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2026年3月3日 14:48

萩原聖人 難役で唯一無二の存在感を発揮!「冬のソナタ」で声優としても話題に

萩原聖人 難役で唯一無二の存在感を発揮!「冬のソナタ」で声優としても話題に
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1994年に放送された伝説のドラマ「若者のすべて」(フジテレビ系)に木村拓哉さんとW主演し、若手俳優として注目の存在となった萩原聖人さん。映画「マークスの山」(崔洋一監督)で日本アカデミー賞優秀助演男優賞とブルーリボン賞助演男優賞を受賞。映画「CURE」(黒沢清監督)で日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞し、唯一無二の存在感を放つ演技派俳優として知られていく。主演映画も多く、最新主演映画「月の犬」(横井健司監督)が4月24日(金)に公開される。(この記事は全3回の中編。前編記事は記事下のリンクからご覧になれます)

■監督に人心掌握されて出演することに?

1995年、映画「マークスの山」に出演。この作品は、連続殺人事件とその裏に潜む大きな影の存在に、真っ向から戦いを挑む捜査員たちの姿を描いたもの。

萩原さんは、幼い頃、一家無理心中から奇跡的に助かったものの、後遺症で統合失調症になり、別人格「MARKS」が現れて残忍な事件を起こす水沢裕之役で出演。緩急自在の秀逸な演技で日本アカデミー賞優秀助演男優賞とブルーリボン賞助演男優賞を受賞した。

「(監督の)崔さんも、もう亡くなってしまいましたけど、僕はその前に『月はどっちに出ている』という映画でご一緒させていただいていて。

実は、『マークスの山』の裕之役は、最初は違う俳優さんだったんです。その方が降板されたので、急遽(きゅうきょ)崔さんに呼び出されて。『裕之役をやれるか?』って言われたので『やります!』と。そういう裏話があります。そこでもひとつ人生の歯車というか何かが変わった瞬間だったりするんですよね」

1997年、映画「CURE」に出演。黒沢清監督が国際的に知られるきっかけになったこの作品は、人間の奥底にある深層心理を操って猟奇事件を起こす天才的な殺人鬼・間宮(萩原聖人)と対峙(たいじ)する刑事(役所広司)の姿を描いたもの。

萩原さんは、独特の話術を弄し、周囲の全てを不安と苛立ちへと追い込んでいく殺人鬼という難役を圧倒的な演技力で体現し、日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞した。

「あの役も難しかったです。ああいうのって実体験から紐解いて役に繋(つな)げられないじゃないですか。あんなことはしたことがないし、記憶障害になったこともないし…という中で不安でしかなかったので、最初はお断りしました。脚本を読ませていただいた時、難しくてできないと思って。

でも、万代さんに『とにかく監督に会うだけ会ってみたら?』と言われてお会いしたら、僕が間宮に操られるかのように監督に人心掌握されて、オファーを引き受けていました。『やります』って(笑)」

――間宮は神経を逆なでするような独特の話し方が印象的でした

「俳優冥利(みょうり)に尽きますよね、こういうところのポジションを任せてもらえるというのは。若かったということもあると思いますが、あの時は自分でも勢いがあったのかなと思います」

同年、映画「ドリーム・スタジアム」(大森一樹監督)に主演。この作品は、突然野球の能力に目覚めた落ちこぼれサラリーマンと、彼を取りまく人々の野球に賭けた夢を描いたもの。

萩原さん演じる主人公・田沼は、「オリンピックで自分の人生を変える」という夢を持つ不動産会社の若手営業マン。東京ドームでホームランボールを頭に受けて失神し、目が覚めると30年前に将来を嘱望されながら交通事故で亡くなってしまった高校球児(池内博之)の霊が乗り移っていた…という展開。当時「福岡ダイエーホークス」の監督だった王貞治さんや現役選手たちも登場して話題に。

――草野球チームを持っている萩原さんにピッタリの作品でしたね

「そうですね。めっちゃ楽しかったです。当時の名球会の名だたるレジェンドにお会いできて。金田(正一)さんとキャッチボールもしましたからね。一生忘れられないですよ」

――「CURE」と同じ年にコメディー要素もある作品が公開ということでバランスも考えたのでしょうか?

