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2025年10月3日 14:03

藤井武美 オーディションで選ばれて本当の仲良し3人組に!「撮影最終日は3人とも号泣でした」

藤井武美 オーディションで選ばれて本当の仲良し3人組に!「撮影最終日は3人とも号泣でした」
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高校在学中にドラマ「高校生レストラン」(日本テレビ系)で俳優デビューした藤井武美さん。映画「桐島、部活やめるってよ」(吉田大八監督)、映画「向日葵の丘 1983年・夏」(太田隆文監督)などに出演。2018年には、オーディションで約1万人の中から日韓合作映画「風の色」(クァク・ジェヨン監督)のヒロインに。12月20日(土)に公開される映画「もしも脳梗塞になったなら」(太田隆文監督)に出演している藤井武美さんにインタビュー。(この記事は全2回の前編)

■芝居の経験はなかったが「楽しいな」って…

東京で生まれ育った藤井さんは、小さい頃は目立つことがあまり好きではなく、5歳上の姉の後ろにいてサポートするという感じの子どもだったという。

――俳優という仕事をしようと思い始めたのはいつ頃だったのですか?

「中学生の時です。小学生の頃から映画やドラマを見るのが好きで、夏休みの塾に通っていた時に昼休が1,2時間あって、みんなはご飯を食べて近くの公園で遊んだりしていたんですけど、私はレンタルビデオ店でDVDを1本借りて、家に帰ってお母さんとご飯を食べながら見るという感じで。

そういうのも影響はあったと思うんですけど、中学2年生ぐらいの時に知り合いの方に『ちょっと作品に出てみない?』って言われて。

まだお芝居もやったことがない状況だったんですけど、ちょっと出た作品があって、そこで初めて演技というものをさせてもらって、『楽しい!』ってなって(笑)。そこから色々興味を持つようになって、前の事務所の方にスカウトしていただいて芸能界に…という流れです」

高校在学中の2011年、「高校生レストラン」でデビュー。このドラマは、実在の高校生レストラン「まごの店」をモデルに、新米臨時採用教師と、将来への夢や希望を持てない高校生たちが料理を通じて成長していく様を描いたもの。藤井さんは、2年生の亀山志保役を演じた。

「『高校生レストラン』はオーディションでした。初めてのドラマが学園もので、同世代の子たちもたくさんいたのですごく嬉しかったです。私はドラマ未経験だったので、ほぼほぼ同世代の子たちがキラキラしながらお芝居をしているところを生で見られてワクワクして、このお仕事に挑戦して良かったなと思いました」

――オーディションを受けた時、自信はありました?

「その当時は、ワクワクが勝っちゃっていましたね。落ちるとか、悔しいとかもなく、楽しいしかなかったです。落ちたとしても、監督やスタッフの前でお芝居ができたということの喜びの方が大きくて。もちろん受かった時は、めちゃくちゃ嬉しかったです。

最初の事務所に所属した頃は、結構オーディションに受かった時期があって。だから多分その当時自分に自信もついたし、現場でいろいろ経験もさせてもらったので、今の自分はその期間があったからこそ学んだことを活かせているのかなって思います」

――撮影が始まっていかがでした?

「人数が多かったので、学校に行くみたいな感覚でした。でも、メインの役で入っている子たちのお芝居を見ながら、『こうやってやるんだ』とか、『じゃあ、私の芝居はこうやってやろう』とか、いろんな感情だったり、お芝居というのを学びながらやっていた気がします」

――放送をご覧になっていかがでした?

「めちゃめちゃ恥ずかしかったです。親に見られるのが一番恥ずかしかった。嬉しいという思いより恥ずかしい思いの方が強かったかもしれないです」

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■自分の映像を見るのは今でも恥ずかしい「ドキドキします」

2012年、映画「桐島、部活やめるってよ」に出演。この作品は、バレー部のキャプテンを務める桐島が、突然部活を辞めたことをきっかけに、それまで存在していた校内のヒエラルキーが崩壊していく様を描いたもの。藤井さんは吹奏楽部の詩織役を演じた。

「『桐島〜』もオーディションだったんですけど、ワークショップみたいな形で何回もやらせていただいて。共演する子たちも一緒にやっていたので、芝居感とか、どういう人なのかということは撮影前からある程度わかっていたんですよね。

だから撮影に入ってすぐにみんな仲良くなって、本当にチームワークがいい作品だったなと思います。楽しかったですね。本格的には、私にとって初めての映画だったので。

やっぱり同世代の子たちが多かったのと、監督を含めスタッフさんたちが、集中する時は集中するけど、他は気持ちを楽にさせてくれるような空気感だったので、楽しかったという気持ちが大きいです」

――今でも何かと話題に出る作品に出演されたことは貴重な経験ですね

「そうですね。公開当時『桐島〜』を見ていた子が、今は監督になったり、スタッフに入っていたりということもあります。

『「桐島〜」の藤井さん』って言われることがあるので、すごいなあって。その当時もですけど、今も特別な作品に参加できたんだなというありがたみと、もっと頑張らなきゃいけないという気持ちが続いています」

――完成した作品をご覧になった時はいかがでした?

