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2025年10月17日 14:15

蒔田彩珠 ドラマ、映画に立て続けに出演する超多忙な日々を支えてくれるのは2匹の愛猫「癒されまくっています」

蒔田彩珠 ドラマ、映画に立て続けに出演する超多忙な日々を支えてくれるのは2匹の愛猫「癒されまくっています」
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8歳の時に是枝裕和監督に見出され、映画「朝が来る」(河瀬直美監督<正式な瀬の右側は刀に貝>)で日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ、多くの賞を受賞して話題を集めた蒔田彩珠さん。若手実力派俳優として知られ、2023年、「わたしの一番最悪なともだち」(NHK)で連続ドラマ初主演を果たし、2024年には映画「ハピネス」(篠原哲雄監督)に主演。2025年も「御上先生」(TBS系)、「DOCTOR PRICE」(日本テレビ系)など話題作に立て続けに出演。11月28日(金)に主演映画「消滅世界」(川村誠監督)の公開が控えている。(この記事は全3回の後編。前編と中編は記事下のリンクからご覧になれます)

■セーラー服で血まみれに…

2022年、映画「Pure Japanese」(松永大司監督)に出演。この作品は、ディーン・フジオカさんが企画・プロデュース・主演を務め、過去のトラウマを抱える男が孤独な少女と出会ったことをきっかけに狂気を暴走させていく姿を描いたもの。

日光大江戸村で働く立石大輔(ディーン・フジオカ)は抜群の身体能力の持ち主だが、社交性がなく周囲からは距離をおかれていた。ある日、パブで年齢をごまかして働く高校生のアユミ(蒔田彩珠)と出会い、彼女が祖父(渡辺哲)と暮らしている土地一帯を巡り、中国人ブローカーやヤクザ絡みのトラブルに巻き込まれていることを知る。そしてアユミに助けを求められた立石は、封印してきた暴力衝動を爆発させることに…。

――映画「レオン」(リュック・ベッソン監督)のレオンとマチルダみたいな関係でしたね

「そうですね。ディーン・フジオカさんが企画・プロデュース・主演ということで、ディーンさんの思いが詰まっている作品だなって思いました。

血がいっぱい出るような作品はあまりやったことがなかったので、新鮮で楽しかったです。監督もすごくお芝居が大好きな方なので、『たまに彩珠は気が抜けるな。集中力が途切れる時があるな』って言われました。初めて言われたのですが、『確かに』って思って気をつけるようになりました」

――あの作品では、結構激しく突き飛ばされたり殴られたりしていましたね

「はい。結構乱暴に突き飛ばされていました(笑)。荒っぽいシーンが多かったので、緊張感もあり怖かったです」

――最終的に血まみれになって命を落としてしまいます

「そうですね。それもセーラー服で。あんなに血まみれになることはなかったので、いっぱい写真を撮りました。やったことがないことをやるのは面白いです」

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■主演映画でロリータファッションを初体験

2023年、「わたしの一番最悪なともだち」(NHK)で連続ドラマ初主演を果たす。蒔田さん演じる主人公・笠松ほたるは、就職活動に連敗中の大学4年生。ほたるには、幼なじみで今も家の近くに住んでいる鍵谷美晴(高石あかり)という“天敵”が。さまざまなアクシデントを創意工夫で乗り越える美晴は、まぶしいスポットライトを浴び続ける存在だった。ほたるは、そんな美晴の個性を自分と偽り、(就職)のエントリーシートを提出したら次々と面接をクリアすることに…という展開。

「人間のちょっと汚い部分みたいなところをすごくリアルに描いていて好きでした。美晴が嫌なんだけど、就職試験の時に自分のことと偽って言っちゃうみたいなのが非常によくわかるなと思って。それで試験に通るというのは結構複雑ですよね。とても共感できる役でした」

――全30話、ほとんど出ずっぱりなので撮影は大変だったのでは?

