経済

モーニングショー

2026年7月15日 16:00

進む“コメ離れ”価格低下も販売数は横ばい『需要に応じた生産』農業への影響は?

進む“コメ離れ”価格低下も販売数は横ばい『需要に応じた生産』農業への影響は?
広告
4

コメの価格が1年半ぶりの低水準となっています。

しかし、消費の現場ではコメ離れが進んでいます。

改正食糧法に明記された『需要に応じた生産』がもたらす農業への影響についてもみていきます。

■“コメ離れ”価格低下も食卓に“異変”炭水化物の摂取減も

下落するコメ価格と、販売数についてみていきます。

スーパーのコメ販売価格です。
最新の価格は、3458円となっており、最高値を記録した2026年1月より、1000円近く安くなっていて、約1年半ぶりの低水準となっています。

しかし、2026年3月からの販売価格と販売数量をみていくと、価格は一貫して下がっていますが、販売数量は、ほぼ横ばいになっていることがわかります。

なぜこのような状況になっているのでしょうか。
スーパーの買い物客に話を聞きました。

60代女性は、
「5キロ2000円くらいで買えていた時は、息子はお米をどんぶりで食べていたけど、今はコメの量を減らしつつ、炭水化物を維持できるようにやきそばやスパゲッティ、パンをピザ風にしたものなどで工夫して食べさせている」と話します。
20代男性です。
「コメが不足し、高騰したとき、朝はパンを食べるようになった。コメの値段が下がった今でも、パンを食べている
80代男性は、
「コメが値上がりした時に、主食を麺類に切り替えた。コメの値段が下がっても麺類中心の生活が続く」と話しています。
横浜のスーパー『セルシオ』の久保田さんは、
「コメの価格は下がっているが、購入量は増えていない。パンや麺類の売り上げは減っていないのでコメの代替品として定着して、戻り切らないことも考えられる」と話します。
農業経済学が専門の宮城大学名誉教授、大泉一貫さんです。
「いったんコメ離れしてしまったら、コメ中心の消費パターンに戻しづらくなる。このままいくと米価は3500円台ぐらいでとどまりそうだが、この価格だとコメ離れのトレンドは変わらない

コメの消費量についてみていきます。

1人当たりの年間のコメの消費量は、2024年度までの30年で21%減少しています。
そして2025年度の1人1カ月あたりのコメの消費量も前年比で6.1%、お茶碗4.4杯分減っています

コメとほかの主食の購入量を比べてみます。
コメ・パン・麺類の購入量を見ていくと、コメは1995年に年間で106.4キロだったのが、2025年には61.3キロ大幅に減少しているのに対し、パンと麺類は横ばいとなっています。

さらに炭水化物自体の摂取量も減っています。

炭水化物の摂取量について、大泉名誉教授によると、
「昔よりカロリーをおかずで摂取し、炭水化物を控える傾向」があるということです。

グラフを見ると、炭水化物の摂取量は30年で15%減っており、これもコメの消費減につながっているといいます。

広告

■コメ『需要に応じた生産』 事実上の減反?背景に農家の声

そうした中、コメの安定を巡る重要な法案が成立しました。

7月8日に成立したのが、改正食糧法です。
その中でコメ生産について『需要に応じた生産』という方針が示されました。
これは、各産地や生産者が主食用米の需給動向等を踏まえて、自らの経営判断によって作付けを行うという方針です。
国内外の需要を創出することを前提としているということです。

現状のコメ生産は、国がその年の需要見込みを発表し、各都道府県ごとに生産量の目安を示すというもので、需要動向を踏まえてコメの生産を行う『需要に応じた生産』というのは、事実上の減反政策だという指摘があります。

減反政策は、国が都道府県ごとに生産目標を設け、生産量をコントロールするというもので、生産を抑制し価格を一定に維持し、農家を保護する改善でした。

コメの生産方針は2025年8月、石破政権で今後の需給ひっ迫に柔軟に対応できるよう『増産』へとかじが切られましたが、事実上の方針転換されたことになります。

この方針転換の背景の一つには、農家の声があります。

千葉県のコメ農家の方は、
「資材費が高騰しているなか、コメの価格がどこまで下がるか考えるのが怖い。このまま下がり続けると大きな農家でも何年後かやめる所も出てくる」
新潟県のコメ農家の方は、
「去年高騰した価格を維持してほしいとは言っていません。最低でも来年以降もコメが作れる再生産可能な価格であればいい」と話し、コメの価格が下がることに対し、不安や心配の声が上がっています。
宮城大学の大泉名誉教授です。
「『需要に応じた生産』は旧態依然とした農家保護の方針でコメの値段を高くして農家の収入を増やそうとしている。これでは消費者のコメ離れがさらに加速する
広告

■“コメ余り” 米価下落の懸念 備蓄米買い戻しも?

“コメ余り”によるコメ価格の下落を懸念し、こんな動きも出ています。

コメの民間在庫量は、5月末時点で223万トン、前の年の同じ月と比べて74万トン多く、過去最多となっています。

新潟県のコメ農家は、
「政府が備蓄米を買い戻さなければコメ余りは解消されない」といいます。

備蓄米の買い戻しをめぐる動きです。

複数の関係者によると、6月、鈴木農水大臣は、下落するコメ価格を買い支えるため、備蓄米の買い戻しを高市総理に提案しましたが、高市総理は、物価高対策に逆行するなどの懸念から慎重な姿勢を示したといいます。
備蓄米が買い戻されると市場に出るコメが減るため価格が上がる可能性があります。

備蓄米の買戻しの方針について、鈴木農水大臣は、
「コメの基本指針に沿って今後の需給状況や動向を見定めた上で適切に判断する」としています。

備蓄米の買い戻しについて、農水省内の受け止めです。

備蓄米の買い戻しをめぐり、農水省内からは、
生産者などが暴落を避けるために買い戻しを求めるのはわかるが、二度と店頭からコメが消えることが無いようにしなければならない。今の状況で買い戻すのは難しいのではないか
「2026年産の新米はこのままいけば大豊作になるだろうから、2025年産を買い戻してもコメ価格が下落していく傾向は変わらないだろう」という声があがっています。
広告

■『需要に応じた生産』農家減少の懸念 コメの未来どうなる?

今後の『コメの需要と生産』の予測です。

『現実的なシナリオ』では、需要量は2030年から減少し、2040年に375万トンとなりますが、生産可能量は需要量より減少し、2040年に363万トンとなるため、需要を生産で賄えない状況になります。
また、『輸出推進』や『コメ市場の拡大』でコメの需要が拡大すると仮定した『野心的シナリオ』では、2040年には需要量が722万トンとなり、生産可能量と359万トンの差が生まれます。

コメの生産者数の推移です。

個人や世帯で事業を行う『個人経営体』は2010年に約116万でしたが、2025年には約52万となり、約55%減少
一方、農業法人などの『団体経営体』は2010年は約9200でしたが、2025年には約1万7000と、約84%増加しています。

農業法人を経営する徳本修一さんは、
「担い手がいなくなった田んぼを毎年、集約・集積しているが、点在しているため生産効率は上がらず、このままでは担いきれない
「持続可能な営農のための基盤整備や、田んぼの集約に多くの地権者の合意形成が必要となる現行法の見直しなどをセットで考えなければ、生産は縮小する需要にすら応じられなくなる」といいます。
宮城大学の大泉名誉教授です。
「『需要に応じた生産』で需要が減少すれば、生産量も減らされるので農家の減少が加速する懸念がある。需要増の現実的な戦略が見えなければ、食料安全保障の根本的な問題は解決しない

(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年7月15日放送分より)

広告