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2026年1月20日 14:10

木ノ本嶺浩 「仮面ライダーW」が終わった後、主演作品も!しかし、すごく迷っている時期が…

木ノ本嶺浩 「仮面ライダーW」が終わった後、主演作品も!しかし、すごく迷っている時期が…
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2010年、「仮面ライダーW」(テレビ朝日系)に第18話から仮面ライダーアクセル(照井竜)役で出演して話題を集めた木ノ本嶺浩さん。2011年には、Vシネマ「仮面ライダーW RETURNS 仮面ライダーアクセル」(坂本浩一監督)で初主演を果たし、同年、映画「ガクドリ」(江良圭監督)と主演作が続く。現在、主演映画「メモリードア」(加藤悦生監督)が公開中。(この記事は全3回の中編。前編は記事下のリンクからご覧になれます)

■スクリーンで自分の名前が最初に出てきた時は…

2011年、Vシネマ「仮面ライダーW RETURNS 仮面ライダーアクセル」に主演。竜(木ノ本嶺浩)と亜樹子(山本ひかる)が新婚生活を始めた矢先、連続スリ殺人事件が発生。超常現象捜査課は捜査を開始するが、その最中に刃野刑事(なだぎ武)が凶弾に倒れ、竜が容疑者に…。

――アクセルが主人公だと聞いた時はいかがでした?

「ものすごく嬉(うれ)しかったです。やっぱり主役になりたかったので。主役って願ってもなかなかできるものではないじゃないですか。毎年テレビシリーズが終わったら冬に劇場版をするのがルーティンになっている中で、その冬の劇場版を撮っていて。

その撮影をしている時にプロデューサーに呼ばれて行ったら、『アクセルが主役になります』って言われて。『何かやりたいことはありますか?』とリクエストも聞いていただいたので、『アクセルの新フォームが欲しいです。それと生身でアクションをしたいです』と言ったら、『それはもう全部入っています』って言われて。

僕は、ヒロインの山本ひかるさん、鳴海亜樹子と結婚する役だったので、『じゃあ、新婚生活とかですかね』って言ったら、『それはもちろん入ります』と言われたので楽しみでした。めちゃくちゃ嬉しかったですね。主役になれるっていうのは。

主役をずっとやり続けている俳優さんもいらっしゃいますけど、そこで任せてもらえたということが気持ちの面で嬉しい分、プレッシャーも感じつつ、何か全てうまくいくというような根拠のない自信みたいなものがありましたね。多分20歳ぐらいの若い時はみんなあると思うんですけど、そんな感じでした」

――スクリーンで自分の名前が最初に出てきた時は?

「痺れました。何なんでしょうね?台本を読んで、まず自分の名前が頭にあるというだけで、ちょっと1回手が止まるんですよね。『よし!よし!』って気合を入れて読んだことを覚えています」

同年、木ノ本さんは、映画「ガクドリ」に主演。この作品は、学生限定のドリフト大会・全日本学生ドリフト王座決定戦(通称“学ドリ”)をテーマに描いたもの。

一浪して赤城山大学に合格したマサキ(木ノ本嶺浩)は、自動車教習所で一目ぼれした美人教官・菜々子が赤城山大学の自動車部OGとして今でも部に顔を出すことを知り自動車部へ入部。ドリフトどころか自動車のことすらろくに知らなかったマサキだが、次第に頭角を現していく…という展開。

「車はもともと好きなんですよ。だから願ってもなかったです。デザインとして見ているのがすごく好きなので嬉しかったですね。映画の公開を記念して駐車場でドリフトをするようなイベントに呼んでいただいて、一緒に乗せてもらったりして。撮影もすごく興奮しました。楽しかったですね」

――かなりコメディセンスを発揮しなければならない役どころでしたね

「はい。監督に初めて会った時に『君はバカになれるのか?』って言われて。やっぱり1年間やっていた仮面ライダーアクセルのイメージが、クールで硬派なキャラクターというのもあったので。僕自身役に影響されるから、普段こうなるというのはあまりないんです。

ちゃんと話そうとはしますけど、僕はやっぱり基本的に男子は、いい意味でみんなバカだと思っていますから(笑)。軽いノリとか、そこは色々研究しながら演じました。

『ガクドリ』の自動車部という設定だったので、実際にはできなかった大学の部活でみんなと楽しく過ごす学生生活を撮影期間の1カ月間で経験させてもらいました。だからみんなで楽しくやっているノリでも、みんなで色々考えてやっていたんですけど、『でも、俺置いていかれているな』みたいな感じがちょっと自分自身とリンクしていたのかなと。

『ガクドリ』のことを思い出して話す機会があまりないので新鮮ですね。当時は何を考えていたんだろう?あまり何も考えてなかったかもしれないです。余計なことを考えるとできない役ではあったと思います。逆に自分のいろいろ考えすぎてしまう癖みたいなものを絶っていた感じは今までもあります」

