飲料の自動販売機が大きく減少しています。
飲料の自動販売機が苦境を迎える一方で、念仏を唱える自販機や婚約指輪の自販機など新たな自販機も登場しています。
その進化や魅力についても見ていきます。
■“自販機専門家”注目 変わり種自販機 婚約指輪に物語も!?
まずは、自動販売機専門家の石田健三郎さんについて紹介します。
石田さんは会社員として働く傍ら、15年以上にわたり、自動販売機を研究しています。
全国各地の5000台以上の自販機をめぐり、SNSなどでその魅力を発信し続けています。
自販機にハマったきっかけは、大学生のころ、ポーランドからの留学生の友人が、
「日本に来て一番驚いたのは、 街中に自販機があふれていることだ」と話すのを聞いて、
「日本独自の文化かもしれない」と日本文化史のゼミの卒業論文テーマにしたことから始まりました。
「海外の自販機では、壊れた商品が出てくるなど、日常茶飯事。日本は緩衝材を多く入れて、衝撃を吸収する構造となっており、海外の自販機にはない、日本人の『優しさ』や『おもてなしの心』が備わっている。その面白さが調査の原動力にもなっている」
5000台の自販機を見てきた石田さんがオススメする変わり種自販機を紹介します。
まず、ロッカー型の自販機ですが、中に入っているのは婚約指輪です。
指輪はプロポーズする際の演出用で、ダイヤがはめ込まれた真鍮製の指輪となっています。
値段は9900円です。
この自動販売機は東京・渋谷区千駄ヶ谷にあるジュエリーブランドの直営店に設置されています。
続いては、物語が出てくる自動販売機です。
主に学校やイベント会場などに設置されるこの自動販売機は、設置場所とゆかりのある小説の一部など、500文字から2500文字程度の文章がレシートのような形で出てきます。
値段は無料です。
例えば、現在設置されている青山学院大学では、駅伝の原監督の著書の一部や学生が書いたオリジナルストーリーなども読むことができます。
青山学院大学では6月23日まで設置され、今後はイベントの他、高校や観光地などにも設置される計画だということです。
■日本の自販機 海外からも好評も飲料は苦境 なぜ?
日本は世界有数の『自販機大国』といわれています。
街の声です。
「最近、月島でもんじゃの自販機を見つけて買った。お店と変わらない味が楽しめた」
「日本では、色々なところに自販機があって便利。アメリカと比べると、安くて種類も豊富」
一方、飲料の自販機については、こんな声も。
「ドラッグストアの方が安く、種類も多いし、サイズもドラッグストアの方が大きい」
「飲み物は普段、家から持参。持って行かない時は、コンビニを利用。自販機は定価なので高いイメージ」
清涼飲料の自販機の台数です。
2014年がピークで、約247万台だったのが、2025年は、約195万台で、ピーク時から2割減りました。
また、調査開始以来、初めて200万台を下回りました。
飲料メーカー各社の現状と対応です。
ポッカサッポロは、10月に自販機事業を売却予定です。
ダイドーは、採算の取れない自販機、約2万台を減らします。
コカ・コーラボトラーズジャパンは、2025年12月期の自販機事業の減損額が約883億円。
伊藤園は2026年4月期の自販機事業の減損額が約138億円となりました。
飲料の自販機が減っている背景です。
▼原材料・物流費・自販機の電気代などの維持費が上昇していること。
▼商品の補充や代金の回収を担う人手不足。
▼宅配サービスの普及。
▼物価高から消費者の節約志向が高まり、マイボトルを持ち歩く人が増えたことなどがあります。
飲料の購入先の推移です。
かつては、自販機が購入先としてトップでしたが、2009年には、スーパーに並ばれ、2024年には、コンビニにも追い付かれました。
ドラッグストアなどの割安な商品展開やコンビニカフェの拡大などで自販機離れが進んでいます。
■自販機の進化 日本独自『冷温同時』 災害時の活用も
自販機は、社会の変化に合わせてさまざまな形に変わってきました。
世界最古の自販機は、紀元前215年ごろの古代エジプトの寺院に置かれた『聖水自販機』だと言われています。
コインを投入すると、重みで水が出る仕組みとなっていました。
一方で、日本での自販機の動きです。
