京都駅で外国人観光客が長い列をなしているのは「フォーリン フレンドリー タクシー」乗り場。その名の通り“外国人に優しい”タクシーです。
ドライバーは英語が話せるうえ、行き先の相談にものってくれます。追跡すると川沿いのお花見スポットやコンビニグルメなど京都の“穴場”や“意外なグルメ”にたどり着きました。
“動く観光案内所”
古都・京都に外国人観光客が頼りにする特別なタクシーがあります。
乗ってきたのはナイジェリアから来た姉妹。日本に到着して、いきなり感激したことがあるといいます。
「日本の空港で高齢者が元気に働いているのを見ました。それってステキなことですよね」
「ちなみに私は78歳ですよ」
「ええっ!?」
タクシードライバーの菊永さんは78歳。かつて貿易関係の仕事をしていたため英語が堪能です。
「どうやって若さを保っているんですか?」
「やっぱり日本食ですかね」
「どんな食べ物なの?」
こちらは「フォーリン フレンドリー タクシー」。その名の通り“外国人に優しい”タクシーなんです。現在、京都でおよそ200台が走っています。
「アレは何かしら?」
「お寺だね」
「アレは」
「東本願寺です。京都の中でも大きなお寺の一つですよ」
「とても美しい」
「あれは門です。本殿はその奥にあるんですよ」
「大きいな」
「フォーリン フレンドリー タクシー」は、いわば“動く観光案内所”。
「京都にはどれくらいいるんですか?」
「3日です。その後、奈良に行く予定です」
「奈良に行くならこれをどうぞ」
手渡したのはガイドマップです。
「(Q.タクシーはどうでした?)とても良かったです。たくさん話すことができて、いろいろなことを教えてもらいました」
「僕なんて、京都の釣りの情報まで教えてもらえましたよ。今回は行けないですけどね。どうもありがとう」
「こちらこそ、京都を楽しんでください」
運転手“穴場”をオススメ
今、京都駅に驚きの光景が。外国人観光客の長い列。その長さ、およそ30メートル。みんな「フォーリン フレンドリー タクシー」を待っているのです。
ドライバーは英語が話せるうえ、1時間6400円から貸し切りも相談できるとあって、利用者が後を絶ちません。
「運転手さんはとても知識豊富で、旅の行き先も相談できました。素晴らしい体験です。アメリカの運転手は何もしゃべらないですからね」
この日、78歳の菊永さんのタクシーを利用したのはアメリカから来た夫婦です。
「京都にはどれくらい?」
「2日半いる予定です」
「チェックインした後の予定は決まっているんですか?」
「抹茶の工場見学ツアーの予約をしているんです。それまで何をするかは決めていないですけど」
ホテルに到着。すると…。
「すぐ戻ってくるよ」
どうやら、まだタクシーを利用するみたいです。抹茶の工場見学をする前に行きたい所があるといいます。
「桜を見てみたいんですが、オススメの場所はありますか?」
「この辺りにある神社やお寺の花見スポットはとても混雑しているので、この近くのスポットなんかどうでしょうか?キレイな場所がありますよ」
「それは地元の人しか知らないような場所ですか?」
「そうです。その近くに住んでいる人が知っている、いわゆる“穴場”です」
これぞ、地元を知り尽くしたタクシードライバーの真骨頂。
「ここがおすすめの場所ですよ。止まりましょうか?」
「お願いします」
「素晴らしいね」
「とってもキレイ」
こちらは「天神川」。ソメイヨシノの並木道が2キロ近く続く、知る人ぞ知る、花見の穴場です。
「結構大木が多くてキレイ。人もそんなに多くない。中心部の寺に行くよりいい」
焼きいも初体験
ここで、アメリカ人夫婦が気になるものを発見しました。
「食べるの?」
「もちろん」
なんでも、この川では、花見シーズンになると焼きいも屋さんが出没するそう。焼きいもを初体験。
「うん、おいしい。けどアツイ」
「うまい」
「でしょ。ここに来られて本当にラッキーです」
「天気もいいですしね」
「私たちは観光客ですけど、人混みはあまり好きじゃないんです。欲張りかもしれませんが」
この後、夫婦は抹茶の工場見学を満喫しました。
京都最大のお茶の産地として知られる和束町。世界的な抹茶ブームとあり、外国人観光客が増えています。
「茶畑が広がる景色は格別ですね。フランスにはこんな景色はありません」
ムチャぶり外国人も大満足
京都の「フォーリン フレンドリー タクシー」の認定ドライバーは、現在293人います。
3年前に理学療法士からタクシードライバーに転職した渡辺洋平さん(51)。独学で身につけたという英語で、連日外国人をもてなしています。
そんな渡辺さんのタクシーに、フランスから来た陽気な2人組が乗ってきました。
「何かオススメの場所はありますか?」
超ざっくりのオーダーに、どう応える?