「ガクドリ」の後、映画「生贄のジレンマ 上・中・下」(金子修介監督)に出演。この作品は、生き残るために壮絶なバトルを繰り広げることになってしまった高校生たちを描いたもの。

高校卒業式の朝。篠原純一(須賀健太)が数週間ぶりに登校してみると、何故か校庭には底の見えない巨大な“穴”が。教室にはクラスメイト全員が揃っていた。そして卒業を控えた高校生たちは、生贄を捧げなければ全員死亡するという究極のサバイバル・ゲームに挑むことに…。

「あの映画は、上(84分)、中(90分)、下(103分)の3本だったので、何か遅れてきた学生生活みたいな感じでした。23歳ぐらいでやっていたので、あれが高校生役の最後なんですよ。

原作ゲームがその時流行(はや)っていたのもあったと思うんですけど、しんどいですよね。クラスメイトたちを疑わなきゃいけないし、自分も疑われる。自分は生きたいけど、生贄にならなきゃいけないのか…とか。クラスメイトが次々に死んでいきますし、内容的にはつらかったですけど、撮影はやっぱり楽しいんですよ(笑)。みんなほぼ同じ年代だったので」

――金子修介監督が嬉々として撮っていたのでしょうね。目に浮かびます

「はい。すごく楽しそうでした。僕もすごく楽しかったです。金子さんの『学校の怪談』とか『ガメラ』シリーズが好きだったので、ご一緒できることがすごく嬉しくて。その話を金子さんにしたら、撮影時のエピソードを話してくださいました。

金子さんとは前に『メサイア』という映画でご一緒していたので、そのご縁もあって出演になったんですけど、『生贄のジレンマ』は壮絶でしたね。どんどん人が死んでいくのはつらいですし、生き残れて良かったとも言えないし…何か寂しいなみたいな感じでした。微妙ですよね。生き残れたことは嬉しいんだけど、その分仲間を犠牲にしているので」

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■津田寛治さんは“師匠”のような大先輩

2017年、短編映画「追憶ダンス」(土屋哲彦監督)に篠田諒さんとW主演。この作品は、深夜のコンビニを舞台に、店員と強盗の記憶の掛け違いを巡る2人の戦いを描いたもの。木ノ本さんは、2017年3月に行われた「FOXムービー短編映画祭2016」で篠田諒さんと共に審査員特別主演俳優賞を受賞した。

深夜のコンビニでアルバイトをしている鈴木(篠田諒)は、強盗に遭遇。強盗は、かつて鈴木の同級生の佐藤(木ノ本嶺浩)だと言うが、鈴木は佐藤を思い出せない。「イジメた方は忘れても、イジメられた方は覚えてんだよ!」とナイフで襲ってくるが全く身に覚えがない。記憶のかけ違いをめぐる二人の攻防は予想外の結末に…。

「この映画を撮っていた時期ぐらいから商業映画だけでなく、自主映画とかインディペンデント系の作品にも挑戦したいなと思うようになりました。この作品にも警察官役で出ていますけど、その前に津田寛治さんと共演させていただいたことが大きかったです。

津田さんと事務所の方にすごく可愛がっていただいて。『もっちゃん、頑張れよ』って俳優として見てくださって、いろんな話をしてくださいました。僕が勝手に師匠と仰ぎ本当に尊敬している大先輩です。

津田さんの作品に出演されるスタイルというのは、『面白かったらやってみよう』で、何かスケジュールがとか、いろんな制約はもちろんあるにしても、やれるものをやっていこうっていう方なので、そこは本当に勉強になりますし、自分もそうでありたいと思うので。

仮面ライダーが終わり、主演の映画をいくつかやらせてもらったんですけれども、何かうまく羽ばたいていけなくて、『自分はどうすればいいんだろう?』ってすごく迷っている時期があって。

その間に演劇に出会って、演劇をやることにもなるんですけど、『どうすれば頭一個抜けられるんだろう?』みたいなことを考えている時にワークショップが縁で土屋監督と知り合って。自分たちが面白いと思う短編を作って、これを名刺代わりにいろんなところに行ってみようということになって。

津田さんの事務所の方も俳優をすごく応援してくださる方なので、その方のおかげもあって『追憶ダンス』に出演できました。鈴木役をやった篠田諒くんという俳優と一緒に店員と強盗をやるんですけど、諒くんもすごく面白くて。発想が豊かで本当に素敵な俳優さんです。

そこで出会った(追憶ダンスの)脚本の池谷雅夫さんとも、そののちに一緒に演劇をやったりすることにもなるんですけど、一つ自分の名刺になるもの、こういうことをやっていますと胸を張って言えるものを作ろうということでできた作品なので、思い入れは強いですね。

仮面ライダーをやっていたのはわかるけど、そこから大人の俳優になっていくにはどうすればいいかと悩んでいた時期に出会えた作品なので。去年久しぶりに上映もされたのでとても嬉しかったです」

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■映画祭で初めて海外へ「反応がすごくてびっくりしました」

