2009年に放送された「仮面ライダーディケイド」主演の井上正大は現在、自主制作の特撮ドラマ「華衛士F8ABA6ジサリス」で主演・企画プロデュースを担っている。1億円の赤字を抱えてまで「特撮」にこだわる井上の資金調達の現場に『ABEMA エンタメ』の密着企画「NO MAKE」が迫った。
【映像】現在の井上正大&自主制作の特撮ドラマ「華衛士F8ABA6ジサリス」
19歳の時に「仮面ライダーディケイド」と出会い、16年経った今でも特撮を制作し、ヒーローであり続ける井上。
現在は自主制作特撮ドラマの3作目を制作するために出資者を募っているが、この日は特撮ドラマに1000万円の出資を検討している企業と契約書を交わす重要な日。
1000万円の出資を検討しているのはフェアリーテイル社。だが突如、大問題が発生する。契約書を持った法務担当者が約束の場所に来ておらず、音信不通になったのだ。
約束の時間まであと数分。さすがに焦りの色が見える。
井上「もしもし大村さん(法務担当者)、どこにいます? 玄関前? 忘れているかと思いましたよ」
ようやく電話が繋がり、近くにいるとのことだったが…
井上「あれ?正面玄関ってどこの玄関ですか?え? 今日の集合場所知ってます?違いますよ、今日赤坂ですよ。契約ですよ。すぐ向かってもらっていいですか?」
法務担当者は車で30分ほど離れた別の場所にいたそうだ。1000万円の契約を前に、出資者を待たせる痛恨のミス。井上は先方の社長に電話で謝罪する。
井上「下にいるんですけど、大村さん(法務担当者)がいなくて、秋葉原の会議室に行っちゃったみたいで。タクシーで向かっています。申し訳ないです」
先方を待たせる大失態…だが、ここで機転を効かせる。
井上「どうします? 先にご飯とか行きます? 先にご飯行って待ってますか。そうしましょう」
スタッフが到着するまでの時間を先方と昼食をとることで埋める。その後、法務担当者が契約場所に到着。
法務担当者「お疲れ様です。すみません、お待たせしました」
井上「お疲れ様です。行きましょう」
大遅刻のスタッフに対しても井上は笑顔で応じる。
井上「大村さん(法務担当者)今日忘れてましたよね?」
法務担当者「忘れてました」
井上「ちょっと後で罰ゲームですね」
場を和ませ、いよいよ契約だ。
ドラマの中で一番カロリーがかかる

法務担当者からの契約内容の説明後、井上が作品にかける熱意を伝える。
井上「特撮はCGもスーツもアクションも必要。ドラマの中で一番カロリーがかかりますが、それが小さい頃に見て大人になってもファンでいてくれる作品力につながっていると思う。そんな輝かしい未来になるような企画にしていきたいです」
果たして先方は出資してくれるのだろうか。
フェアリーテイル社の熊谷社長「(井上さんなら)絶対いいものを作ってくれると思っています」
井上「ぜひともよろしくお願いいたします。」
ハプニングがあったものの契約は無事に成立した。井上の熱意が決め手だったという。
熊谷社長「僕にはすごく響いた」
井上「ありがとうございます」
フェアリーテイル社は井上の特撮とコラボした香水も作っており、その関係値と信頼も契約を後押ししたようだ。
ちなみに井上は契約終了後も遅刻したスタッフを叱ることはなかった。
井上「もちろん間違えたのは悪いが、間違えてしまう環境にした僕も悪い。こういったところはしっかり自分で受け止めて、より良い環境にしていきたい」
悪を成敗するのがヒーローの使命だが、仲間を守ることもヒーローの務めなのかもしれない。
(『ABEMA NEWS』より)
