先日、秋田県職員がラブホテルから会見に参加し、バスローブ姿でタバコを吸った様子が問題視された。会見では職員に注目が集まったが、実はこの会議の議題は、秋田への「国内最大級のAIデータセンター誘致」だった。
【映像】秋田県“ラブホ会見”に隠れ…本題だった「データセンター計画」とは
巨大なAIインフラは地域活性化の起爆剤となるとの期待の声が上がる一方、「必要性はわかるが家の近くには立ててほしくない」「環境破壊につながる」といった声もあり、環境汚染や騒音を懸念して全国各地で反対運動も起きている。
『ABEMA Prime』では専門家とともに「データセンターは迷惑施設なのか」について考えた。
■「迷惑施設から脱却しようという事業者の気持ちがない」

建設のリスクや影響を研究する「都市型データセンターあり方検討会」事務局の伊瀬洋昭氏は、「迷惑施設から脱却しようという事業者の気持ちがない」と指摘する。そのうえで「データセンターはセキュリティ性が高いものなので、秘匿性を理由に情報が出せない。結局、住民の隣に来るのは巨大な建物であったり、看板のない建物であったりする」と話す。
加えて、「エネルギーも大量に使い、非常用発電機は発電所並みのものを置く。リチウムイオン電池も半端でない量を置き、火災のリスクもある。しかし情報がないため、住民は不安を感じる。説明が本当に欠けている」と指摘する。
また、伊瀬氏が特に問題視するのは、住宅に近接する大型データセンターだ。地域と共生を重視する事業者については、「自治体や住民とのコミュニケーションをとり、その地域に根付くものを作ろうとしている」と説明する。
一方、問題になっているケースについては「投資の対象として、空いた土地があれば買って箱を作り、そこにデータセンター運営者を誘致する」と説明。売買や不動産信託などを経て、さらにクラウド事業者なども関わるため、「それぞれの段階ごとに主体が変わり、最後まで責任を負う主体が開発主体ではない」と語る。
さらに、排熱についての問題も挙げ、「限られたところで排熱するため、最近の研究では周辺で2℃ぐらい上がる可能性があると言われている。特に真夏、データセンターは一番エネルギーを使って排熱する。熱中症リスクが心配なときに最も熱を出し、それを除去するために水蒸気も出すので、熱中症リスクが上がってしまう」。
非常用発電機の月1回の点検時に、黒煙や騒音が発生する可能性にも触れ、「マンションの高層階にいる人はもろに音の影響を受けるが、事業者は秘匿性を理由に情報すら出さない」と述べた。
■「規制が全く追いついていない」

議論は法整備の遅れにも及んだ。伊瀬氏は「マンションに関しては規制があり、例えば東京都日野市では高さ25mに制限されている。しかし、そこにデータセンターは想定されておらず、そこに80mの計画が出てくる。規制が全く追いついていない」と指摘した。
続けて、「建築基準法第2条にある『特殊建築物』にデータセンターは含まれていない。火災の危険があったり、周辺に影響を及ぼすものは“特殊建築物”として位置づけられるが、データセンターは“一般建築物”として事務所扱いになる」と説明。実態と位置づけが乖離しているとして、「必要な建物ではあるが、危険性も踏まえ、用途規制を行う上で区分を明確にしてほしい」と求める。
「制限を設けていない国や地方自治体側の問題では」との問いには、「おっしゃる通りだ。行政は先を読んでコントロールしていかないといけない」と応じた。
データセンターの電力問題に詳しい「エネルギー経済社会研究所」代表の松尾豪氏は、規模感をこう説明する。「今できているデータセンターは受電容量が25〜50メガワット、場合によっては100メガワット。湾岸の工業地帯にある工場が、1個あたり50〜100メガワットだが、それが1棟にギュッと集まり、家の横に建つ」。
「これだけ大量のエネルギーを消費する施設が、アセスメントもなく建ってしまう現状には課題がある。工場立地法の対象にもならないので、工場のような位置づけを考えていく必要がある」と指摘する。
■「地域の発展につながるデータセンターを一緒に考えていくことが大事」

安全面のリスクについて伊瀬氏は、「2025年、韓国の政府系情報を蓄えているデータセンターで大きな火災事故があった。今年6月にはインドでもあった。中に含まれているリチウムイオン電池は半端でない量で、1回火がつくと素材の中から酸素が出てくるためガス消火器でも消せない。熱暴走を起こして全体が燃えてしまう事故になりかねない」と説明。
非常用発電機の燃料についても、あるデータセンターでは120万リットルの重油が埋設される例があると説明。「重油の保存期限は3カ月。定期的に除去しないと目詰まりを起こす。建物の中に浄化装置を設ける、排ガスは黒煙除去装置を必ずつけるなど、安全対策をきちんと取らせていくことが住民の理解を得る上で重要だ」と述べた。
排熱の活用について、フィンランドで地域暖房に活用する動きがあることに触れられると、「北海道では融雪に排熱を利用している。採算は取れなくても、地域貢献と位置づけている。データセンターによって地域が暮らしやすくなるよう、事業者と自治体と住民で作り上げていくプロセスが、これから重要視されるのではないか」と話した。
松尾氏は「ある程度まとめてデータセンターを開発する考え方も必要になる」と提言。「発電所を建てるときも、いきなり住民説明会もなく建てると言えば困る。『立地共生』とよく言うが、地域住民にしっかり理解してもらう活動が重要だ」と語った。
伊瀬氏は「住宅に近接するところに作る場合は、受電容量10メガワット以下にしてほしいと要望を出している。地域の発展につながるデータセンターを一緒に考えていくことが大事だ」と願った。
(『ABEMA Prime』より)