「仮面ライダー剣(ブレイド)」(テレビ朝日系)で俳優デビューし、役柄のイメージにこだわることなくさまざまなキャラクターにチャレンジしてきた竹財輝之助さん。「半沢直樹」(TBS系)、「ポルノグラファー」(フジテレビ系)、「ボクの即興ごはん〜竹財輝之助のひとりキッチン〜」(BS11)などに出演。近年は、「夫の家庭を壊すまで」(テレビ東京系)、「夫よ、死んでくれないか」(テレビ東京系)、「娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか?」(関西テレビ・フジテレビ系)など“クズ夫”役で定評があり、
“クズ男職人”と称されている。クズ夫ではない刑事役を演じた映画「夜勤事件」が2月20日(金)に公開される。(この記事は全3回の後編。前編と中編は記事下のリンクからご覧になれます)
■サレ妻の強烈なリベンジを喰らう“クズ夫”のイメージが浸透
2024年、「夫の家庭を壊すまで」に出演。このドラマは、痛快無比なサレ妻の壮絶なリベンジを描いたもの。
純愛を貫いて結婚した如月みのり(松本まりか)と如月勇大(竹財輝之助)は、子どもにも恵まれ、幸せな家族のはずだった。しかし、良き夫だと信じていた勇大に不倫相手(野波麻帆)がいることが発覚。深く傷ついたみのりは離婚だけでは終われないと、復讐を決意する…という展開。竹財さんは、妻子がいながら、15年も別の家庭で二重生活を送っている勇大を演じてクズ夫役ぶりが話題に。
「クズ役は、昔から結構やってはいたんですけど、僕が出てくると『こいつはクズだ!』というくらいイメージが浸透したのは、ここ数年ですね。たまたま時代の流れじゃないですか。そんな作品が増えてきて。やっぱり『夫の家庭を壊すまで』が一番大きかったんじゃないですか。あれをやってからそういうお話をいただくようになって、クズ夫役・が多くなりましたね(笑)」
――面白かったですね。仲がいい夫婦だなと思ったら、実は…という感じで、二枚目で優しい夫だっただけに裏切りのショックは大きいですよね。展開は最初から知っていたのですか?
「原作があったので、何となくですけど知っていました。原作通りには進んではいないですけど、撮影は楽しかったです。お芝居は野波(麻帆)さんはもちろん、昔からやられている役者さんばかりで。松本(まりか)さんが特に(役に)入り込む役者さんなので、一緒にお芝居をしているのはめちゃめちゃ楽しかったですね」
――天使のような笑顔を見せていた奥さんから怖い女に変わっていく様がすごかったですね。竹財さんはいい夫に見えていた分、クズさ加減が際立っていました。周りの人たちからは何か言われました?
「あまり記憶がないです。『見ていたよ』っていうのは今だに言われますけど。(松本)まりかちゃんがすごいバズったので、まりかちゃんのことをよく聞かれましたね」
――撮影の休憩時間などはどのようにされていたのですか?
「休憩時間は普通にお話していましたよ。それで、またスタートになったらいきなりスイッチが入って…という感じだったのですごかったです」
――放送されてかなり反響があったと思いますが、どう思われました?
