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2025年8月8日 13:29

木之元亮 健康診断で前立腺がんが判明、手術、再発、放射線治療で克服!「お酒も運動もOKと言われました」

2025年8月8日 13:29

木之元亮 健康診断で前立腺がんが判明、手術、再発、放射線治療で克服!「お酒も運動もOKと言われました」
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1977年、「太陽にほえろ!」(日本テレビ系)の5代目新人刑事・ロッキー刑事として、トレードマークのヒゲで人気を博した木之元亮さん。卒業後は俳優としてだけでなく、リポーターとして、釣り、グルメ、旅番組など幅広いジャンルの番組に出演。「ウルトラマンダイナ」(TBS系)のヒビキ隊長役としても知られ、その後のウルトラシリーズにも度々出演。2020年には映画「三大怪獣グルメ」(河崎実監督)に政府が組織するシーフード怪獣攻撃部隊・SMATの響司令役で出演。二役を演じた映画「ハオト」(丈監督)が公開中。(この記事は全3回の後編。前編と中編は記事下のリンクからご覧になれます)

■ヒビキ隊長はロッキーが成長した姿

1997年に「ウルトラマンダイナ」に防衛組織「スーパーGUTS」のヒビキ・ゴウスケ隊長役で出演。隊員たちを見守る良き隊長として人気を集めた。

「つるの(剛士)や山田まりやなどスーパーGUTSのメンバーたちとは今も連絡をとっていますよ。イベントもあったりしますしね。ウルトラマンシリーズは、ダイナのあとも、今放映中の『ウルトラマンオメガ』(テレビ東京系)もそうですけど、結構呼んでもらっています」

――ヒビキ隊長役のオファーが来たときはどう思いました?

「うれしかったです。ヒビキ隊長は、ロッキーが成長したと思えばいいんです。変化球なしでまっすぐな芝居しかしてないので。ロッキーもそうだったけど、ヒビキ隊長もね」

――貫禄があって声も良いですし、衣装も合っていましたね

「そう言っていただけるとうれしいですね。隊長として出て、その後のウルトラマンのシリーズもちょこちょこっと全く違う役で呼んでくれるんですよ。今回の『ウルトラマンオメガ』では倉庫のオーナー、大家さんですからね(笑)。面白かったですよ」

2020年には映画「三大怪獣グルメ」に出演。この作品は、国立競技場をドンブリに巨大海鮮怪獣を海鮮丼にして食べるという驚きの設定の特撮怪獣映画。木之元さんは、怪獣攻撃部隊・SMATの響司令役を演じた。

巨大イカと巨大タコ、巨大ガニが出現し、東京は壊滅状態に。政府が組織するシーフード怪獣攻撃部隊・SMATは怪獣と死闘を繰り広げる中、切り落とした怪獣の切り身は誰もが驚くほど美味で怪獣グルメが大人気に。怪獣を倒すため、SMATは「海鮮丼作戦」を決行することに…という展開。

「怪獣の切り身を食べてみたらバカウマだったから、国立競技場をドンブリにして怪獣を海鮮丼にして食べちゃおうっていう発想がすごいよね(笑)。撮影も面白かったですよ」

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■健康診断で前立腺がんが見つかり手術を受けることに

「太陽にほえろ!」出演中からスポーツジムに通ってからだを鍛え、健康には自信があったという木之元さんだが、2022年、前立腺がんが見つかり手術を受けることに。

「65歳ぐらいから毎年健康診断を受けるようにしていたんですけど、PSA(腫瘍マーカー)の数値が少し高いから前立腺がんかもしれないと言われて。精密検査して間違いないということがわかって手術することになったんです。

それまで病気になったこともないし、からだには自信がありましたからね。初めてですよ。2022年にダヴィンチという(内視鏡手術支援)ロボットの手術をしたんですけど、取り切れない部分があったんでしょうね。PSAの数値が少しずつまた上がっていって。

今回の映画『ハオト』の撮影はその翌年(2023年5月)だったんですけど、そのときに『もしかしたら再発かもしれない』と先生に言われていたんですよね。それで撮影が終わって検査をやって『再発と判断しましょう』ということになって、年内はちょっと様子を見て、去年の2月〜4月の3カ月間、放射線治療を受けました」

――毎日同じ時間に通って放射線照射を受けなければいけないそうですね

「そうです。僕は週に5日、7週間通いました。その間にたまたま知り合いの自主制作映画の撮影があったんですよ。治療は午前中だったので、撮影の時間を僕に合わせてくれて、病院で放射線治療が終わってから、そのまままっすぐ現場に行っていました。3日か4日で終わったんですけどね」

――副作用というかダメージはありませんでした?

