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2025年10月21日 14:15

武田航平 15歳の時に「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で審査員特別賞を受賞!本格的にデビューすることに

武田航平 15歳の時に「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で審査員特別賞を受賞!本格的にデビューすることに
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2008年、平成仮面ライダーシリーズ「仮面ライダーキバ」(テレビ朝日系)の紅音也(仮面ライダーイクサ/仮面ライダークキバ)役で話題を集めた武田航平さん。連続テレビ小説「ウェルかめ」(NHK)、映画「ROOKIES−卒業−」(平川雄一朗監督)、「晩酌の流儀」シリーズ(テレビ東京系)などに出演。「ここが噂のエル・パラシオ」(テレビ東京系)、映画「この小さな手」(中田博之監督)など主演作も多い。10月24日(金)に三浦貴大さんとW主演を務めた映画「やがて海になる」(沖正人監督)が公開される武田航平さんにインタビュー。(この記事は全3回の前編)

■プライドと覚悟を持って仕事に取り組む先輩俳優陣の姿に…

東京で3人兄弟の次男として生まれ育った武田さんは、小さい頃から野球をやっていたが、15歳の時にスカウトされたことを機にやめたという。

「ずっと野球をやっていて高校野球をやりたかったんですけど、あまりそのモチベーションになれなくて。親に言われて野球をやっていたので、自分自身は何をやりたいのかなって思っていた時に、たまたま芸能事務所にスカウトをしていただいて、やってみようかなと思ったぐらいだったんですね、最初は」

武田さんは音楽劇「赤毛のアン」など舞台に出演するが、同年、第14回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で審査員特別賞を受賞。本格的に芸能界デビューを果たす。そして2006年、ゲームソフト「ファイナルファンタジーXII」で主人公ヴァンの声優を務めることに。

「たまたま最初にお世話になった事務所に『ファイナルファンタジー』のモーションキャプチャー、モーションアクターですね。そのオーディションのお話があって。

その時は身長が180cmでスポーツに長けていて…というような設定があったので、僕の同じ事務所にいた先輩が呼ばれたんですけど、『僕も行きたい』って出していただいたんです。それで行ったら、本当にたまたま受かったみたいな感じでした」

――あまり経験がない方が起用されるのは異例だったと聞きました

「そうみたいです。僕は右も左もわからない状態でやらせていただくことになって。その流れで、キャラクターがすごく合うからということで声優さんにもチャレンジさせていただくことになったんです。

でも、めちゃくちゃ下手だったので、『ファイナルファンタジー』のファンの方々にはものすごくいじられまくりましたけど、そういうことも『じゃあ、こうやって勉強しなきゃいけないな』とか、いい経験になりました。

その当時のスタッフさんにお話を伺うと、『それはそれでその当時の未完成というか、等身大な感じで良かった』と言ってくださったんですけど、まだまだ本当に勉強しなきゃいけないなって思いました」

2007年、映画「クローズZERO」(三池崇史監督)に出演。この作品は、不良たちが集まる鈴蘭男子高校で勃発した史上最大の抗争を描いたもの。主演の小栗旬さんをはじめ、山田孝之さん、桐谷健太さんなど多くの若手俳優陣が出演していることも                                                                                                            話題に。

「この作品で、小栗(旬)さんや山田(孝之)さん含め先輩方とご一緒させていただいて。先輩方も25、6歳だったんですけど、山田孝之さんが『役をやるのにはちゃんと本を読んで選ぶことが大切になってくるから、そうやってやった方がいいよ』って言ってくれて。

主演の小栗さんも若かったんですけど、作品を引っ張る責任感とか、そういうものをすごくもっていて。プライドと覚悟を持って取り組んでいる、ああいう方々みたいになりたいなって思うようになりました」

――「クローズZERO」は、同年代の俳優陣がたくさん出演されていて、ケンカのシーンも多かったですが、現場はどんな感じだったのですか?

「裏はもう本当にあの感じのお兄さんたちがいっぱいいて(笑)。ただ、みんな本当に仲が良かったですね。僕と大東駿介くんが若かったんですけど、その僕たちを仲間に入れてくださって。

やべきょうすけさん含め、賑やかなお兄さんたちなんですけど、芯が通っていて、作品をちゃんといいものにするんだという覚悟があったので。やんちゃという雰囲気というかイメージはあると思うんですけど、覚悟というものがやっぱりものすごく強かったので、そういった意味では本当にいい経験をさせていただきました」

同年、「花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜」(フジテレビ系)に出演。このドラマは、日本中のイケメンが集まる全寮制男子校・桜咲学園に、一人の女の子(堀北真希)が男を装って舞い込んだことから巻き起こす大混乱と大波乱を描いたもの。小栗旬さんをはじめ、生田斗真さん、岡田将生さんほか、多くの若手イケメン俳優陣が出演していたことも話題に。

