を通過するのはこれが3隻目となります。
通過に向けた個別交渉についてです。
「日本関係船舶を含むすべての船舶の安全が確保されるようにイラン側に対応を求めている」と答えました。
現在のホルムズ海峡をめぐる情勢について、政府内の反応です。
「下手したら半年続くかもしれない。日本が大丈夫でも、周りの国が倒れていくから世界的に耐えきれない」と懸念を示しています。
「個別交渉をして通っていいと言われても、 本当に安全か分からない。革命防衛隊の指揮系統もよく分からず、 個別交渉しても実現可能性がない」
「外相と交渉したところで、血気盛んな革命防衛隊をどこまで制御できるか分からず、そんな状態では日本の船を通せない」と話しています。
4月6日、高市総理はイランとの首脳会談についても言及しました。
「すでにイランとは何度も何度も(協議を)やらせていただいている。さらに首脳同士という話も段取りをつけさせていただいている」
「きのうきょうという感じでは今のところない」としています。
「とにかく戦争を止めてホルムズ海峡を通れるようにしてくれということだ」と停戦とホルムズ海峡の開放を求めるとしています。
日本とイランの外相による電話会談も行われました。
茂木外務大臣とイランのアラグチ外相は4月6日、攻撃後3回目となる電話会談を行いました。
テレビ朝日政治部の千々岩官邸キャップによると、このとき首脳会談に向けた調整が行われた可能性があるということです。
■原油高の影響 航空機・バス・地方財政にも 負担増へ
原油高の影響が広がっています。
現在の原油価格です。
WTI原油先物価格ですが、3月30日に3年8カ月ぶりに終値で、1バレルあたり100ドルを超えました。
4月6日午前9時時点で、1バレルあたり112ドル93セントと高止まりを続けています。
日本の原油の備蓄量です。
4月3日時点で、国家備蓄が146日分、民間備蓄は3月27日から5日分減って80日分、産油国共同備蓄は6日分、現在232日分確保されています。
「石油については備蓄放出やホルムズ海峡を経由しない代替調達を通じ、必要となる量は確保されている。長期化も見据えてあらゆる可能性を排除せず、臨機応変に対応していく」
燃料価格の上昇は様々な場面で影響が出てきています。
原油から作られるものです。
原油を蒸留・精製すると、LP(液化)ガス、ガソリンやナフサ、灯油やジェット燃料、軽油、重油やアスファルトなどが精製されます。
燃料価格の高騰によって我々への負担も増えます。
全日空と日本航空は6月と7月に発券される分の燃油サーチャージについて、最大約2倍に引き上げる見通しです。
定期航空協会によると、アメリカとイスラエルのイラン攻撃後1カ月で、航空燃料は約2.5倍にまで高騰しているということです。
市民の足にも影響が出ています。
名古屋市交通局によると、4月からの3カ月分の軽油の入札が成立しませんでした。
結果1か月分を随意契約で購入。
1リットルあたり217円で、これは1月から3月に落札した分の約2倍の価格だということです。
名古屋市営バスは1日に約4万6000リットルの軽油を使用。
この値段だと毎日1000万円程度かかる計算になるといいます。
燃料価格の高騰によって財政も圧迫されています。
北海道北見市の廃棄物処理施設では燃料に重油を使用しています。
その量は年間で10万リットルが必要だということです。
しかし、その重油が4月に入り、1リットルあたり30円値上がり、単純計算で300万円負担が増えたということです。
「影響が本格的に表面化するのは今後だが、長期化すれば財政への負担増加は避けられない」
「例えば航空燃料が不足しているとすると、それを補うために今度は軽油や重油が足りなくなる。その不足分をどうにか調整しようとし混乱が生じている」
緊迫化した中東情勢を受け、 政府は石油元売り事業者に新たな要請を行いました。
日本政府は、医療機関や公共交通機関など重要施設が燃料を調達できない場合は、石油元売り事業者が燃料を直接販売するよう要請しました。
『重要施設』の定義は、4月に立ち上げた、省庁横断型の対応チームで議論を進めていきます。
直接販売を想定する石油製品は、医療器具の滅菌に使うボイラー用の重油やバスなど公共交通機関の燃料が考えられています。
■ラップや食品包装など値上げへ 家計への影響 実感いつ?
