10月1日から企業のカスハラ対策が義務化されました。従業員を守るためにどう対策をすればいいのか。企業が対応に追われるなか、AIを使ったカスハラ対策が注目を集めています。
モンスターが大衆化 AI活用で対抗
客などが従業員に対して不当な要求や暴行を行うカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」。
エンゴシステム 援川聡さん
「通常の社会生活を営んでいるごくごく一般的な方が、ささいなきっかけがあればドカンと爆発して、理不尽な過大な要求をするという、モンスターが大衆化している」
社会問題とも言えるカスハラの対策に、AIを活用する動きが、いま広がりを見せています。
4人に1人が「カスハラ電話」を経験
9月、社会人2000人を対象にカスハラに関する調査が行われました。調査では4人に1人が「理不尽な要求や暴言」などのカスハラ電話を「受けたことがある」と答えています。そして被害経験がある人のおよそ6割が、職場のカスハラ電話への対策が「不十分」だと感じているといいます。
こうした状況を受けて、法改正が行われました。10月1日から、すべての企業に対してカスタマーハラスメントの対策が義務化されたのです。
長年、企業のカスハラ対策を指導してきた、援川聡さんは、従業員から期待の声が聞かれる一方で、企業側には戸惑いが広がっていると話します。
「企業はそもそもお客様満足、売り上げがアップしてお客様にリピーターになっていただいて、 というのが基本中の基本。それをいきなり難しいお客様だから、怖そうなお客様だから、声が大きいからカスハラですと。現場で従業員がえいやとバッタバッタとカスハラ対策法という刀で消費者をぶった切っていいのかという悩み。」
一次対応は「AI電話」に
企業が難しい対応を求められる中、いま注目を集めているのがAIを使ったカスハラ対策です。
仙台市の病院では、深夜にかかってくる、不審な電話に悩まされていました。電話の相手は、特定の看護師に代わるよう要求し、個人情報などをしつこく聞き出そうとした上、断ると罵倒したといいます。
何度もかかってくる「カスハラ電話」の対策として、この病院が導入したのは、AI電話「ミライAI」です。夜間にかかってくる電話の一次対応をAIが行うことで、看護師が直接対応せずにすみ、不審な電話自体も無くなったといいます。
AIで「罵声」⇒「穏やかな声」に
さらに、AIを使ったこんな技術も。
ソフトバンクの「SoftVoice」は、顧客からの威圧的、攻撃的な声を、リアルタイムで穏やかな声に変換します。顧客の怒りなどの感情を残しながら、怖さを感じない声に変換することでオペレーターの負担を軽減。「人を代替するAI」とは違う、「人を支えるAI」の形を目指しているといいます。
AIアバターで接客トレーニング
そして、AIを別のアプローチで活用するサービスも登場しました。
「注文してからもう30分以上待ってるんだけど!まだ料理が来ないってどうなってるの!」
「大変お待たせしており申し訳ございません」
東京海上日動の「Talktice」は、AIアバターがリアルな接客現場を再現するトレーニングツールです。業種別に用意された想定シナリオを反復トレーニングすることで、初動の言葉づかいやクレームとカスハラの線引きなど対応力の向上と、心理的負担の軽減を後押しします。
AIどう活かす? 企業がとるべき姿勢は
接客の代行や、音声変換、従業員の教育など様々な形で活用されるAI。これらのツールをどう生かしていくのか。カスハラ対策に向かう企業の姿勢が問われています。
「いきなり10月1日にすべてのマニュアルが完成して『我が社はこの方針でいく』とはいかないと思います。ほとんどの企業はそうはならないと思うし、大企業が大丈夫かというと大丈夫じゃない。不安です。でもその対策を、道を歩もうとしているのか、まだ完成していないにしても前に向いて進んでいますよ。あなたたち(従業員)を守ろうという姿勢、ちゃんと考えて進みますというメッセージを伝えなきゃいけないと思います。」