「また小栗さんともご一緒させていただいて。鈴木亮平さんは、まだ番手もそんなに高くなかったんですけど、現場に臨む覚悟であったり、若い時にしかないエネルギーがものすごくて。その2作品で相当いろいろなことが培(つちか)われたのかなと思います」

――どちらもすごい顔ぶれでしたね

「すごいですよ。今思えば本当にすごい皆さんとご一緒させていただいて、現場の熱量も高かったですし、スケジュールもタイトで大変でしたけど、今でも多くの方々の記憶に残っているので嬉しいです。

最近Netflixで『花ざかりの君たちへ〜』の配信がまた始まったんですけど、それも話題になっていて。僕は『花ざかりの君たちへ〜』の撮影の時に『仮面ライダーキバ』が決まったんですよ。

そのことを話したら生田斗真さんが、ご本人は覚えてないかもしれないんですけど、『仮面ライダーはすごく意味のある作品だし、みんながなりたいヒーローだから頑張るんだよ』って言ってくださったのがすごく印象的で。そういう覚悟は決めていたと思います」

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■「仮面ライダーキバ」に出演することに

2008年には「仮面ライダーキバ」に主人公のひとり、紅音也(仮面ライダーイクサ/仮面ライダークキバ)役で出演。紅渡(瀬戸康史)を主人公にした現在(2008年)と、その父である紅音也を主人公にした過去(1986年)のストーリーが独立して展開。過去と現在がオーバーラップし、父子二人の物語が密接に絡まり合って描かれていく。

「仮面ライダーのオーディションもたまたま最後の方のオーディションで。もともと僕の友だちが受けていたんですけど、たまたまこの役が決まらないからということで、追加で呼んでいただいたみたいなんですね。

それで、僕もちょっと分からなかったので、自分らしくいようと思ってリラックスしていろいろやっていたんです。そうしたら、すごく自由気ままな役だったので、『この子がいい』ってなったみたいで(笑)」

――決まる自信はありました?

「なかったです、全然。ちょっと変わった役だったので、なかなかなか決まらないっていうところで良かったのかもしれませんけど」

――天才バイオリニストという設定でしたがバイオリンの練習は結構されたのですか?

「はい。バイオリンの練習はかなりやらせていただきました。実際には年も近いんですけど、瀬戸康史くんと親子という設定だったので2人で練習を結構やりました。ある程度はできるようになりましたけど、難しいですね、バイオリンは(笑)」

2009年には、連続テレビ小説「ウェルかめ」に出演。この作品は、徳島で生まれ育ったヒロインが、大海原を旅して生まれ故郷の浜を目指すウミガメのように、都会よりも故郷を自分の生活する場所と決め、出会いや失敗を重ねながら成長していく姿を描いたもの。武田さんは、小さい頃からヒロイン(倉科カナ)に片想いをしている漁師・鈴木一平役を演じた。

「オーディションを自分で探したんですよ。仮面ライダーをやった後にどういう生き方すればいいかなと思った時に、朝ドラは厳しい現場だということを聞いていたので、朝ドラで自分を磨いてみたいと思って、オーディションを自分でいろんな人に聞いて探して受けることにしました」

――前の事務所のマネジャーさんではなくご自分で?

「はい、そうです。自分で探して、とある筋から情報を得たので事務所の人に『オーディションに出してもらいたいです』と言ってオーディションを受けることになりました。それもたまたま受かったんですけど。ヒロインの相手役がやりたくて、『僕はこの役がやりたい』ってずっと言っていたんですけど、もう決まっていたのかな?

僕は、とにかく自分をアピールしなきゃと思っていろいろ喋ったりしていて。結局恋に破れる幼なじみの一平役になったんですけど、一平のオーディションでは、ペラ1枚に『一平と三平』って書いてあって。この二人の関係性が見えなかったんですけど、アドリブでやりとりをすることになって。

とりあえず三平がいるから、『おい三平、これをお前持って』みたいなことを言って、ずっと僕はひとりで芝居をしていたんですけど、みんながゲラゲラ笑っているんですよ。それで、何かなと思っていたら、『はい、カット』ってなって。

監督が『三平はあなたのお父さんです』って言うんですよ。だから、僕は父親に『おい、三平』って言っていたんだって(笑)。でも、わからないじゃないですか。わからないながらも一生懸命やっていたから、そういう姿が良かったのかなって」