「ここは、とてもキレイで人も少ない場所ですよ」
「OK」
「30分で行けますか?」
「40分はかかります」
「片道40分ということは午後2時までに戻って来られない?」
「2時までに戻って来たい?」
現在、午後1時。予定があるため、午後2時までに戻りたいという男性たち。近くのオススメのスポットを急いでまわることに。
まずは、ご存知「哲学の道」。滞在時間5分で次の場所へ。ここで思いもよらぬ展開が。
「フランスで食べる日本料理はすごく高いと聞きました」
「そうなんだよ」
「日本で食べる安いグルメは、パリのレストランよりおいしいことがあるよね」
「日本のコンビニは僕の価値観を変えてしまったよ」
“コンビニグルメ”に感動したという2人。渡辺さんが“あるグルメ”を猛プッシュします。
「本当においしいですよ。ビールと一緒に食べてみてほしいですね」
「試してみたいね」
ということで、予定変更。コンビニへ。購入したのは、ご存知「ファミチキ」です。
「フランスのカツレツに似ているかも」
「気に入りました?」
「とても。京都でもらった一番のアドバイスですよ」
「俺たちファミチキをフランスに輸入する事業計画書を書かないとな」
外国人は予想もつかない旅のほうが喜ぶみたいですね。
「あなたに会えて本当によかった。これは最高のアドバイスだったよ」
「一生忘れないよ」
外国人感激の平和スポット
年間およそ1000万人の外国人が訪れる京都。この日、渡辺さんのタクシーに乗ってきたのは、スウェーデンから来たという家族です。
「どちらまで?」
「静かで穏やかな所に行きたいんです」
「オススメの場所がありますよ」
「いいですね」
家族が“静かで穏やかな場所”を求めるのは理由がありました。
「弟は学生で、僕は社会人なんですが、去年、兵役を終えたばかりなんです」
「兵役ですか」
「あまりいい場所ではなかったです」
「軍のために働いたことは?」
「ないです。日本には兵役がないので」
「最近は、ロシアがどんどん恐ろしい存在になっていますね…穏やかな日常を大切にしたい。そういうふうに思っています」
やってきたのは、およそ1200年の歴史があるといわれる「天台宗 京都大原三千院」。お堂にまつられた国宝「阿弥陀三尊坐像」が有名です。
ひょっこり顔を出しているのは「わらべ地蔵」。
「お地蔵様は子どもの守り仏。今、生きる人たちに寄り添ってくださる身近な存在としていらっしゃる」
「ここは100点満点」
三千院のすぐそばに、渡辺さんがスウェーデン人家族を連れてきたかった場所がありました。
「こんな庭初めてだ」
「本当ね」
絵画のように切り取られた庭園を楽しめるお寺。鑑賞のお供に抹茶もいただけます。
「これが静けさというものですね」
「甘いものを食べて抹茶を飲んで景色を眺める。本当に平和な気持ちに戻れますね」
縁側には、日本庭園ならではの風流な仕掛けが。地中に埋めたカメに水を垂らして音を楽しむ「水琴窟」です。
家族は、渡辺さんの案内で平和なひと時を堪能しました。
「ここは100点満点。たくさんの人に紹介したいけど、混雑してほしくないから、やめておこうかしら」
(2026年4月21日放送分より)






