イラン情勢の影響は燃料の高騰だけでなく、石油製品にも及んでいます。
石油製品ができるまでの工程です。
大元は『(1)原油」です。
原油を精製する過程で得られるのが『(2)ナフサ』です。
見た目はガソリンに似た透明な液体です。
『(2)ナフサ』を熱分解すると、エチレンやプロピレンなどの『(3)基礎化学品』ができ、
さらに化学反応を経て、プラスチックや合成繊維原料などの『(4)中間製品』になります。
最後にそれを原料に包装材や衣料品など『(5)最終製品』を作ります。
『(2)ナフサ』とは、
▼プラスチック製品など、幅広い工業品の原料です。
▼調達先は、中東が4割、国産が4割、中東以外の地域が2割。
▼国内には、すでに調達済みのものと、国内精製のナフサが合わせて2カ月分、さらにナフサが原料の製品の在庫が2カ月分あるので、少なくとも国内需要の4カ月分が確保されていると政府は説明しています。
高市総理は、ナフサについて、国内での精製の継続に加え、中東以外からの輸入量の倍増によって、ナフサ由来の製品在庫(2カ月分)の使用量が減らせるので、在庫期間が半年以上に伸びるとしています。
足元では、ナフサの供給減を見込み、『(3)基礎化学品』のメーカーが、エチレンの製造設備の減産へ動いています。
国内に12基ある製造設備のうち、少なくとも6基が減産しています。
エチレンの生産企業などでつくる石油化学工業協会は、
▼エチレンの生産設備について4月は全体として稼働を維持できる見通し
▼5月の連休明け以降も稼働をつなげられるよう各社が努力している
としています。
エチレンの減産などにより、『(4)中間製品』の値上げが相次いでいます。
積水化成品工業は、主にカップ麺の容器や食品トレーなどの材料の『発泡ポリスチレンシート』を4月21日以降の出荷分から、1キロあたり120円値上げします。
「今後も情勢次第で、出荷数量の調整や追加の価格改定を検討せざるを得ない可能性がある」と話しています。
『(4)中間製品』の値上げにより、『(5)最終製品』の値上げも出てきています。
三菱ケミカルは、製造する『業務用ラップ』について、エチレン由来のフィルム原料の価格高騰により4月21日の納入分から、現行価格から35%値上げします。
「中東情勢が長期化する場合は、生産停止の可能性もゼロとは言えない。今後も状況を注視していく」と話しています。
『(5)最終製品』の値上げは他にも。
グンゼは、4月6日、野菜や菓子の包装に使うフィルムを4月21日出荷分から、500平方メートルあたり1200円値上げすると発表しました。
ユニチカは、食品の包装などで使われるナイロンやポリエステルのフィルムの値上げを発表しています。
「川下の『(5)最終製品』まで値上げが広がっている。 消費者の購入価格には、ゴールデンウイークごろから秋口までで本格的に値上げの波がくるのでは」
■国民への節約・節電要請案 浮上? 家庭の対策は?
国民に節約を求める案が出ています。
「(事態の)長期化も見据え、あらゆる可能性を排除せず臨機応変に対応する」
「国民経済に大きな影響がない形で、需要サイドの対策を含め、あらゆる政策を検討したい」と話しています。
節約や節電要請について、官邸内の声です。
「どこかの段階で『できることをしてください』というメッセージは出すだろう。公共交通機関を使う、テレワークをする、エコバックを使うなど、日常の延長線上だ」
「日本人の過剰反応しやすい国民性も踏まえないといけない。自主的に節電や節約をしようとか、車移動を控えようという人も増えている。それくらいでちょうどいい」という声があります。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年4月7日放送分より)



