「作品が面白いというのが一番でした。でも、私は試写とかが苦手で、自分を見るというのがちょっと恥ずかしいです。演じている時は、何も考えずにそのまま役の通りやらせてもらっているから何も思わないんですけど、見るのは恥ずかしいですね」

――テレビドラマの撮影では、カットがかかるとモニターの前にチェックしに行く方も多いですけど、藤井さんは?

「もともとはしてなかったんですけど、『風の色』という映画で、クァク・ジェヨン監督に『ちゃんと自分の映像を見た方がいいよ』と言われた時があって。その時初めてヒロイン役をやらせてもらったので、自分のお芝居や画の確認の大切さを教えていただいて、そこから何となく意識はするようにはなりました。

もともとは、監督がOKならいいですという感じで、確認はしないタイプでした。そこで自分が見て、『今の芝居違うのかな』って思ったとしても、監督がOKというなら監督に預けたいと思っていたので」

――基本的には初号(試写)の時にご覧になるのですか?

「はい。皆さんと一緒に。すごく嫌なんです(笑)。すごく見たいけど、やっぱりドキドキしますよね。作品というより、まず自分の芝居が気になってしまうというのがあって、毎回ドキドキしています。慣れないですね」

――俳優としてずっとやっていくということは、早くから決意されていたのですか?

「今思うと、その時にいただけるお仕事に向かって行くという感じだったと思うんですよね。多分、今を一生懸命やろうという考えが今も続いているんですけど、当時は未来のことまでは考えていなかったと思います」

――お仕事をしながら高校卒業後の進路も決めなければいけない時期に

「はい。親もお仕事を続けることには口出しせず、好きなことをやってくれという考えなんですけど、大学は友だちや先生方との出会いや、人としてそこで学ぶこともたくさんあるから行ってほしいと言われたので、それはそうだなと思って大学に行くことにしました。

今30歳なんですけど、お芝居をやるにあたっても、まず藤井武美という人間がどんな生き方をしているのか、そこは絶対にブレたくないというか、すごく大切にしています。いろいろな経験が芝居に役立つ時もあるので、その時親に言われた言葉を今も大切にしています」

――お仕事をしながら受験勉強も

「はい。受験勉強をして、芸能の仕事をしても大丈夫な大学に進学して。先生とお友だちに助けてもらいながら仕事をやっていました」

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■銃弾に倒れるシーンを何度も練習したのに…

2012年、映画「悪の教典」(三池崇史監督)に出演。生徒から慕われ、学校やPTAからの評価も高い高校教師・蓮実聖司(伊藤英明)。しかし、実は、彼には自らの目的を達するため、躊躇(ちゅうちょ)なく殺人を繰り返すという裏の顔が。そして蓮実はクラスの生徒全員を惨殺することに…という展開。

藤井さんは、2年生の清田梨奈役。父親(滝藤賢一)が、「梨奈がいじめに遭っている」と学校にクレームを入れたことが原因で蓮実によって家を焼かれ、父親は亡くなってしまう。

「『悪の教典』は高校時代に撮影しました。ほとんどの生徒が猟銃で撃たれて死ぬので、私も一応『バンッ』って撃たれて死ぬところを何度も練習したんですよ。

それで、アクション指導の先生に『武美ちゃんが一番うまい』って言われて喜んでいたのに、台本を読んだら、私だけ恐怖に耐えかねて自ら死ぬことになっていて。一生懸命練習したのになあって思いました。でも、自ら死ぬ役は私だけでフィーチャーしていただいたので、それはすごくありがたかったですね」

――現場はいかがでした?

「伊藤英明さんがああいう役をやられるという興味と、三池組の現場がとにかく楽しくて。スタッフチームの皆さんとは今も仲良くさせてもらっているんですけど、『桐島〜』と『悪の教典』の現場を経験して、現場の色、空気感というものを監督が作るので、それぞれ違うんだなということを初めて知って、より楽しいと思うようになりました」

2015年には、映画「人狼ゲーム クレイジーフォックス」(綾部真弥監督)に出演。この作品は、プレイヤー同士がお互いの正体を探り合って心理戦を繰り広げる「人狼ゲーム」を題材にしたもの。藤井さんは惨殺されてしまう小澤梢役を演じた。

「メッタ刺しにされて死にました。でも、ああいう作品になると、『ここで殺し合うのか』というのは、逆に面白くなってきちゃって。惨殺シーンは結構ありましたけど、現場はすごく楽しかったんですよね。

梢は何度も刺されて殺されるということは最初から言われていたので、それならちょっと派手にやられたいなって撮影を楽しみにしていました」

――自分が殺されるかもしれないという不安な思いを抱えて攻撃的になっていく。恐怖の裏返しですよね。藤井さんも血まみれでしたね

「はい。写真をいっぱい撮りました。みんなと一緒に。あのシーンは一発でOKだったんです。撮影前に監督からどういう感じで目を開くのかとか、そういう細かい指示をいただいていました。血のりのシーンは、メイク、衣装もですけど、全てに迷惑をかけるので、なるべく失敗しないようにというプレッシャーはありますね。