――一途にヒロインのことが好きで気持ちのいい青年でした

「そうですね。良かったなって思いました。いろんなことがあって。その前に遡れば『弟』(テレビ朝日系)というドラマで石原裕次郎さんの役をやらせていただいたことも僕にとって大きかったです。

それもたまたま『航平の“航”の字は航海の航だから海に縁があるし、顔つきも』って若松節朗監督に言っていただいて使っていただいたんですけど。裕次郎さんの役をやらせていただいて、渡哲也さんとお仕事をさせいただいたことがすごく僕にとっては思い出に残っています。渡哲也さんの役に対する向き合い方がすごく印象的だったんです。

なので、そういったところで憧れはどんどん大きくなっていっていったんだと思います。小栗さんや山田さん、亮平くんや斗真くん…そういういろんな方々にお会いして、そこで多分俳優としてやっていくという思いが芽生えていた20代前半だったと思います」

――「仮面ライダーキバ」と「ウェルかめ」に出演されたことで認知度がかなり上がったと思いますが、仕事に関して当時の事務所のマネジャーさんと話し合うようになったのですか?

「全くないです。なので、自分でできることはなんだろうと思って、オーディションの情報を探したりしていました。仮面ライダーもたまたま知り合いを通じてだったし、朝ドラも自分でオーディションを見つけたので、結局自分で動かないと、待っているだけじゃダメなんだなっていうのは当時から薄々感じていたんだと思います」

――仮面ライダーに朝ドラ出演というと事務所としては売り込みしやすいのではないかと思いますが意外ですね

「そうですね。だから順風満帆に見えると思うんですけど、全くそうではなくて、自分自身で人のご縁というか、出会った方々に支えられて、そういう風な道を歩んでいっていたんだなって。

今思えば、当時はまだ仮面ライダーをやらせていただく経験とか朝ドラに出演することが、どれほど大きなものかということはあまり理解しきれてなかったんじゃないかなって思います。覚悟は先輩方のおかげで知ることはできたんですけど、自分が本当に腹をくくっていたかというと、その時はまだ疑問だったと思います」

――他にやってみたいことがあったのですか?

「もともと野球をやっていたので、それに憧れはあったんですけど、1個上の兄がすごくいい選手だったんです。だからなかなかその上のレベルでやるということが僕にとっては困難かなとは思ったんですよ。でも、高校野球だけでもやっておけば良かったなとか思いつつ、音楽が好きでバンドとかにも憧れがあったのでやりたかったんですけどね。

本当はバンドをやりたいなと思っていたのに、そういうことは言ってはいけないのかなとか。あと『トム・ソーヤーの冒険』を書いたマーク・トウェインの小説が好きだったので、そういう舞台に行って過ごしてみたい、アメリカに留学したいなとも考えていたんですけど、この仕事をやっているからいけないなって高校生の時に思ったのを覚えています。アメリカの大学の資料とかを一生懸命見ていた時があったんですけどね。

15歳からこの仕事を始めてやってみたら、抜け方もわからなくて(笑)。本当にやりたいことをやっていいのかもわからなくて、事務所の人に言われてやっていたという感じでしたね。

俳優でやっていきたいなと思ったのが、それこそ『クローズZERO』とか『花ざかりの君たちへ〜』で出会った先輩方を見てかっこいいなと思ってだったので、それまではあまり思っていなかったですね。すばらしい先輩たちと出会って覚悟ができたというか、俳優としてやっていこうという風に意識が変わりました」

俳優として生きていく覚悟を固めた武田さんは、映画「ROOKIES-卒業−」、大河ドラマ「軍師官兵衛」(NHK)、「仮面ライダービルド」(テレビ朝日系)など話題作出演が続く。2011年には「ここが噂のエル・パラシオ」(テレビ東京系)で連続ドラマ初主演。2018年には映画「星くず兄弟の新たな伝説」(手塚眞監督)で三浦涼介さんとW主演をつとめた。次回は撮影エピソードなども紹介。(津島令子)

※武田航平(たけだ・こうへい)プロフィル

1986年1月14日生まれ。東京都出身。2001年、第14回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で審査員特別賞を受賞。「仮面ライダーキバ」、「仮面ライダービルド」、「HIGH&LOW」シリーズ、「晩酌の流儀」シリーズなどに出演。映画「戦国BASARA-MOONLIGHT PARTY-Remix前篇・後編」(松田圭太&アベユーイチ監督/林遣都さんとW主演)、映画「この小さな手」、映画「Floating Holidaysフローティング・ホリデーズ」(増田有美監督)など主演映画も多数。10月24日(金)に三浦貴大さんとW主演をつとめた映画「やがて海になる」の公開が控えている。

ヘアメイク:KEN

スタイリスト:岩田友裕

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