2018年、映画「三尺魂」(加藤悦生監督)に出演。この作品は、集団自死というシリアスな設定を描きながら、最後には希望が残るという新感覚のヒューマンサスペンス。

山奥の小屋に巨大な花火を使って集団自死をするために集まった4人の男女。それぞれ事情を抱え死ぬことを選んだのだが、爆発のたびになぜか集合前の時間に戻ってしまう。その原因が4人の中のひとり、未来ある女子高生(村上穂乃佳)だと考えた大人3人(木ノ本嶺浩・辻しのぶ・津田寛治)は、彼女の自死を思いとどまらせようとするが、予想外の展開に…というストーリー。木ノ本さんは、先輩医師のきつい発言が原因でうつ病をわずらい、精神的に疲弊して自死を考えた研修医・高村役を演じた。

「映画『三尺魂』に出演するきっかけも津田さんなんです。僕は、『三尺魂』と『追憶ダンス』が、インディペンデント系の作品に出たのが初めてだったので、そこがなければ多分今の僕はないんじゃないかなというぐらい大切な作品です。

いろんな映画祭にも行かせていただいて、それまでにない経験もできました。その時一緒に『カメラを止めるな!』(上田慎一郎監督)も映画祭を回っていたんですよ。やっぱりすごく勢いありましたし、『第2のカメ止めを探せ』みたいなことが話題になって『三尺魂』を取り上げていただいたりしたので嬉しかったですね」

――「三尺魂」の台本を最初に読んだ時はいかがでした?

「すごいものをお書きになられたなというのがまず印象的でした。本当に面白くて、SFなんだけれどもSFじゃないというか。なぜタイムリープするのかという謎解きではなく、みんなの人生が合わさって、『じゃあ、生きていこうよ』ってなっていく様に僕は本当に心を掴まれて。台本を読んでウルッと来たんですよね。

僕は、まず読み物として台本は読みたいと思っているので、小屋をみんなで出て…というのにすごく感動して。最後にみんなで花火を見ている…というのがとても綺麗な物語だなって思いました。ただ、これは撮影が大変だなって。

同じことをやらなきゃいけないっていうのはもちろんありますし。場所が狭いので、カメラマンがどういうアングルで入るかで、俳優をどう配置するかとか、すごくミニマムな現場の体制でした。監督、録音部、カメラマン、ヘアメイク、皆でアイデアを出し合いながら撮影をしました。

それと監督の先輩が(現場に)来てくれて、トタンの屋根なので雨音がするからと言って、養生テープで毛布を巻きつけて雨音を消してくれたりとか、みんなでいろいろ協力して作っていって。何か映画をやっているなという感じでとても楽しかった撮影現場でした。

みんながみんなお互いを信頼しているという中での撮影がずっと続いていたので、なかなか贅沢な時間でしたね。4人でずっとお芝居のことを話しつつ、自分たちのことを話して。別々の人生を歩んできた4人が、映画の撮影でたまたまかみ合って、(劇中の)ひょんなことから出会った4人みたいにも僕にはずっと見えていて。何かすごくみんなが愛おしかったですね。

でも、場所が狭い分、意識しなければいけないことの制約はちょっと多かった気がします。カメラが入るはずの位置には狭いので入れなかったりして。今行きすぎると多分撮れないなみたいなのはありました。リハも重ねましたし、試行錯誤しながら撮っていましたね」

――見終わった後、とても心が温かくなる作品ですね

「そうですね。みんなあそこで死ぬのをやめたことによって、いろいろなことが連鎖していい形になっていく。加藤さんは、すごく不器用な方なので、だからこそわかる人の心の機微みたいなものが繊細に描かれていると思いました。

今回の『メモリードア』という映画もそうですけど、『三尺魂』の生きることに対しての頑張れってみんなで言い合ったり、生きてみようよって思う、その背中の押し方というのが、監督の持っている優しさなのかなって思います。

僕は、生まれて初めて海外に行ったのが『三尺魂』のおかげなんですよ。『東京国際映画祭』にタキシードを着てみんなでレッドカーペットを歩いた後、『上海国際映画祭』に監督と2人で行ったんですけど、反応がすごくてびっくりしました。

僕と監督をスターみたいにウワーッと取り囲んで、熱量がすごかったです。『三尺魂』と『万引き家族』(是枝裕和監督)がその年一緒に行った映画の年だったんですよ。だから本当に貴重な経験でした。

映画は映画館で見てほしいって思うんですけど、作っても見てもらえないものもある、このもどかしさもある中で、やっぱり作品性が強ければ、何かしら振り向いてもらえるものがあると思えたきっかけですし、ちゃんと向き合わなきゃいけないなというのは、『三尺魂』に教わったところはありますね」

さまざまな経験をして改めて真摯な姿勢で仕事に取り組む覚悟を決めた木ノ本さん。短編映画「人」(山口龍大朗監督)、映画「THIS MAN」(天野友二朗監督)などに出演。次回は撮影エピソード、公開中の主演映画「メモリードア」も紹介。(津島令子)

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