日本で現存する最古の自販機は1904(明治37)年に作られた、はがきと切手の自販機でポスト機能も備えた製品でした。
その後、ガムやたばこの自販機が登場しましたが、大きな発展をすることはなく、第2次世界大戦を機に、自販機の普及が止まりました。
では、なぜ日本が『自販機大国』になったのでしょうか。
自動販売機専門家の石田さんによると、3つの転換期がありました。
1つ目の転換期は、1960年代、コカ・コーラの自販機が日本に本格進出したことです。
他にもコーヒーなどの自販機も登場したことで、自販機=飲み物のイメージが消費者の間で定着していきました。
2つ目の転換期は、1970年代です。
高度経済成長で、物流が急増したことで、深夜の長距離ドライバーが増えました。
まだ24時間のコンビニが少なく、深夜の冷たい飲み物や温かい飲み物の需要が高まったことで、冷たい飲み物と温かい飲み物を一緒に販売する『HOT&COLD自販機』が誕生しました。
石田さんによると、実は1台の自販機で冷たい飲み物と温かい飲み物を同時に販売するのは、日本独自のものだそうです。
「ホットとコールドが一緒になっているのを初めて見て、驚いた。とてもナイスだと思う」と話していました。
これと同時期に、食品を調理してくれる自販機も誕生しました。
現在は、『レトロ自販機』と呼ばれ、人気となっています。
中でも『うどん・そば』、『ハンバーガー』、『トーストサンド』はファンから『御三家』と呼ばれています。
3つ目の転換期が、2020年代です。
新型コロナにより、営業自粛を余儀なくされた飲食店と自宅で本格的な料理を楽しみたい消費者のニーズが一致したことで、飲食店の料理をもとにした冷凍食品の自販機が誕生しました。
また販売される商品だけではなく、自販機自体も変化をしてきました。
1995年1月に起きた阪神・淡路大震災で自販機の転倒が多発したことで、足元の固定など、据付基準が改定されました。
改定を続けた結果、東日本大震災では、基準を遵守した自販機の転倒事例は見られなかったということです。
※ズレや津波よって流された結果の転倒は除きます。
ほかにも近年では、
▼災害時に自販機内の飲料を無料で提供できる自販機
▼リアルタイムで災害情報を伝える電光掲示板を装備した自販機
▼停電時に、搭載した蓄電池により自動でWi-Fiが作動する自販機
などもあります。
■最新自販機 高齢化・気候変動 社会の変化に対応
社会の変化に対応した新しい自販機も出てきています。
高齢化社会に対応の自販機、『とろみ付き自販機』です。
とろみボタンが付いていて、購入の際に押すと、コーヒー、カフェオレ、ココア、レモネードなどにとろみがついて出てきます。
とろみの具合が3段階で調節できます。
高齢者など嚥下機能が低下した人の飲み込みをサポートする役割があり、医療機関、介護施設などを中心に設置されています。
続いても高齢化社会に対応した『みまもり自販機』です。
タグを身につけて外出した認知症高齢者などが見守りセンサーを設置した自販機のそばを通るとセンサーがタグに反応し、位置情報を保護者(家族など)に送信してくれます。
フードロス削減ができる自販機です。
カップに入ったサラダを販売する自販機なのですが、自販機の上にAIカメラがついていて、通行量(人通り)や立ち止まった人を集計します。
通行量に、各商品の消費期限などのデータを組み合わせて、最適な販売価格を分析。
AIが自動で価格の更新をします。
気候変動に対応した自動販売機もあります。
建設現場などで、この自販機に社員証をタッチして飲料を受け取ります。
そうすると、いつ・誰が水分補給したのか、リアルタイムでデータ管理ができます。
もし何時間も水分をとっていない従業員がいたら、データを管理する人が「水分を取ってください」と促すことができ、従業員の熱中症対策に活用できます。
「高齢化社会、AIの台頭、地球温暖化など、社会の変化に対応した自販機が今後も出てくる。単に飲み物を売る機械というよりは、より社会に根ざした、インフラ的な役割を担っていくのでは」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年6月23日放送分より)

