「どうなんですかね。万代さん(昨年亡くなったアルファエージェンシーの社長)は、映画の主役ということに結構こだわっていましたね。僕が云々というよりかは社長が考えてやっていました」

――何者でもなかった未知数の15歳の少年を主演俳優に育て上げたわけですから、万代さんは本当に嬉(うれ)しくてたまらなかったでしょうね

「そうかもしれないですね。僕は万代さんからそんなことを言われたことはないんです。

でも、周りから漏れ聞こえてくるので、それは素直に嬉しく思います。

僕も大人になってくると万代さんに言われても『これどうなの?あまりやりたくないんだけど』という時期ももちろんありました。でも、万代さんも頑固で(笑)。僕が45歳ぐらいまで、万代さんの中で、僕はずっと16、7歳の少年のままだったと思います。

父親が息子に言うような感じで『老婆心だけどさ』って、ずっといろいろ言われていて。『僕ももう40歳ですよ。20代の時のようなことは言わないから大丈夫です』って言うやり取りはよくありました。

『もうこいつもおっさんだ。いい大人になったな』って感じてくれたのは、45歳ぐらいになってからだと思います。そのぐらいまでは、いつも心配されていたと思います。きっと」

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■大ヒットドラマ「冬のソナタ」でヨン様の吹き替えに

2003年、1970年代の大映ドラマを思わせる波乱に満ちたストーリー展開で、“韓流ブーム”のきっかけとなったドラマ「冬のソナタ」(NHK)で主人公のぺ・ヨンジュンさんの声を担当して話題に。

「ビックリしました。まさかあんな社会現象になるとは思っていなかったです。韓国ドラマは当時、日本にまだ浸透していなかったし、恋愛の価値観は国や文化によって変わると思っていたので、日本であれだけの社会現象が起きたことは正直驚きました。

ただ、その以前から声の仕事、特にアニメの声の仕事をやりたいってずっと言っていたんですけど、オファーをいただいたのは、実写ドラマの吹き替えだったんです。だから正直最初は全然乗り気じゃなかったのですが、それがあれよあれよという感じで大ブームになって。

当時はまだ韓流という言葉もなかったぐらいでしたし。

最初は、声優業界の仕事のルールというのもよくわかっていなかったので、収録現場にペンを持って行かなかったんです。僕は家で予習して、全部覚えて台本にタイムを書いて現場に行っていました。

演劇だったらお稽古中に台本に書き込んだりすると思うんですけど、役者ってその場で言われたことをパッと体現しなきゃいけないものだと思っているから、現場にペンを持って行かないんですよ。

だからアテレコの現場で、『あの人、ペンも持って来てないよ』って他の声優さんから言われていたんですけど、堀内賢雄さんというベテランの声優さんが次の週にペンを買ってきてくださって!『ありがとうございます』って。最初の頃はそんなエピソードもありましたね」

――放送が始まって大ブームになりましたが、そのことに関してはどう感じていました?

「自分が携わっているもので世の中の人が盛り上がるというのはすごく嬉しかったです。だけど、自分も俳優なわけで、それこそ20代から30代に入って勢いがちょっと落ち着き出して…みたいな時期だったので、

声の仕事で評価されるのも嬉しかったです。でも、やっぱり自分の本業である俳優として、しっかり頑張りたいなという切なる気持ちはありました。ジレンマというか。でも、『冬ソナ』は、僕のキャリアの中で、ある意味ターニングポイントになりましたね」