「それは人によって違うんですって。僕はそんなにダメージはなかったけど、やっぱり後半は少しだるい感じでした。あとは突然眠気が襲ってきたりすることはありましたけど、決定的なダメージはなかったですね。

放射線治療が始まって中間ぐらいで1回血液検査をやったんです。そうしたら『0.006』、ほぼ『0』なんですよ。

先生に『(コースの)半分やって0ということは、相当いいかもしれませんね』と言われて、全部終わってから検査したら、『0.00』という良い結果で。それから3カ月後ぐらいにまた検査したら『0.006』、ほぼ『0』ということで良かったですよ。

先生に『検査はもう1年に1回でいいんじゃないかな』って言われたんですけど、心配なのでもう少し縮めて次は9月初めに行く予定です。それで数値がよければ、その次は1年後なると思います。

だから、もうお酒を飲んでもいいし、運動してもいいと言われたので、去年の9月ぐらいからまたトレーニングを始めました。それまでは激しい運動はあまりやってはいけないと言われていたんですよね。

だから、放射線治療をやっているときは体重が105キロまで増えちゃったんです。どんどん体重が増えちゃって、それから3、4か月で10キロ減りました。9月から筋トレをやったり、有酸素運動をやって、脂肪と筋肉が入れ替わっている形で、体重は変わってないです。1キロしか変わってない。」

――今、体調はいかがですか?

「調子はいいんですけど、これで調子に乗っちゃいけないよって思っています。放射線治療を始める1カ月ぐらい前にいろいろな検査をしたら肝臓の数値が悪かったんですよ。毎日酒を飲んでいましたからね。

放射線治療を始める1カ月前に男性ホルモンをブロックする薬をまず飲むんです。どうしてかというと、前立腺がんのご飯は男性ホルモンだからブロックするんですけど、その男性ホルモンをブロックする薬は肝臓に負担をかけるんですって。

『木之元さんは肝臓の数値が相当悪いからね、フォローする薬をちょっと多めに飲みましょう』って言われて、1カ月間、男性ホルモンをブロックする薬と肝臓をフォローする薬を

飲んだんです。

そうしたら肝臓の数値もすごく良くなって、肝臓が健康になったんです。治療の期間はお酒を飲んじゃダメですから、結局去年の1月から5月までお酒をやめたんです。それで、肝臓の数値がものすごく良くなったので、お酒は3日に1回とか、4日に1回にして暴飲はしないと決めました。いまだにそれを守っています。あれだけ毎日浴びるように飲んでいたのに。

僕ががんだとわかったとき、うちのおふくろは92歳だったんです。これはちょっとおふくろには言えないなあって思いました。もう年だからあまりショックを与えてもいけないので。

おふくろは2年半前に亡くなったんですけど、最後までおふくろには僕ががんだとは言ってないです。それで、おふくろが亡くなってから、たまたまマスコミの取材があったので、

そのときに初めて公表したんです。言えなかったです。大変でしたよ、本当に」

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■対照的な二役に挑戦!コント芝居はナシ

現在、映画「ハオト」が公開中。この作品は、太平洋戦争末期に表向きには精神科病院と称されていた特殊機密施設を舞台に、戦争がもたらす狂気を描いたもの。木之元さんは、陸軍将校の森本と、彼にソックリな患者・鈴木くんの二役を演じた。

小学校を改装し、表向きには精神科病院と称されている特殊機密施設。そこには弟・正和(石田隼)が原因で突然軍を辞め、戦争や軍を批判し精神疾患扱いをされた元エリート海軍兵の水越(原田龍二)、原子爆弾開発間近に解離性同一性障害となった荒俣博士(片岡鶴太郎)、虚言癖と診断されたが、戦況を語るその虚言が100%当たる「閣下」(三浦浩一)、21世紀の未来の男性と交信していると伝書鳩を飛ばし続けている藍(村山彩希)など特異な患者ばかり。そこに二重スパイとして雇われた男が連れてこられ…。

