エンタメ

2025年11月28日 14:16

今陽子 認知症を発症した母親の介護生活と仕事を両立!「仕事があるから気分転換して息抜きができる」

今陽子 認知症を発症した母親の介護生活と仕事を両立!「仕事があるから気分転換して息抜きができる」
広告
3

一世を風靡した人気グループ「ピンキーとキラーズ」のピンキーとして知られ、脱退後はソロに転向した今陽子さん。ダンス、歌、英会話等を学ぶため、単身ニューヨークに留学。帰国後、多くのミュージカル、ライブ、映画、テレビに出演。パワフルな歌声と表現力で圧倒的な存在感を放ち続けている。2017年、(当時)90歳になった今さんのお母さまが認知症を発症。2022年、介護の日々を綴った著書「認知症の母が劇的回復を遂げるまで」(株式会社IDP出版)を出版。介護と両立しながら精力的に仕事をこなし、映画「道草キッチン」(白羽弥仁監督)が公開中。(この記事は全3回の後編。前編と中編は記事下のリンクからご覧になれます)

■母親が認知症を発症。自身も救急車で搬送され手術を受けることに

2017年、今さんのお母さまが90歳で認知症を発症。それまでマネジャー的役割も務め、家事、確定申告などすべてをこなしていたお母さまの異変に今さんは、戸惑いの日々だったという。

「最初はどうしたらいいのか全くわからなくて戸惑いました。後になってみると前兆はあったんです。詐欺にあって100万円振り込んでしまったり、鍋を火にかけたことを忘れて(鍋に)穴を空けたということもあったんですよね。それで、たまたま昔『アニー』の舞台をファンの方と見に来ていただいて以来、親交があった吉田勝明院長(当時・横浜相原病院)に連絡したらいろいろアドバイスをしてくださって。

吉田先生もですけど、私は本当に、人に恵まれていますね。デイサービスもショートステイも恵まれているし、ケアマネジャーさんがすごく仲良しで、何か困ったことがあるとすぐにLINEして対応してくれるし。仕事で舞台が入りそうになると、どうしようかと相談もできるようになって、随分楽になりました。最初の頃はそういうのもなかったし、ケアマネジャーもいなかったというか、そういうシステムも知らなかったんですよ」

――役所関係のことも確定申告も全部お母さまがされていたそうですね

「そうです。90歳になるまで全部やってくれていました。しかも、パソコンができないからe-Taxじゃなくて手書き。出納帳ですよ。さすがにそろばんじゃなく、電卓ですけどね。

だから、私は何もわからなくてね。母が90歳になって認知症になってから大変でした。

何冊も本を買って勉強して、区役所に行って介護保険とか全部何もかもやって。母は今98歳なんですけど、この8年間、本当に仕事以上に勉強しました。仕事より忙しいかもしれないです」

――行動が早いですよね。すぐにガスからIH調理器に変えて

「やっぱり火が危ないじゃないですか。母も1回鍋に穴を空けたので、オール電化にしました。それも吉田先生にそうしたほうがいいと言われてすぐにやりました。マンションの部屋もリフォームすることにして。私は怖がりなので、とにかく怖いと思ったらすぐに相談します。専門家の友だちに恵まれているので、どうしたらいいか相談してすぐやります」

――舞台は稽古もありますし大変ですよね

「そうですね。今は母の世話をして家事をやりながら仕事をしていますから、すごい働き者ですよ。さすがにミュージカルの舞台に入ったら、朝ご飯を作ってデイサービスに出して…なんてやってられないです。神経がそっちに行かないですから、そういう時はそれこそショートステイに行ってもらったりしています」

2019年、お母さまの介護と仕事で多忙な毎日を送っていた今さん自身のからだに異変が。胸の痛みで検査を受けたところ「狭心症」と診断されニトログリセリンを処方されたという。しかし、9月にニトロを服用しても痛みが治まらず救急車で搬送され、緊急手術を受けることに。

「何もかも全部やろうとして無理をしすぎていたんですね。冠動脈が詰まりかかっているからすぐに手術が必要だと言われて。カテーテル(管)を心臓の冠動脈に到達させて、先端に付けたバルーンを膨らませて冠動脈を広げる手術を受けました。手術は1時間くらいで終わって翌日には一時退院の許可をいただいて新幹線で京都に向かいました」

――翌日退院して大丈夫だったのですか

「検査の結果、数値も悪くないし退院しても問題ないと言われました。手術の2日後にクルーズ船の船上コンサートの仕事が入っていたんですよ。不安でしたけど、絶対仕事に穴を空けてはいけないと思っていたので、母のことは弟に頼んで行きました。その日はリハーサルで、手術の2日後には60分のコンサートを2ステージやることができました。