撮影は結構ハードでしたけど、作品も作品だったので、撮影場所に霊が出るという噂もあって。ホラー映画の撮影現場あるあるなのかもしれないですけど、早く終わらせようという意識、結束力がすごかったです」

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■絶対にやりたかった役をオーディションでゲット

2015年、映画「向日葵の丘 1983年・夏」に出演。この作品は、1980年代に映画制作に情熱を燃やした女子高生3人組の30年ぶりの再会を描いたもの。

1983年、田舎町で暮らす映画好きの女子高生3人組、多香子(芳根京子)、みどり(藤井武美)、エリカ(百川晴香)は、町の人も巻き込んで8ミリ映画を制作。上映を楽しみにしていたが、悲しい出来事が起こり、3人は離ればなれに。それから30年後、それぞれの人生を歩んでいた多香子(常盤貴子)、みどり(田中美里)、エリカ(藤田朋子)は、故郷で再会を果たすことに…。

「この作品もオーディションでしたが、同世代の女の子たちと楽しくお芝居をさせてもらったので、『絶対に受かりたい。みどりの役をやりたいな』っていう気持ちで挑んでいました。オーディションの時にはメインの3人の役を全部やったんです」

――念願のみどり役に決まったと聞いた時は?

「めちゃくちゃ嬉しかったです。マネジャーさんと大喜びしました。こんなに長く地方ロケに行くというのは初めてだったんですよね。3週間ぐらいずっとキャスト、スタッフチームと一緒の宿に泊まって撮影という経験はなかったんです。何回かリハーサルみたいなことをやって、その時に3人がもう仲良くなっちゃったので、あとは楽しくやろうみたいな会話を3人でした記憶があります」

――本当に仲が良い空気感が出ていましたものね

「はい。撮影じゃない時もあのままというか、ずっと3人で一緒にいました」

――3人でするめイカをよく食べていたとか

「懐かしい。よくコンビニで買って3人で食べていました。スタッフの方たちとも仲良くさせていただいていて、ちょっとふざけながら、本当に怒られるんじゃないかって思うくらい和気あいあいと撮影させてもらっていました。深夜に3人で助監督の部屋に行って、寝起きドッキリを仕掛けてスマホで撮ったりして(笑)。

大人になったみどり役の田中美里さんが、高校生時代のみどりのお芝居を見にきてくださったんですけど、『初めまして』ってご挨拶したときにはちょっと変な感じがしました。でも、出来上がった作品を見ると田中さんのお芝居がとても素敵で、繋(つな)がっているなあって思いました」

――撮影はスムーズにいきました?

「はい。リハーサルの時から『オーディションの時のみどりでいいよ。そのままでいいからね』って言われていたので、その時の感覚を忘れないようにしようと思って現場に入りました。

多分それぞれ役と自分の性格に多少似ていた部分が3人ともあったので、そこまで作らずにやっていたと思います。撮影前に、監督からいただいた80年代の曲を集めたCDを聴いたり、監督から勧められた昔の映画を見たりはしていました」

――30年後と高校時代、別の方が演じているという違和感はなかったですね

「そうですよね。『みんな何となく似ていたよね』って、みんなで話した記憶があります。

大人役の3人が私たちの芝居を事前に見てくださっていたこともあって、空気感とか、そういうものが映画になっているんだなっていうのをすごく感じた作品です。本当に感動しました」

――高校卒業直前のある出来事がきっかけで3人が離ればなれになって30年。みどりが余命宣告を受けて連絡してきたことで再会することに

「はい。再会のきっかけがみどりだったので、そこは大切にしたいなって思いました。

でも、3人が30年ぶりに会うお芝居が胸にグッときちゃって泣いた記憶があります。太田監督の色というか、こういう作品を作る方なんだということを現場で感じられたので、すごくいい経験をさせていただいたなと思います」

藤井さんは、太田監督が自身の経験を映画化し、12月20日(土)に公開される映画「もしも脳梗塞になったなら」に出演。監督がモデルとなった主人公の妹役とナレーションを担当している。次回はその撮影、オーディションで約1万人の中からヒロインに選ばれた映画「風の色」の撮影エピソードなども紹介。(津島令子)

※藤井武美(ふじい・たけみ)プロフィル

1994年12月5日生まれ。映画「桐島、部活やめるってよ」、映画「向日葵の丘 1983年・夏」、映画「ちょき」(金井純一監督)、映画「月と雷」(安藤尋監督)、「向かいのバズる家族」(日本テレビ系)、「教場II」(フジテレビ系)などに出演。12月20日(土)に映画「もしも脳梗塞になったなら」の公開が控えている。

ヘアメイク:ビューティ★佐口(OFFICE BEAUTY)

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