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2025年12月23日 13:58

前田亜季 幼稚園児の時にスカウトされて子役デビュー!姉・前田愛と共に“チャイドル”として大人気に

前田亜季 幼稚園児の時にスカウトされて子役デビュー!姉・前田愛と共に“チャイドル”として大人気に
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小学生のときから「天才てれびくん」(NHK)、映画「学校の怪談2」(平山秀幸監督)、CMなどで活躍してきた前田亜季さん。2歳上の姉・前田愛さんとデュエットで歌手としてもデビュー。2000年、映画「バトル・ロワイアル」(深作欣二監督)で第24回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。映画「リンダリンダリンダ」(山下敦弘監督)、大河ドラマ「風林火山」(NHK)、連続テレビ小説「ごちそうさん」(NHK)、映画「宝島」(大友啓史監督)などに出演。2026年1月9日(金)に映画「五十年目の俺たちの旅」(中村雅俊監督)が公開される前田亜季さんにインタビュー。(この記事は全3回の前編)

■CM撮影現場で急遽姉・前田愛さんと共演することに

東京で生まれ育った前田さんは、幼稚園児の時にハンバーガー屋さんでスカウトされたことがきっかけで芸能界デビューすることになったという。

「私がまだ幼稚園に通っていた頃、小さくて家にひとりで置いておけないから母が仕事場に連れて行くことが時々あって、お昼ご飯を食べている時にモデル事務所の女性の方が声をかけてくださったことは何となく覚えています。『そんなに人見知りしないんですね』みたいなことから始まり、『こういうお仕事があるんですけど興味ありますか?』ということを母が言われていたらしくて。

そういう世界があるということも全然知らなかったので、名刺だけもらって帰ったんですけど、『そんなことはなかなかできないよね』って言いながら忘れていたんですね。でも、そのとき母が電話番号だけ渡していたみたいで、1年後ぐらいに電話がかかって来て。『もう一度考えてくれませんか?やりませんか?』と言われたので、『じゃあ、やってみようか』って、それで始まった感じです」

――仕事を始めたのは、亜季さんの方が先だったのですね

「最初はそうですね。それで現場にも一緒に連れて行くので姉もやるようになって。『マクドナルド』のCMの撮影の時に一緒に出る予定だった男の子が急に来られなくなっちゃったとかで。その時も姉が現場についてきていて、ショートカットだったので男の子の役で出ないかということになって一緒に出ることに。そんなこともありましたね(笑)」

――愛さんは、ボーイッシュなイメージでしたものね

「そうなんですよ。姉は髪の毛もずっとショートでしたし、私はロングだったので、本当に男の子と女の子みたいな感じでしたね」

――お二人とも小さい時から、あれだけ可愛かったらスカウトされますよね

「そんなことないです。全然わからない世界だったので、何か不思議な感じでしたね。家族や周りも誰もやってなかったので情報もないですし、そんな世界があるんだなぐらいの感じでした」

――実際にやってみていかがでした?

「やってみたらやっぱり楽しくて(笑)。遊びに行くような感覚でしたね、ずっと。現場にもいろんなお姉さんたち、お兄さんたちがいたし、素敵な衣装を着させてもらえて。CMで始まったので、広告のチラシの写真撮影で髪の毛を綺麗にしてもらうというのがすごく嬉(うれ)しかったのを覚えています」

1995年、10歳の時から2年間「天才てれびくん」(NHK)にレギュラー出演。姉・愛さんも「あっぱれさんま大先生」(フジテレビ系)などで人気を博していく。1998年には姉妹でデュエット曲を発売し、歌手としても活動。“チャイドル”として話題に。

1996年には映画「学校の怪談2」(平山秀幸監督)に出演。この作品は、古い学校に伝わるお化けの話を題材に、子どもたちが恐ろしい体験を通して成長していく様を描いたもの。前田さんは、東京の塾生・今井なな子役。翌年には映画「学校の怪談3」(金子修介監督)に出演。この作品は、妖怪たちが棲む鏡の世界に引きずり込まれてしまった小学生たちと先生の脱出劇を通して彼らが友情や愛情に目覚めていく姿を描いたもの。

「小3、小4ぐらいになるとお芝居をすることも増えてきて。学校の子たちも私がこういう仕事をやっているんだということを知ったのがそれぐらいなのかな。でも、普通の公立の学校だったので、『出ていたね』ぐらいで、そんなにいろいろ言われることもなく普通にのんびり学生生活を送っていました」

――ホラー作品ですが、撮影は怖かったですか?

「それが本当に楽しくて(笑)。ホラー映画といえども、同年代の子たちもたくさん出ていましたし、あの時はCGと言っても結構アナログな感じで、まだグリーンバックでもなくてブルーバックで。『ここで妖怪が現れるから、キャーッと逃げて』って言われたり、すごくアナログの現場だったので本当に面白かったですね。穏やかだけど刺激的で、素敵(すてき)なイメージしかないです」

――撮影は結構ハードだったのでは?

「そうですね。ちょっと夜が遅かったですね。今は、子どもは8時までに撮影を終えて帰すという風にちゃんとシステムができているので今の子役さんはいいなって思います(笑)」

――完成した作品をご覧になっていかがでした?

「びっくりしました。こんな風になっているんだって。現場で作ったものが一つの作品になるということを初めて体験したので、ものづくりの面白さを知ったというか。映画館で見た時の嬉しさと驚きは忘れられませんね。それがやっぱり楽しいなって思いました」

――この仕事をずっとやっていこうという意識はありました?

