楽天グループがドイツの防衛テック企業ヘルシングと連携し、防衛省へのドローン納入を支援することが報じられた。これを受け、SNS上では「#楽天不買」「#さよなら楽天」といったハッシュタグが拡散。
不買運動の動きは消費者だけにとどまらず、複数の企業が楽天市場からの撤退を表明している。『ABEMA Prime』では、不買運動の当事者を招き、その理由と反応について考えた。
■専門家が示す論点「個別の兵器だけを議論するのはどうなのか」

ヘルシングが納入を目指すドローンは、沿岸から敵が上陸するのを阻止する能力があるとされ、防衛省はすでに実証実験を9月末まで行うという。
将来的には国内量産化も視野に入れているという。一部では「攻撃用」という言葉から、様々な疑念をもつ声もあるが、楽天側は「陸上の安全な地域から遠隔操作をして、沿岸部へ接近する対象に対して精密な誘導を行うことで、上陸を抑止する用途に利用できる」と説明する。
安全保障アナリストの部谷直亮氏は、「初めて民間で存在感のある会社が防衛分野に入ってきた」と評価する一方、「個別の兵器だけを議論するのはどうなのか。球団経営について話すときに、『このバットはどうか』『このグローブはどうか』とはならない」と指摘した。
新外交イニシアティブ代表の猿田佐世氏は、不買という手段について「アパルトヘイト時代の南アフリカに対するボイコットは、世界中が押した結果、政策が改善された成功例だ」と紹介。「買わないこと自体は誰にも迷惑をかけない。普段は何の声もない市民が、意思を迷惑をかけずに表明するという意味で有意義な手段だ」と語った。
文筆家の佐々木俊尚氏は、論点を整理する。「安全保障の根幹の話で、抑止力を攻撃と見るのか防衛と見るのかは、ほとんど宗教的な違いになってくる。世界中の常識は、『こちら側が武器を持つこと自体が抑止力になる』。日本ではその前提のズレが議論を進めない要因になっている」と述べた。
■なぜ楽天だけ?米企業のサービスは…「生活の一部になりすぎている」

「#楽天不買」を表明した40代会社員のまきさんは、きっかけを次のように語る。「Xで流れていたハッシュタグから知った。楽天市場で買い物をしていて、信頼を寄せていたが、『戦争の片棒を担ぐような恐ろしいものを始めるのか』という衝撃から始まった」。
そして「今回のことをきっかけに、アメリカの大手IT企業や、日本のメーカーも軍事産業に関わっていると知ることができた。今まで自分が不勉強だった証拠だが、自分ができる範囲で、今の生活が大きく乱れないような範囲で声を上げていけたらいい」と説明した。一方で米大手ITが手がけるSNSやサービスについては「生活の一部になりすぎているので、買い物はできるだけ控える程度」だという。
この発言に対し、ギャルタレントのあおちゃんぺは「不買という観点のみに絞れば、めちゃくちゃいい表現の仕方だと思う。自分が買わないだけなら誰にも迷惑をかけない」と一定の理解を示した上で、疑問を投げかけた。「『楽天だけ排除』には一貫性がない。ご都合主義。拒否するなら全部拒否しろよと思う。ダサい、やってることが」。
■「平和を訴えている割に、結構バイオレンス」

OVER ALLs代表の赤澤岳人氏は、不買運動そのものの性質に疑問を投げかけた。「楽天はドローン導入のお手伝いであり、別に戦争を始めたわけではない。でも平和を訴えている人たちの方が先に、一企業を懲らしめてやると実行力を行使している」と指摘。「平和を訴えている割に、やってることは結構バイオレンスだなと」と述べた。
佐々木氏は「楽天はもともとウクライナに対する人道支援をずっとやってきた企業で、三木谷氏個人も10億円くらい寄付している。楽天も募金を集めて13億円くらい送っている。人道支援だけでは足らないと、ウクライナが自ら自分たちを守るためにドローン戦争に入っていかなきゃいけないという意思を支える形で、楽天がドローンにコミットしていった。それを知っていたのか、知っていても反対なのか」と問うた。
まきさんは「不買運動の後に知ったこと。支援していることはすごいと思うが、それはそれ、これはこれ」と答えたが、佐々木氏は「なぜそれを分けるのか」と重ねて疑問を呈した。
議論の最後、まきさんは心境の変化を語った。「Xのハッシュタグから始まった行為だったが、詳しい人々から話を聞き、『そういった側面もあるんだ』『でもこういった事情もあるんだ』『じゃあ落とし所はどこなんだろう』と、ひとりでは考えつかないところに至っている。いろんな人と対話の場を持って、いろんな角度の話を聞かせていただいて、大まかに『こういうのがいいんじゃないかな』という決着がつけられたらいい」。
(『ABEMA Prime』より)