でも、心臓手術をしていろいろ考えました。何もかも全部やろうとしても無理だなって。できるわけがないですよ。それからは優先順位をつけて、10のうち6やれればいいと考えるようになりました」

広告

■介護の日々を綴った著書を出版

2022年、在宅介護する日々を綴った著書「認知症の母が劇的回復を遂げるまで」を出版。多くの声が寄せられて話題に。

「母のご飯は作らなきゃいけないから最低限のことはやりますけど、あまり得意ではないです。でも、外食ばかりしてられないからやりますけど、レパートリーがあまりないので、母に『ごめんね』って言っています。

ただ、最近物忘れが激しくて、同じものを2日続けて作っても『これ美味しいね』って言ってくれるからその点はいいですよね。同じものを続けて出して悪いなと思っていると、『あら、いいじゃない、これ』と言ってくれるから、『昨日もこれだったじゃない』とは言わないから。

母の世話と家事をやって、あと医者の手配、予約、何から何まで本当に多い。年を取ってくるとあっちこっち行かなきゃならないし、その予約も取ったりね。マイナ保険証になって顔認証もマスクしているし面倒くさいから、私が暗証番号を覚えて全部やって、母のマネジャーですよ(笑)。それをやりながら仕事もやっていますから。本当によく働いていると思う。

ただ、仕事に関してはいろいろ考えますよね。今、ホリプロがやっている舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』とか、その前のミュージカル『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』とか、いいミュージカルがあっても、半年とか1年という長期間だと、今はできないですね。母の世話があって。ものすごくミュージカルやりたいんですけどね。ハリー・ポッターの校長先生とビリー・エリオットのおばあちゃん、やりたかったですね。

本当にやりたいんだけど、稽古を入れると半年、1年というのは、母の世話しながらでは無理だし、そのことで皆さんに迷惑をかけてもいけないので、せいぜい1カ月の稽古で、1カ月公演の舞台ぐらいだったら、何とかなるなって。だから断らなきゃいけないものも出てきたりするし、いろいろ考えるけど大事な親なのでしょうがないですよね」

――介護と仕事の両立、本当によくやってらっしゃいますね

「自分でも本当によくやっていると思います。ブログにいろいろ書いているんですけど、皆さんが『読んで励まされています』とか、『陽子さんは偉い』とか、『今日はもう怒って出て来てしまいまいした』とか、いろんなことを書いてくれるんです」

――ご著書には、最初はお母さまを怒ってばかりだったということも全部書いていますね

「はい。全部書きました。いまだにありますよ。時々ね。ちょっと最近物忘れが本当に激しいので、さっき言ったことをすっかり忘れちゃって、どうのこうのってなった時、『さっき言ったでしょう?』って言っちゃうことがある。

怒っちゃいけないんですよ。だけど、私もちょっと虫の居所が悪い時は、『うわーっ』ってなっちゃう。そういう時は、しょうがないから近くのバーに行くんですよ。夜中、母が寝静まった後、1人でロックを飲んで、『この野郎!』とか言っちゃったりしてね。自分なりの捌け口を見つけておけば何とかなります。そうじゃないと、やっぱり溜まっていっちゃうからダメ。

介護疲れによる凄惨なニュースも多いですが、私も気持ちはすごくよくわかるんです。本当に他人事ではないです。でも、そこでやっぱり私には仕事があって応援してくれる人もいるし、大好きな歌もあるって。芸能界のお仕事が大好きだから、またいついい仕事が来るかわからないですからね。『死なないで我慢しよう。それに母の介護に疲れて死んだなんて私らしくないから』って思いました。私は仕事があるから気分転換して息抜きができるんですよね」

厚労省は、悩みを抱えている人たちに相談窓口の利用を呼び掛けています。「いのちの電話」また、LINEの「生きづらびっと」などでも相談を受け付けています。1人で抱え込まずに相談してみてください。

▼「こころの健康相談統一ダイヤル」

0570-064-556

▼「#いのちSOS」

0120-061-338

▼「よりそいホットライン」

0120-279-338

▼「いのちの電話」

0570-783-556

広告

■公開中の映画では自身に重なる役どころで…

(C)2025 映画『道草キッチン』製作委員会
(C)2025 映画『道草キッチン』製作委員会

現在公開中の映画「道草キッチン」に出演。この作品は、更年期症状に悩む50歳の独身女性が初めて訪れる徳島の地で様々な事情を抱えた人々と出会い、自分の生き方を見つめ直していく姿を描いたもの。

母から受け継いだ小さな喫茶店をひとりで営む桂木立(りつ=中江有里)は、再開発の影響で立ち退きを余儀なくされ閉店することに。さらに更年期障害も重なり、将来への不安を抱えていたところに徳島県吉野川市から相続に関する通知が届き、徳島への移住を決める。

