アメリカとイランの停戦合意がなかなか見えない中、原油の供給への不安は続いています。牛肉やコメなど「食」にもいよいよ影響が出始めています。
ブランド牛 三重苦で悲鳴
「こちら肥育牛を育成している牛舎ですね。全部で700頭、交雑種という品種を肥育しています」
栃木県足利市にある長谷川農場。ワインの原料となるブドウの搾りかす「マール」を食べて育った赤身のうまみが強いブランド牛「足利マール牛」を飼育しています。
ウシに与えている配合飼料は、アメリカやブラジルなどから輸入したもの。3カ月ごとに価格が改定されますが、今月から1トンあたり1540円値上げされました。
配合飼料は4年前のロシアによるウクライナ侵攻で一気に値上がりし、円安などの影響もあり、高止まり状態が続いていました。
さらにイラン情勢の緊迫化を受け、海上輸送に使う原油や飼料原料の上昇などから、今後さらに高騰する見通しになっています。
値上がりしているのは配合飼料だけでなく…。
ウシは暑さに弱いため、牛舎では常に扇風機を回しています。
電気料金は大手電力会社10社すべてで4月使用分が値上がりする見通しですが、このまま燃料価格の高騰が続けば、さらに値上がりする可能性もあります。
さらに牧草を運んだり、敷きわらを交換する時に使う重機の燃料代も高騰しています。
飼料代、電気料金、燃料代の三重苦に…。
農業ハウスの資材値上がり
イラン情勢悪化による影響は、畜産だけなく…。
「牛が出す堆肥があるので、堆肥を有効活用するためにアスパラガスとタマネギ、イチゴを育てていて。こちらがイチゴのハウスになります」
東京ドーム6個分、30ヘクタールの敷地でさまざまな農作物を生産していて、イチゴやアスパラガスはハウス栽培しています。
農業用ハウスには石油由来のフィルムが使われていますが、今年の夏にはこのフィルムが値上がりするとも言われています。
フィルムの張り替え頻度は5年に1回。イチゴのハウスを張り替えるのに1棟およそ350万円。アスパラガスのハウスは1棟15万円ほどですが、35棟もあるため、値上がりした場合、大きな負担になります。
田植え開始も高騰で不安
「ふさおとめです。千葉の早場米で、8月の10日前後に収穫できます」
千葉県東庄町で東京ドームおよそ17個分、80ヘクタールの水田でコメ作りをする多田さんです。
先週から田植えが始まりましたが、中東情勢は日本のコメ作りにも暗い影を落としています。
「(Q.例年に比べて?)20〜30円違う」
多田さんが買っている軽油は、去年と比べ1リットルあたり30円ほど値上がり。耕して田植えをする作業で使う軽油は、1日およそ200リットル。1カ月で、およそ18万円のコスト増になります。
「油代を省略」
耕す回数を省くことでコメの収穫量が下がるリスクもありますが、背に腹は代えられません。
田植えに使う肥料も、中東から輸入しているため値上がり。コメ作りをして34年の多田さん。2024年からの「令和のコメ騒動」では、コメ価格の高騰に翻弄(ほんろう)されました。
今、コメの販売価格は下落傾向にありますが、1人あたりの消費量は回復に至っていないのが現状です。
そんな中での中東情勢の緊迫による原油価格の急騰。
「(8月の収穫が)ひと月で終わるのが2カ月かかる。品質の低下。刈り取りできない状態が起こる。寝るに寝られない」
コメ農家・多田さんの願いは…。
スーパー トレー値上がり
食品バイヤー 久保田浩二さん
「こちらカップ麺がですね。一部4月から値上がりがありました。1個あたり大体20円ぐらい(値上がり)ですね」
今月から食品2798品目が値上がりし、家計の負担が大きくなる中、懸念されているのがイラン情勢による影響です。
横浜市のスーパーでは、国産のほかアメリカ産やヨーロッパ産の牛肉を扱っていますが…。
鶴田聡部長
「値上げ幅的には、輸入商品が一番値上げ幅が大きい。それに伴って、国産の肉も値段は上がってきているのが事実」
円安の中でも価格を抑えようと努力してきましたが、今後は仕入れ価格に応じて、さらに値上げの可能性もあるといいます。
そんな中、先週から頭を悩ませているのが…。
「まだ不確定な部分ではあるんですけれども、(トレーなどの資材)メーカーさんの希望の話で、現在20%くらいの値上げという話を今いろんな話が出始めているというのは耳にしています」
店内の加工場で精肉のパック作業をしていますが、1日に使う食品トレーはおよそ1000枚。週3回、毎回2〜3日分を発注しています。
「こちらのほうのこのサイズで、大体もう10円から13円ぐらい。ラップで大体1回で0.5円とか、シールも込みで私たちは簡潔に計算しやすい1円という表現をしているんですけども。原油高で資材費が上がると、商品の値段を上げざるを得なくなる」
食品トレーなどの原料になる石油製品「ナフサ」。国内消費のおよそ4割を中東からの輸入に頼っていて、供給不足が懸念されています。
今後、仕入れ価格が上がった場合は、無料で提供しているポリ袋も使用制限をかけるなどの対策を取る可能性もあるいいます。
高市総理 首脳会談を調整
ホルムズ海峡の事実上の封鎖で影響が出始める中、6日に高市早苗総理大臣は、国会でイランとの首脳会談を調整していることを明らかにしました。
また、エネルギー資源の確保については「石油の必要量は確保されている」ことを強調しました。
(2026年4月7日放送分より)