「僕自身は『そうなんだ』ぐらいの感覚でした。でも、『世も末だな』って思っていましたね。この作品みたいなのを世の中の人が見たいんだなって思うと、ちょっと『日本は大丈夫か?』って思いました」
――凄まじい不倫の制裁を受けることになりますが、ここまでするかというくらいでしたね
「そうですね。だから多分それも含めてウケたんじゃないかなって思いました。こういう成敗をしてほしいと思っている方がいっぱいいるんだと思いますよね。この手のドラマが続くじゃないですか。みんな好きなんですね(笑)」
■クズ夫役で連続ドラマに立て続けに出演
「夫の家庭を壊すまで」のクズ夫役で話題を集めた竹財さんは、同年、「そんな家族なら捨てちゃえば?」(関西テレビ)に_乃木坂46の岩本蓮加さんとW主演。このドラマは、妻・和美(片山萌美)によって家中に貼られたテープによって家庭内で孤立している男・篠谷令太郎(竹財輝之助)と、高校生の娘・一花(岩本蓮加)がその理由を解き明かし家族の再生を目指す様を描いたもの。
食事は、スーパーやコンビニ弁当。冷蔵庫や電子レンジ、ポットなどは和美たちとの共有は許されず、別のものを使っている。洗濯はコインランドリーか手洗い。トイレは2階のみ使用可能など、家庭内での虐げられ方がすさまじい。
「なぜ家の中がテープで区切られていて、僕はその中でしか生活できないのかが徐々に明かされていくんですけど、撮影は結構ハードでした」
――あまりに虐げられているのでかわいそうだと思っていたら、とんでもないクズでしたね
「そうですね。お芝居としては面白いなと思いましたが、カオスです。まともな大人がひとりもいない(笑)。ラストの展開は想像できないですよね。驚きでした」
連続ドラマのクズ夫役が続き、2025年、「夫よ、死んでくれないか」(テレビ東京系)に出演。このドラマは、30代後半になった学生時代からの親友3人、麻矢(安達祐実)、美璃子(相武紗季)、里香(磯山さやか)。不倫、モラハラ、束縛…それぞれ夫との関係に悩む親友3人が幸せを取り戻すために奮闘する妻たちの復讐を描いたもの。竹財さんは、安達祐実さん演じる麻矢の夫でIT企業に勤務している甲本光博役。光博は、妻と向き合おうとせず、一緒に居る意味をも感じさせない不倫夫。
――不倫をはじめ、いろいろ問題はありましたが、何とか二人でやり直すのかなと思っていたら驚きの展開でした
「妻が言った一言が許せなくて彼女を殺そうとしたあげく、熊に襲われて死んでしまう。ビックリですよね」
同年、「娘の命を奪ったやつを殺すのは罪ですか?」(関西テレビ・フジテレビ系)に出演。一人娘・河井優奈(大友花恋)の死の原因がママ友のボス的存在・新堂沙織(新川優愛)による壮絶ないじめであることを知った55歳の母親・篠原玲子(水野美紀)が、全身整形手術を受けて25歳の新米ママ・篠原レイコ(齊藤京子)に生まれ変わって復讐する様を描いたもの。竹財さんは、沙織の夫で国会議員。妻のママ友グループの彩(香音)との間にも子どもをもうけていた不倫夫。街頭演説中に、レイコと彩によりそれらの所業をバラされて失脚することに。
「ひどい男ですよね(笑)。自分の欲求でしか動かない人間。妻をあそこまで増長させているのもそうですし、妻のことを妻とも思ってない。ただ綺麗な人を隣に置いておきたいというだけ。さらに妻の友だちと不倫関係にあって子どもまでいるというのは、本当にクズですよね(笑)」
――それにしても55歳の母親が全身整形手術で、20代の女性になる…というのはすごいですね
「漫画が原作なんですけど、ものすごい発想だなと思って。面白いなあって思いました」
――新川さんの悪役は珍しいですね
「そうですね。新鮮でした。あそこまで振り切った役をやられるのは初めてじゃないですかね。素晴らしかったですね、振り切っていて。女性陣の醜い争いがすごかった。怖いですよね(笑)」
ドラマでは“クズ夫”のイメージが浸透しているが、プロ級の料理の腕前を持つことでも知られている竹財さん。「ボクの即興ごはん〜竹財輝之助のひとりキッチン〜」(BS11)や「X」などで見事な腕前も披露している。
――いろいろなことができるイメージがあります。お料理の腕前もすごいですね
「やろうと思えば何でもできるとは思っているんですけど、興味がないので。それにお金を稼ごうと思ってないので続かないと思います。料理は、時間がある時は家族のご飯を作ったりしています。少なくても月イチではやっているかな」
――連続ドラマも多いですが、お休みはどのように過ごされていますか?
「休みだからといって何か特別なことをするわけでもなく、料理をするぐらい。ただただ生活しているという感じ。僕は、どこかに行くとか、予定を立てて何かするというのは苦手なので、ただダラダラ過ごしています。子どもとかに『行こう』って言われたら行きますけどね。妻とか子どもが行きたいところがあれば行きますけど、そうじゃないと本当に家でダラダラしています」
――何か凝っていることはありますか?