「冬ソナ」に加え、2007年には、ヨン様が肉体改造して挑んだ主演歴史ファンタジードラマ「太王四神記」でも声を担当。ヨン様の声として広く知られることに。

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■サックスの猛練習で唇が腫れて…

2004年、映画「この世の外へ クラブ進駐軍」(阪本順治監督)に主演。この作品は、戦後間もない東京を舞台に、ジャズを通じて米軍基地に集まった若者たちの希望と葛藤を描いたもの。

萩原さん演じる主人公・広岡は、フィリピンのジャングルで敗戦を迎え、復員後、軍楽隊時代の先輩(松岡俊介)と再会してジャズバンドを結成。バンドのボーカル兼サックス奏者に。敗戦から2年後、米軍クラブで演奏することになるが、敵国だった米兵相手に演奏することに複雑な思いを抱くことに…。

「あの時に阪本監督に厳しくガンガンやられたのは、すごく大きかったですね。自分の役者としての甘さもそうだし、人間としての甘さみたいなものを痛感しました。なかなか阪本さんみたいな厳しい監督と出会うこともなかったですしね。

20代でドラマとか映画をやっていても、それこそナイフみたいなものでしたから、それが阪本さんにポキッと折られた感じがありました」

――サックスの練習をかなりされたそうですね

「そういうところだけは、ちゃんとやるんですよ(笑)。全く吹けなかったので、死ぬほど練習しました。あれ以降は一切触ってないですけど、あの時は唇が腫れるまでやりました」

映画「相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿」(長谷部安春監督)、映画「BOX 袴田事件 命とは」(高橋伴明監督)、「フルスイング」(NHK)など多くの映画、ドラマに出演。

2020年、映画「Fukushima50(フィフティ)」(若松節朗監督)に出演。この作品は、東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故発生時に発電所に留まって対応業務に従事した約50名の作業員たち・通称「フクシマ50」の闘いを描いたもの。萩原さんは、中央制御室で働く井川和夫役を演じた。

「作品との出会いという部分で言えば、僕はすごく恵まれているなって常に思います。万代さんがいた頃は、まず万代さんが脚本を読んで『やれ』というのがあったんですけど、今はもういないので、担当のマネジャーに判断を仰いで、やった方がいいんじゃないかというものをおろしてもらって、自分も読んで判断するという感じです。でも、基本的には、よっぽどのことがない限りはなかなかお断りしないですけどね。

今の自分にしかできないものへの執着みたいなのは、あります。役者として、あとどれぐらいの間、役を生きられるかという時間もわからないじゃないですか。人生なにがあるかわからないし。

昔はやっぱり青春時代の役のイメージから、幅広く何でもできるという風にならなきゃいけないって、そこへのこだわりがあったんです。

若い時は、『CURE』とか『マークスの山』のイメージで、ああいう路線というか、ちょっと問題を抱えている人みたいな役のお話が結構来たんですね。そういう役をやらせりゃ、右に出る者はいなかったと思います、その頃はですよ。今の僕には無理ですけど(笑)。

ドラマというのは、デフォルメされることが多いと思うんですね。だけど、その人物の抱えるリアリティというんですかね。それはこだわりたいところなんですよ。

話を成立させるためには、どうしてもデフォルメチックに描かれていくんですけど、ちょっと突飛な作品であっても、『こういう人っていそうだな』とか、『いるよね』というような、その人からにじみ出るリアリティみたいなものにはこだわりたいなと思っています」

2018年には、Mリーグ(麻雀プロリーグ戦)創設に伴い、日本プロ麻雀連盟からプロデビューし、プロ雀士としても活動。主演映画「島守の塔」(五十嵐匠監督)、映画「海の沈黙」(若松節朗監督)などに出演。2024年には「オートレーサー森且行 約束のオーバル 劇場版」(穂坂友紀監督)でナレーションを担当。次回は撮影エピソード、4月24日(金)に公開される主演映画「月の犬」も紹介。(津島令子)

ヘアメイク:小口あづさ(NANAN)

スタイリスト:中山浩一郎

衣装:1PIU1UGUALE3

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