「4カ月くらいずっと大阪で撮影していたので大変でした」

2024年には映画「ハピネス」(篠原哲雄監督)に主演。この作品は、余命1週間を宣告された女子高校生と、戸惑いながらも最期まで彼女に寄り添う恋人との奇跡的な日々を描いたもの。

由茉(蒔田彩珠)は、雪夫(窪塚愛流)と高校の美術室で出会い、幸せな日々を過ごしていた。しかし、心臓に病気を抱える由茉が医師から余命1週間を宣告されたことから平凡な日々が一変。由茉はすでに自分の運命を受け入れ、残りの人生を精一杯生きると決めている。

雪夫は動揺し戸惑いながらも由茉の思いを受け止め、彼女との残りの日々に寄り添っていくことに…。

――残り少ない時間で好きなことをやるということでロリータファッションにも挑戦します。良く似合っていましたね

「ありがとうございます、ロリータファッションは初めてだったのですが、女の子らしい服装も好きなのでテンションが上がっていました(笑)。選んでもらった洋服を何着も着て楽しかったです。最初は慣れなくて恥ずかしかったですけど好きでした」

――ロリータファッションは、ご自分でもやってみたりすることは?

「カチューシャみたいなのは可愛いなと思って、編み物をするので作ったりしていました。手先を動かす系の趣味は多いので」

――余命1週間を宣告された高校生という難しい役どころでした

「すごく難しかったです。話し方も。使う言葉が独特で、脚本も結構不思議な文脈が多かったので、それを自然に言うのが難しかったですね。衣装に助けられた部分は大きかったです。

子どもの頃から病気を抱えていたとはいえ、余命1週間の宣告を受け入れるのはつらかったと思います。やっぱり家族とか彼氏とかにすごく愛情を持った女の子だったので、『自分は落ち込まないぞ』って、わざと明るく振る舞っているのがつらかったです」

――誰もいないところでひとり泣くシーンが切なかったです

「あのシーンがあるから、彼氏とか両親がいるところでは心配かけないように頑張っていたんだなってわかりますよね。唯一感情を表に出したシーンだったので」

――吉田羊さんと山崎まさよしさんが演じた両親もすごいなって思いました。本当は1分1秒でも娘と一緒にいたいはずなのに、好きな人と2人で過ごす時間、旅行に行く時間を作ってあげて

「そうですね。でも、私の親もきっとそうだと思います。最期に自分がしたいことをさせてあげようとすると思います」

――雪夫役の窪塚愛流さんとのバランスもとても良かったです。残される雪夫もつらいですね

「そうですね。由茉にずっと寄り添ってくれて。でも、きっと愛の深い人だから前を向いてくれるんじゃないかなと思います。私もこの作品をやったことで、普段は当たり前だと思って過ごしていますけど、そばにいてくれる人のことをもっと大切に考えないといけないんだなって思いました」

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■初めての学園ドラマの撮影は新鮮だった

2025年、「御上先生」に出演。このドラマは、エリート文科省官僚の御上孝(松坂桃李)が18歳の高校生たちを導きながら権力に立ち向かう姿を描いたもの。

蒔田さんは、細かいことは気にしないサバサバした性格の富永蒼役。幼なじみでジャーナリスト志望の神崎拓斗(奥平大兼)と社交的で人懐っこいパソコン通の次元賢太(窪塚愛流)と共に学園の闇に迫っていく。

「あのドラマは、生徒役29人は全員オーディションだったんです。富永をやりたいという一心でオーディションを受けたので、富永役に決まって嬉しかったです」

――富永役は最初から蒔田さんに決まっていてアテ書きしたのだと思っていました

「そうですね。脚本家の方が、『蒔田さんがやってくれるって聞いて書きました』と言ってくださっていたので、わりと私に近づけて書いてくださったみたいです。アテ書きではないですけど」

――「ハピネス」で恋人役だった窪塚愛流さんと、「御上先生」では共に戦う同志みたいな関係でしたが、再共演はいかがでした?

「やっぱり安心感がありました。共演したことがあるのは、愛流くんと高石あかりちゃんぐらいだったので。学園ものはやったことがなくて初めてだったのですが、とてもいい経験になりました。同じような年頃の子たちがいっぱいいる現場というのは新鮮でした。

それまでは大人の方とやることがほとんどだったので、こんなに年齢が近い同世代の人がいる現場は初めてで。年下の子たちがいい子ばかりですごく刺激を受けました。『若いっていいな』って(笑)。私も、もっと若々しくいこうって思いました。何か落ち着いちゃっているのかなって。もうちょっとハッチャケていきたいですね」