「好きでやっていることは野球とゴルフですね。休みと相手がいること、タイミングが合えば…という感じですけど。ゴルフに行くのもなかなかね。朝から行かなきゃいけないから大変じゃないですか、みんなスケジュールが。贅沢(ぜいたく)なスポーツだなって思いますね。お金も時間も贅沢に使うので。自然の中に入れるのですごく楽しいですし、リラックスできるので好きでやっています」
■ホラー映画は苦手だが…
2026年2月20日(金)に公開される映画「夜勤事件」に出演。この作品は、深夜のコンビニを舞台に、じわじわと迫る恐怖と不可解な現象の連鎖を描く大人気ホラーゲームを「きさらぎ駅」シリーズなど、数々の都市伝説ホラー映画を手掛けて来た永江二朗監督が実写映画化したもの。
一人暮らしの女子大生・田鶴結貴乃(南琴奈)は、高時給に惹かれ、寂れた住宅街の片隅に佇む一軒のコンビニで夜勤のアルバイトを始める。日付が変わる頃、店長の指示のもと、品出しや廃棄処理、奇妙な客の対応に追われていたが、店内では説明のつかない“違和感”が現れはじめる。差出人不明の自分宛の謎の配送物、不気味な言葉を残す老婆、誰もいないはずの通路の監視カメラに映る“何か”。深夜のコンビニが静かに、しかし確実に“何か”に侵食されていく…。
――今回は、クズ夫ではなく、刑事役でしたね
「永江さん(監督)とは2回目なので、それも嬉(うれ)しかったし、何よりも永江さんが楽しそうに現場にいたので、『本当にホラーが好きなんだな』って思いました(笑)。マネジャーから『永江さんからこういう話が来ているよ』って聞いて、ホラーは苦手ですけど、永江さんだったからオーケーしました」
――冒頭のシーンから不気味です。若い女の子がひとりでアルバイトがよくできるなって
「そうですよね。住宅街だし、朝方の設定なのでほとんどお客さんも来ないですからね。でも、実際そういう人もいると思うので、慣れるんじゃないですか」
――何かがありそうという不気味な雰囲気が全編に漂っていて怖かったですが、伏線がうまく回収されて謎が明らかになっていくので面白かったです
「それはやっぱり監督の腕ですよね。伏線をちゃんと拾っていけば繋(つな)がるというか、ちゃんとできている作品だと思うので」
――撮影している時に不気味な感じはしなかったですか?
「それはなかったです。僕らが不気味な感じを出す必要はなくて。照明さんだったり、皆さんがそうしてくれるので、僕らは特に意識することなく淡々とした取り調べとかのお芝居をやっていました。刑事役はこれまでも数えるほどですけど、いくつかやらせてもらっていましたし」
――今回は、クズの要素が全くない役どころでしたね
「自分としては、クズ役をやる時も、今回の猿渡刑事をやる時も意識は変わらないんですよ。クズ男をやっているとか、いい人をやっているという感覚は全くないですね。クズ男の時もクズとは思ってやっていないので。ただ生きていて周りからクズって言われるだけ。本人は『何がおかしいの?』ぐらいにしか思っていないので。そのズレがクズに見えるんだと思うんですけど」
――そうですよね。クズ夫をやろうと思って演じているわけじゃないですものね
「そう。自分は何も悪いことをしているつもりがなくてひどいことをしているからクズなんですよ(笑)」
――今後やってみたいことは?
「僕は、お芝居ができれば何でもいいんですけど、正直ホラーはあまりやりたくないですね。苦手なんですよ。怖がりですね。見るのも嫌いですし、苦手なので、わざわざ見る意味がわからない。それ言っちゃったら元も子もないんですけど、寝られなくなっちゃう。そんな寝られない状況に自分を追い込まなくてもいいんじゃないかって思いますよね」
――今回ホラー作品ですが、完成した作品をご覧になっていかがでした?
「怖いのが苦手だから疲れました(笑)。でも、ホラーが好きな方は楽しんでもらえるんじゃないかな。今まで何作かホラーっぽいのをやっていますけど、ここまで監督が楽しそうに撮っているホラーは初めてでしたね(笑)。監督が永江さんだったということもあるんでしょうけど、全く別ものでした。ホラーは、誰か関係値がある人がいないとやらないです。
今回は永江監督だったからというのは、絶対的ですね。誰からいただいたお話なのかで決めます。この人が僕を必要としてくれているんだったら…という感じで、心良く何でもやります。前にお仕事をした監督やスタッフから声をかけてもらえるというのが一番嬉しい。今回は、ホラー作品なので怖いですけど、皆さんがどんな反応するのか楽しみです」
2025年は、仕事の8割方が“クズ夫”役だったという竹財さん。今年も多くなりそうと話す爽やかな笑顔が印象的。クズ夫役も楽しんで演じているところがカッコいい。(津島令子)
ヘアメイク:岩田恵美
スタイリスト:大石祐介
衣装協力:MANAVE、KUME、KHONOROGICA、Paraboot



