日本国内で流通する衣料品のうち、日本製が占める割合は1990年時点でおよそ50.4%あったが、現在はわずか1.1%にまで落ち込んでいる。店頭に並ぶ100枚のうち、日本製はわずか1枚という計算だ。
ファストファッションの普及とともに、企業はコストを抑えて大量生産できる中国などのアジアへ生産拠点を移し、海外で作られる服が急増した。背景には、安く買えるファッションへの消費者ニーズもある。
こうした状況の中で、純国産にこだわる作り手たちがいる。『ABEMA Prime』では、メイドインジャパンのアパレルが直面する危機と、それを守るために必要な取り組みについて考えた。
■「1500円かかっているのに、売上1000円」

秋田県大館市の自社工場で日本製Tシャツを手がけるZOOM代表・加々村征氏は、国産比率がここまで下がった要因について「理由は一つではないが、一番大きいのは洋服の単価が落ちたことだ」と語る。
「1990年の1万円あたりの単価は約6200円だったが、2024〜25年では約3200円と、半分ぐらいの値段になっている。海外に生産が移り、安く作られ、単価が落ちたことで国内に仕事がなくなり、職人もいなくなり、技術が失われた結果が1.1%だ」と説明した。
加々村氏の工場で作られるTシャツは、生地・編み・縫製すべてを日本国内で行う純国産で、価格は税込9900円。「正直、9900円でも安いと思っている。原材料費、人件費、会社が発展するための利益を入れてこの値段だが、それでも足りない」。
さらに、単価低下の背景として「昔はアパレル側が上代を決めていた。例えば5900円で売り出すTシャツでも、縫製工場は『1000円で作ってね』と言われる。本当は1500円かかっているのに1000円しか売上が出ない。その積み重ねで、儲からずに今に至っている」と明かした。
■「作りたいときに作る手段がなくなる」職人と技術喪失への危機感

岸田文雄元総理も着用した日本製ネクタイを手がける笏本縫製代表・笏本達宏氏は、「京都で織られた西陣織の生地を用い、岡山県津山市の自社工場で職人が1本ずつ縫製している」と商品説明しつつ、価格設定(1本1万4300円)については「決まった状態で作るのではなく、『自分たちが思いを込めて、これだけのクオリティを出せる』という価格を積み上げて出した」と語る。
日本製が激減した現状については「危機的な数字だが、現場にいる我々からすると『ここまで来たか』という感覚だ。海外に生産が出て単価が下がり、国内でなかなか受けられない状況が続いてきた結果、若い職人を育てることもできなくなり、作る力が失われた」と述べた。
加々村氏はメイドインジャパンを守る意義について、こう強調する。「日本は資源がない国だ。昔から原料を仕入れ、手間と価値をかけて海外に売って大きくなった。そのものづくりがなくなり、全部が海外に依存すれば、ファストファッションでさえ高くなってしまうかもしれない。海外が決定権を持てば、今の安さではいけないかもしれない。作りたいときに作る手段がないとなれば、皆が考えているよりも悲惨なことが起きる」。
笏本氏も「ものづくりは国の足腰だ。田舎の端っこから、ある意味で国防をやっているんだという気持ちで、ものづくりの火が消えないよう戦わなければならない」と語った。
■益若つばさが感じた“ものづくりの課題”

自身もアパレルブランドを手がける益若つばさは、メイドインジャパンで作ろうとした際の困難を明かす。「実際に交渉してみると断られたり、お金の面で高くなりすぎたり、『職人が足りない』『海外からの大量発注で手が回らない』と言われる。大手の会社とやってもこんな現状で、日本中のものづくりはどうなってしまうんだろうと危機感がある」。
その上で「次にはやるものは、生産者や作り手がしっかり分かる“透明性のあるもの”だと思う。工場見学に行くと本当に楽しい。職人のおばちゃんが一つ一つ丁寧に作っている工程を聞くと、買いたくてワクワクする。生産背景や透明性が分かれば、『もっとこの人たちに幸せになってほしい』『ここで買いたい』となる」と語り、消費者と作り手をつなぐ仕組みの必要性を訴えた。
笏本氏は、補助金だけでは解決しないとした上で、「戦い方が分からない、チャンスが少ない、知ってもらう機会がないというのでは、町工場や職人は戦えない」と語り、「作り手が集まる『日本製の覚悟展』などを通じて、作り手と消費者が出会える場を広げていきたい」と意気込んだ。
(『ABEMA Prime』より)