――(俳優業もやっている)丈ちゃん(本作監督)とは『ウルトラマンダイナ』で一緒だったんですけど、最初に聞いたときは奇想天外で、『これはどうやったらいいんだろう?』って思いました。

僕は二役。鈴木くんは、顔がソックリだからということで森本を演じなくちゃいけなくなる。最初のセリフが『鈴木くんでちゅ』ですからね(笑)。

でも、コント芝居をやってもダメだなって。これは、終戦間際の日本の敗北がすでに見えてきた状況の中での話なので、やっぱり各々いろんなものを背負いながらも必死だったと思うんです。

軍は軍で、一般の人々もみんな戦争という状況の中で真剣に考えて、真面目にやって何とかしようと思っていた人がいる。そこに俺がいるんだというこということで、これはもう変化球なし。コント芝居ナシ。ロッキーのケースと同じだと思って真面目にやりました。

群像劇で、ロケ地の小学校に全員いました。現場の俳優さんの熱もすごかった。現場の俳優さんひとりひとりの熱を僕ももらいながら、まっすぐな芝居をやっていましたね。みんなの熱い思いを感じたし、スタッフもそれに影響されて頑張っていたので、絶対にいい映像が撮れていると確信しました。とてもいい経験だったなと思っています」

――丈監督とは、「ウルトラマンダイナ」から俳優仲間としてずっと一緒にやってこられて、今回は監督と俳優さんという関係でしたが、いかがでした?

「『ダイナ』の後も舞台も一緒にやっています。ドタバタに近いような舞台を小劇場でやったりね。

今回は映画。やっぱり映画の現場って独特のものがあるんですよね。監督の思っているプランをプラスアルファ俳優さんがやってくれたら監督は何も言わないですよ。そのプラスアルファができるように俳優さんは頑張るので。

それは相米(慎二)さんもそうなんだけど、やっぱり構えちゃダメなんですよ、芝居って。

そうすると、もうちょっと、もうちょっと…ってなるんですけど、最初にドーンと芝居をやっちゃうと、削る作業というのはやりやすいんですよね。削っていけばいい。

相米さんもそうでしたけど、『うるせえよ!』というぐらいのところでやるといい。そういうものなんだと僕は思うんですよね。今回はすばらしい人がたくさんいたので、丈ちゃんは気持ちよく見ていたんじゃないかな。ここまでやるかというぐらい、みんな頑張ってやっているので。編集は大変だったと思いますけど」

――桜も本当にきれいでしたね

「そうですね。まるであの時代にタイムスリップしたみたいな感じでした。戦後80周年の年に公開されるという意義は大きいと思います。ひとりでも多くの人に見ていただきたいなと思っています。監督の思いも含めて、俳優さんたちもスタッフも現場でいろんなものを感じながら頑張ったので、その手作り感を感じてほしいなって思っています」

――2019年に独立してフリーになっていかがですか

「息子が窓口になっているんですけど、全然変わらないです。少しずつ自信が持てるようになってきました。自分自身に期待して。からだも鍛えていますしね。筋肉って簡単なんですよ。筋トレをやると筋肉はつくので、やる気の問題なんですよね。

先日、久々に『太陽にほえろ!』のスタッフ、キャストとの食事会があったんですよ。そのときに竜(雷太)さんや神田(正輝)さんらみんなとお会いしましてですね。僕の原点は『太陽にほえろ!』。ロッキー刑事から始まったんだなって改めて思いました。

やっぱりロッキー刑事は忘れちゃいかんなと思っているので、原点はね。だいぶ老兵にはなりましたけど、もう1回からだを作り直して、気持ちもきちんと作り直して映像の世界、現場でもう1回でも2回でも、お話があれば現場の雰囲気を楽しみながら仕事ができたらいいなと思っています」

183cmの長身に鍛え上げた筋肉が映える。「X」で「筋肉おじさん」と称しているのも納得。「ウルトラマンオメガ」の最新ダイジェストPVではナレーションも担当。大病を克服して精力的に活躍している姿がカッコいい。(津島令子)

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