世界の漁業生産量が1980年代に比べ、約2倍に増加する中、日本は3分の1に落ち込んでいます。
日本の漁業生産量が激減しています。
なぜ減っているのか、漁業が抱える課題についてみていきます。
■漁業生産量 世界は倍増 日本一人負け サバもサンマも
日本の漁業が世界で一人負けになっている現状について見ていきます。
世界と日本の漁業生産量の推移です。
世界全体は上昇し続けているのに対し、日本は1984年をピークに減少しています。
1980年代に比べ、世界全体は2倍以上に、日本は3分の1となっているのが現状です。
2024年の漁業生産量の国別ランキングでは、日本は12位となっています。
日本は1972年から1987年までは1位でした。
日本の魚ごとの漁獲量です。
サバは2008年に年間約52万トンとれていたのが、2024年には約26万トンとなり半減しています。
サンマにいたっては、2008年に約35万トンとれていたのが、2024年は約4万トンとなっており、9分の1に減っています。
漁業従事者も2008年には22万1908人いたのが、2024年は11万4820人となっており、半減しています。
■漁獲量減少 小さな魚取りすぎか なぜ?漁師のホンネは
日本はなぜ漁獲量が減少しているのでしょうか。
この写真は、水産業のコンサルティング会社Fisk Japan代表取締役で、東京海洋大学・特任教授の片野 歩さんがスーパーで購入したアジを撮影したものです。
「小さなアジは2〜3グラム。これが、魚が消える原因の象徴的な写真」としています。
どういうことなのでしょうか。
アジの平均体重です。
0歳では38.6グラム。
1歳では103.2グラムです。
2〜3グラムのアジは生まれたばかりのアジにあたるということです。
「卵を産む前の小さなアジを食べてしまうと、産卵の機会を奪うことに。十分に成長する前に魚をとりすぎてしまうことが大きな問題の一つ」
なぜ小さなアジをとってしまうのでしょうか。
日本のアジの漁獲枠、水揚げできる量は2025年は14.5万トンでした。
これに対し、実際の漁獲量は8万トン。
枠の使用率は55%ほどで、余裕のある設定です。
大きなアジも小さなアジもとれるだけとっていい状態だともいえます。
また、サイズ制限もありません。
実際に小さなアジをとる漁業関係者は、どう考えているのでしょうか。
「小さなアジは定置網漁でとれる。他の魚と混ざって入る形。水揚げしてアジだけ除くのは人手不足で現実的でない」
「定置網漁はかかった魚をとるので魚を選べない。もし漁獲制限で小さなアジをとってはいけないなら、定置網漁ができず廃業する」
「小さなアジやサバを定置網で入れないようにするためには、網の目を大きくするという手法がある。そうした工夫をしたうえで実効性のある漁獲枠を設定し、小さな魚を守るべき」
■ノルウェー『魚残す』改革で徹底管理 量から質へ 売り上げ増
水産資源の管理に成功したノルウェーの事例を見ていきます。
ノルウェーは水産物の輸出額が世界2位の水産大国です。
そのノルウェーも、かつて1970年代、ニシンなどの水産物がとりすぎにより、枯渇する事態となりました。
その反省を踏まえ、1980年代には『将来世代に魚を残す持続的な漁業』を目指す制度改革が行われました。
ノルウェーでは、漁船の長さによって大中小のカテゴリーに分けられ、その大きさごとに漁獲枠が割り当てられます。
全体の漁獲枠が減ったときは、小型漁船への配分が優先されます。
漁獲者は小型漁船を大型漁船に作り替えて漁獲枠を増やすことはできません。
これにより、大型漁船が増えることを防いでいます。
決められた割り当てを守るため、とった魚の種類や量は洋上からオンラインで水産局に報告する必要があります。
報告のごまかしが発覚した場合は、厳しい措置が取られます。
厳密な資源管理が行われ、現在は漁獲上限があるので、漁業者間の早いもの競争がなくなり、急いで数多くとるのではなく、脂ののった、価値の高い魚を狙うようになりました。
その結果、漁業が量から質へ転換され、安定した資源管理が実現しています。
ノルウェーの漁獲量と売上額を見ると、漁獲量は横ばいでも、売上額は大幅に上がっています。
ノルウェーの漁師は休みも多く、海外でバカンスをとる人も多いと言います。
2016年に行われた漁業者への満足度の調査では、99%が今の仕事に満足していると回答しています。
ノルウェーだけでなく、北欧では、資源管理が成功し、漁業が成長産業になり、次々と設備が充実した漁船が製造されているといいます。
デンマークの漁船の中には、運動ができるジムや、ピアノが弾けるスペースがあります。
さらに、日焼けサロン付きの漁船もあるといいます。
最新鋭の魚群探知機などをそろえたコントロールルームもあります。
「漁業先進国でも乱獲による水産資源の枯渇は起きたが、乱獲を認め反省し、水産資源管理を進めた。日本も手遅れになる前に水産資源管理を徹底していくことが必要」
■『漁獲枠』漁業関係者のホンネ 日本 魚資源を守る対策は
『漁獲枠』について、漁業関係者はどう思っているのでしょうか。
「グループで漁獲枠が設定されているため、他地域でとれすぎるとこちらの漁にも制限がかかる。“早いもの勝ち”になっているのはどうなんだろうと思う。船ごとに漁獲枠を設定することも取り入れるべき」
「漁獲枠の関係でスルメイカがとれなくなると、とったスルメイカをエサにして釣るブリなどもとれなくなる。生活には大きな打撃に」
「『小型スルメイカ釣り漁業』では、都道府県ごとではなく国がまとめて漁獲枠を管理している。イカは南から北へ北上するため、本州でとり過ぎると北海道にイカが来た時点では、もう漁獲枠はなくなっている。この点は不公平だと思う」
約70年ぶりの漁業法改正では、新たな資源管理システムの構築が掲げられました。
資源管理の目標を定め漁獲枠を設定。
漁船ごとに漁獲枠割り当てること。
また、対象魚種を順次拡大することなどが盛り込まれました。
スルメイカの事例です。
2025年度、もともと設定されていた漁獲枠が2度引き上げられました。
当初の漁獲枠は1万9200トンでしたが、2万7600トンになりました。
「漁業者の経済的支援のために漁獲枠を変更したわけではない。漁獲枠は水産研究・教育機構の調査やデータにもとづいて決める。スルメイカは寿命が1年の予測が難しい魚で、2025年度は想定外の豊漁となったため特別に変更した」としています。
「漁獲枠は資源を持続的に利用するために設定するので、枠に余裕があることは悪いことではない。ただ小さい魚がたくさんとられるのは良くないので、水産庁も対策を進めている」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年5月20日放送分より)




