そこで様々な事情を抱えた地元の人々や、懸命に日本で生きるベトナム人たち、そして自然豊かな食材をもとに作られるベトナム料理を通じた至福の時間を経て、自分の生き方を見つめ直すことに…という展開。今さんは、世界を飛び回るキャリアウーマン・高橋カズ役を演じている。移住してきた立にいろいろアドバイスをして力になってくれる存在。

「事務所にオファーをいただいて。マネジャーが台本を読ませてもらったときに『陽子さんみたいな人が出てくるな』と思ったって(笑)。だから、『陽子さんに陽子さんみたいな役が来ています』って言われました。実際に読んでみたら本当に私みたいなキャラで、竹を割ったような性格の女性だなって思って、とんとんと進んだ感じでした」

――カズさんは、本当に今さんに当て書きしたみたいなキャラですよね

「私はわりとそういうことが多いんですよ。ドラマも私の性格に合わせてくれたのかなって思うような役が結構ありますね」

――移住先にカズさんのような人がいてくれたら、本当に心強いだろうなって思いました

「そうですよね。せっかく移住したのに色々問題も起きているみたいですからね。こんなはずじゃなかったって。でも、カズさんがいてくれたら大丈夫だろうなって私も思います。

いい人ですもんね。立さんのおじさんの奥さんでベトナム人のミンさんのこともいろいろ話してあげるし、キャロットケーキを作って持って行ってあげたりしてね。私自身は料理とかケーキ作りとか苦手ですけど(笑)」

――徳島ロケはいかがでした?

「久しぶりの女優業専念で最初緊張しましたが、楽しかったです。(中江)有里ちゃんも映画と同じように慕ってくれて、本当に立とカズみたいでした。徳島の吉野川辺りの景色が素晴らしくてスローライフに癒される映画です」

――ミュージカルやライブも楽しみにしている方が多いですね

「そうなら嬉しいですけど、私は自分が好きでやっているんですよね。やっぱりライブが一番好きです。今はだいたい100人ぐらいの会場で、ピアノとデュオとか、せいぜいピアノトリオぐらいで歌を聴いていただく。私は自分で言うのも何ですけど、トークが上手いので講演もすごい人気なんです(笑)。

介護の講演もやるんですけど、アカペラで歌ってあげるし、笑いも来てすごい人気なの。ライブは非常に受けるんですよね。だから、ライブはこれからもやっていきたいです。

私はずっと大きな会場ばかりでやってきたので、逆にお客さんも小さい会場のほうが喜んでくれるんですよね」

――ブログもですけど、パソコンなど電子機器も結構活用されていらっしゃいますね

「パソコンでも何でも、わりとこの年にしてはできるほうだと思います。昔はマネジャーが台本とか譜面とかいちいち届けなきゃならなかったけど、今は音源とか私もダウンロードできますからね。Firefoxでもなんでも大体そう。大体74歳でそういう言葉を知っているのがすごいでしょう?

PDFでどうのこうのとか。だから、ライブのリストも自分でバーッと作って、Excel(エクセル)でやってそれを拡大コピーして、みんな目が悪いからもう拡大コピーしてそれを送ったりとか。

アンケートもテレビ局の番組などから来るじゃないですか。アンケートに記入してPDF(Portable Document Format)にして送るのもパソコンでできるし、私は待たすのが嫌いだから、原稿の締め切りなんかもすぐにやりますね」

――バースデーライブをネットで拝見させていただきましたが、パワフルでカッコ良かったです。全然変わらないですね

「よく言われます。74歳だと言うと驚かれる(笑)。パスポートの写真とかは10年じゃないですか。撮り直さなくてもいいんじゃないかというぐらい、全然変わってない。

そのまま使おうかなと思ったけど、そういうわけにもいかないから新たに撮ってきました。

運動はウォ―キングだけですけど、歌うということは運動するのと同じですからね。ライブツアーを3日間やったら相当消費しますよ。だからめちゃめちゃ食べて飲みます。若手のバンドメンバーとかで行くと、みんなで夜は絶対に宴会をやるんです。焼き鳥か焼肉か。それも楽しみでやっています」

元気ハツラツとしていてカッコいい今さん。インタビュー時は、映画「道草キッチン」の舞台挨拶登壇も楽しみだと話していたが、15日(土)に東京駅で転倒して肋骨を2本骨折。

かなり痛みがあり、約3週間絶対安静だと診断されたという。まだしばらくは、しっかり固定して湿布を貼り、痛み止め薬を服用することになりそうだが、痛みが治まってパワフルなステージを披露してくれるのを楽しみにしている。(津島令子)

                                                                             

広告