「小学生の時はまだそこまで考えてはいませんでした。現場に行く日々が楽しいというだけで、将来これを仕事にしたいとか、そんなふうに思っていたわけではなかったです。『何か楽しいな、友だちに会えるな』ぐらいの気持ちでずっと続けていました」

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■中学生同士を殺し合わせる衝撃の映画「バトル・ロワイアル」に出演!

2000年、映画「バトル・ロワイアル」(深作欣二監督)に出演。この作品は、全国の中学3年生の中から無作為に1クラスを選び出し、最後の一人になるまで殺し合わせる、新世紀教育改革法・通称「BR法」の対象となった中学生たちの命をかけた戦いを描いたもの。中学生同士が殺し合うという衝撃の内容が大論争に。前田さんは、藤原竜也さん演じる主人公・七原秋也とともに生き残り全国に指名手配されるヒロイン・中川典子役を演じた。

「深作欣二監督と出会えたことは大きかったですね、初めて仕事として自分で意識して現場に行くようになったのが『バトル・ロワイアル』だったと思います。あの撮影が14歳〜15歳になる夏だったんですね。本当に忘れられない夏でした」

――今回、改めてもう一度拝見させていただきましたが、血みどろで今見てもすごいですね。中学生であの現場だとトラウマになりそうですね

「本当ですよね。トラウマになる(笑)。甥(おい)っ子に『どんなストーリーなの?』って聞かれても説明できないんですよね。『中学生がクラスで殺し合って頭に(包丁が)刺さって血まみれになったりする』なんて言えないじゃないですか。何とも説明できなくて、まだちょっと見せられないかなって」

――でも、もう少ししたら見るようになるのでしょうね

「配信などもありますからね。当時自分は出演していましたけど、R15だったのかな?撮影時は見られない年齢だったんですよね。15歳になった年に公開だったんですけど。

だから不思議な感じですよね」

――深作欣二監督は、現場ではどんな感じでした?

「監督は、本当に誰に対しても分け隔てなく対等に愛情を持って接してくれて。大人も子どもも、(ビート)たけしさんと同じように言葉を交わしてくれるという感じで大好きでした」

――監督に怒られたりしたことは?

「怒られるというよりは、『違う。こういう画が欲しいからもう1回』みたいな感じで、決して怒っているわけじゃなかったですね。いつも愛情があることがすごくよくわかるので、『もう1回、もう1回』って厳しくオーケーが出なかったとしても、もっともっと応えたいという気持ちになるだけでみんな一生懸命でした。すごくいい現場でした。そういう経験ができたのは、本当にありがたいことだなと思います」

――血まみれで逃げ惑うシーンもたくさんありましたね

「そうですね。ほぼ毎日“汚(よご)し”でした(笑)。毎朝行ったらまず汚すみたいなね。血のりをつける日々でした。感覚がもう麻痺(まひ)していたのかな。現場の世界に入っていたので、それが普通、当たり前でしたね。みんなその格好のまま食堂でご飯を食べたりしていたので、周りの人がびっくりしていたかもしれないです」

今年閉館となった劇場「丸の内TOEI」の「さよなら丸の内TOEI」で25年ぶりに上映された。2003年には続編となる映画「バトル・ロワイアルII鎮魂歌」に出演。この作品は、前作で生き抜いた2人の3年後を描いたもの。秋也(藤原竜也)は反BR法組織ワイルドセブンのリーダーになりすべての大人に宣戦布告。大人たちは彼を抹殺するために新しい「BRII」法を制定し、新たなゲームを開始することに…。この作品の撮影中に深作欣二監督ががんで急逝され、長男・深作健太監督が後を引き継ぐ形で完成させた。

「続編ができるということは、全く思っていませんでした。公開してからいろんな反響をいただいたみたいで。でも、監督がもう1作撮るというのは単純に嬉しくて、監督とまた会いたいなという思いでした」

――深作監督がクランクインしてすぐに急逝されて

「ショックでした。私は監督に現場でお会いすることは叶(かな)わなかったんですけど、姉が出ていたので現場の様子は聞いていました。どうにか良くなるようにと祈っていたんですけど…。結果的に長男の健太さんが監督を引き継ぐことになって。1作目も原作を選んできたのは健太さんだし、気持ちはものすごくこもっているから続編も完成できたんだと思います」

前田さんは、「バトル・ロワイアル」で第24回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。映画「リンダリンダリンダ」、「狩矢警部シリーズ」、主演映画「最終兵器彼女」(須賀大観監督)、大河ドラマ「風林火山」など多くの作品に出演することに。次回は仕事と学校の両立、撮影エピソードなども紹介。(津島令子)

※前田亜季プロフィル

1985年7月11日生まれ。東京都出身。小学生の頃からCM、テレビ、映画などで活躍。「天才てれびくん」、「ゴンゾウ〜伝説の刑事」(テレビ朝日系)、「70才、初めて産みますセブンティウイザン」(NHK)、映画「バトル・ロワイアル」、映画「最終兵器彼女」、映画「フロントライン」(関根光才監督)、映画「宝島」などに出演。2026年1月9日(金)に映画「五十年目の俺たちの旅」が公開。2026年3月14日(土)〜3月29日(日)まで「るつぼThe Crucible」(東京芸術劇場)に出演。

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