久米宏さんがキャスターを務めた「ニュースステーション」。最終回の久米さん最後のあいさつです。
「国民を戦争へミスリードしたという過去が、民放にはない。これからもないことを祈っております」
【2004年3月26日放送】
ニュースステーション、まもなく終了するんですが、大勢の方にお礼を申し上げなければいけません。
まず、この場を提供してくださったテレビ朝日、それから代理店の電通、さらには莫大な資金を提供してくださった関係スポンサーの皆様。この民間放送はあれなんですよね、原則としてスポンサーがいないと番組が成立しないんです。そういう意味では民間放送はかなり脆弱で、弱くて、危険なものなんですけど、僕はこの民間放送というものを大好きというか愛しているといってもいいんです。
なぜかというと日本の民間放送というものは原則として戦後すべて生まれました。日本の民間放送、民放は、戦争を知りません。国民を戦争に向かってミスリードしたという過去が、民間放送にはありません。これからもそういうことがないことを祈っております。
さて、この番組に関係したスタッフが何人いるかわかりません。歴代のプロデューサーそしてディレクターたちが何代入れ替わったかわかりません。美術さんとか大道具さんとか照明さんとか音声さんとかカメラさんとか、飲み物とか食べ物を作ってくれる消え物さんとか、メイクの人とかスタイリストの方。
それから広い意味で言うと、さっき莫大な資金を提供してくださったスポンサーと申し上げましたが、提供スポンサーの社員の方っていうのは、その方たちが働いて利潤を生みだして、その利潤が宣伝費にまわって、それでスポンサーになってくださったわけですから、広い意味で言うとスポンサーの社員の方もスタッフだっていう考え方ができるんです。
そうなるとですね、何万人という従業員を抱えた大企業が何社もスポンサーについてくださったんで、スタッフというか、この番組に関係した方たちの数は千や百のオーダーではとてもはかれません。万、十万、ヘタすると百万。もしかしたらスポンサーの製品とかサービスを買ってくださった方もスタッフだって考え方さえできるんですから、そうなると何千万という単位になるかもしれません。本当にありがとうございました。
特に、渡辺真理さんの言った、見てくださった方、番組を支援してくださった方へのお礼は、何回言っても言いすぎるということはありません。
僕は小学校1年から6年まで、通信簿のなかに通信欄っていうのがあって、先生から母親や父親へのメッセージだったんですが、同じことがいつも書いてありました。「久米君は落ち着きがない」「飽きっぽい」「持続性がない」「協調性がない」。ずっと1年から6年まで同じで、もうコンプレックスにさえなっていたんですが、小学校の時の先生、一人くらい見ていらっしゃいませんかね。18年半やりましたよ、あなた。
僕はえらいと思うんだ。きょうはご褒美をあげようと思って。
もう本当にね、僕はえらいと思うんだ。きょうはご褒美をあげようと思って。
(席から立ちあがる)
もう自分でも本当にね、これはえらいと思うんだ。
(冷蔵庫からビール瓶を取り出す)
これね、見てくださった方はもちろんなんですが、大勢の方が見てくださったおかげだと思うんですが、想像できないくらい厳しい批判、激しい抗議も受けました。もちろんこちらに非があるものもたくさんあったんですが、こちらは理由がわからない、ゆえなき批判としか思えないような批判もたくさんありました。が、今にして思えば、そういう厳しい批判をしてくださる方が大勢いらっしゃったからこそ、こんなに長くできたんだということが、本当に最近よくわかっています。これは皮肉でも嫌味でも何でもありません。厳しい批判をしてくださった方、本当にありがとうございました。感謝しています。
これ、僕のご褒美です。
(栓抜きでビール瓶をあける)
いやあ皆さん、近くに飲み物がある方、乾杯しません?テレビを見ている方。
お酒はだめですよ、仕事がある方とか運転する方、お茶とか水にしてくださいね。
じゃ、乾杯。本当にお別れです。さよなら!
妻・麗子さん「最後まで“らしさ”を通したと思います」
久米 麗子