今年9月まで放送されていた「DOCTOR PRICE」も記憶に新しい。このドラマは、父親を自死へと追い込んだ医療業界の闇を暴くため、人と金と情報を操り、欲にまみれた者たちを裁く医療サスペンスドラマ。

蒔田さんは、主人公・鳴木金成(岩田剛典)の医師専門転職エージェント「Dr.コネクション」の事務スタッフ・夜長亜季役。計算能力・資料作成力に長けた優秀な人材で好奇心旺盛。特別報酬につられて「潜入調査」も進んで買って出るが、かなりの毒舌家というユニークなキャラ。

「今まであまり経験してこなかったような毒舌キャラだったので挑戦でしたけど、楽しかったです。いろいろ潜入するみたいなシーンもあったので、眼鏡をかけてクールな感じに変装したりするのも面白かったです。夜長ちゃん(役名)がまだ抜けてないかもしれないです(笑)」

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■結婚生活に性愛は禁止、人工授精が当たり前の世界の主人公に

(C)2025「消滅世界」製作委員会
(C)2025「消滅世界」製作委員会

11月28日(金)に主演映画「消滅世界」が公開される。この作品は、結婚生活に性愛が入ることを禁じられた世界で、愛し合った夫婦から生まれた少女が自分の周りにある“普通”と自分から湧き出る欲情に向き合っていく姿を描いたもの。

蒔田さんが演じた主人公・雨音(あまね)は、人工授精での妊娠・出産が常識となった時代に、愛し合った両親から生まれたという異質な存在。アニメのキャラクターと恋愛をし、性愛を持ちこまない穏やかな結婚生活を送る夫・朔(柳俊太郎=柳の真ん中はタ)と“エデン”と呼ばれる実験都市に移住することに…。

「ここ2年ぐらい前から結構自分の意見も言わせてもらうこともあって、面白い作品があったら、『こういうのがやりたいです』ということもあります。今回の映画『消滅世界』も、最初に監督が声をかけてくださって、原作をもらって読んだら面白かったのでやりたいってなりました」

――劇中のあの世界はどう思いました?

「難しかったですけど、『これを自分が演じたらどうなるんだろう?』って思ったのでやることに決めました」

――撮影が始まっていかがでした?

「難しかったですけど、撮影が進むにつれて、ちゃんと雨音の気持ちに寄り添えたというか、雨音の感情みたいなものがつかめてきていました。でも、やっぱり終わるまでずっと、『これがどういう風に映画になっていくんだろう?映像になっていくんだろう?』って思いながら撮っていましたね」

――無機質な感じの部屋に合っていますね、ストーリーも

「そうですね。モノトーンというか、最後の方は白ばかりでちょっと不気味さがありました」

――エデンは、住民全体で計画的に人工授精、出産、管理を行い、住民みんなで子育てをする実験都市ということですが、ご自身が放り込まれたらどうでしょう?

「私はどうなんですかね。多分最初は雨音と同じように抗うというか、逃げ道を探す気はしますけど、周りがみんなそこに順応していったら自分もきっとそうなってしまうだろうなって思います」

――完成した作品をご覧になっていかがでした?

「こういう風に撮っていたんだというか、それがこう繋(つな)がって、こうなっていくんだって。結構淡々としたトーンでお芝居をしていたのですが、音楽とか編集で喜怒哀楽がちゃんと出ていたので良かったなと思いました」

――ご自分では、雨音に対してはどう思っていらっしゃいますか

「1回目に見た時は、ちょっと恥ずかしさみたいなのがあったのですが、2回目に見た時にようやく雨音の気持ちの変化みたいなものがちゃんと理解しながら見られたなという感じです。結構センシティブな内容なので、色んな捉え方があるんだろうなと思います」

――今後はどのように?

「お仕事もプライベートもやっぱり楽しく自分の好きなことを貫いていきたいなと思っています。これからもいろんな役にチャレンジしていきたいです。番宣でバラエティー番組にたまに出させてもらっていますけど、やっぱり楽しいのでバラエティー番組もやりたいです。お笑い芸人さん好きなので」

今は自分で決めて色々挑戦している期間だという蒔田さん。多忙な毎日を支えてくれるのは2匹の愛猫たちで、「癒されまくっています」と話す。確かな演技力でさまざまな役どころにチャレンジを続ける姿勢にさらなる期待が高まる。(津島令子)

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