ソロ歌手、俳優、MC、女性ダンスグループ「レ・ガールズ」のメンバーなど幅広い分野で活躍を続け、今年デビュー60周年を迎えた由美かおるさん。1973年に公開された主演映画「同棲時代−今日子と次郎−」(山根成之監督)では、美しいヌードを披露し、映画のポスターが貼るそばからはがされて持ち去られる事態に。「水戸黄門」(TBS系)の華麗なアクションや妖艶な入浴シーンが話題に。5月29日(金)に映画「小春日和〜Indian Summer〜」(松本動監督)の公開が控えている。(この記事は全3回の中編。前編は記事下のリンクからご覧になれます)
■主演映画「同棲時代−今日子と次郎−」に続き美しいヌードを披露
1973年、文芸作品としても有名な映画「しなの川」(野村芳太郎監督)に主演。この作品は、昭和初期の波乱の時代を背景にして、女の奔放な愛の遍歴を描いたもの。
織元の娘・雪絵(由美かおる)は、奉公人(仲雅美)との仲が父親に知れ、女学校に送られ左翼新派の教師(岡田裕介)と恋仲になるが、結婚を反対され駆け落ちしてしまう。「同棲時代-今日子と次郎-」に続いて由美さんの美しいヌードが話題に。
――自然の景色の中でのヌードシーンがとてもきれいでした
「ありがとうございます。野村芳太郎監督がいろいろこだわって撮って下さって。ただ、岩場だったので、足元が危なくて大変でした。痛かったですね(笑)」
1974年、映画「エスパイ」(福田純監督)に出演。エスパイというのは、人並はずれた超能力を持った人間“エスパー”たちによって組織された国際秘密機構のこと。
どの国家にも属さず、利益を追わず、権力をも求めず破壊者の手から世界平和を守るエスパイたちは、正体不明の姿なき殺人者と超能力を駆使して戦うことに…。由美さんは、超能力者・マリア・原田役。
「超能力を使うシーンも結構ありましたけど、昔だから今と違ってCGとかがなかったので、
手作り感がすごいですよね。昔はこうやって作っていたんだなあって」
――原作者の小松左京さんが由美さんのファンだったので出演されることになったそうですね
「小松左京さんがファンだったそうで、オファーも小松さんから直々にいただきました」
1976年、映画「超高層ホテル殺人事件」(貞永方久監督)に出演。この作品は、巨大なホテルを舞台に熾烈(しれつ)な経営争いと、それに捲き込まれる人間たちを、三つの殺人事件を通して描いたもの。
地上62階の超高層ホテルで著名人を招待しての盛大なパーティが行われている中、ホテルの総支配人ソレンセンがビルから落下して死亡。そのショックで亡くなった父の意志を継いで息子の杏平(近藤正臣)はホテルの完成を目ざすが、ライバルの財界の大物・浅岡哲郎、敏彦(中山仁)親子の妨害に遭い資金繰りで行き詰まってしまう。
由美さんは、敏彦の妻・友紀子役。数年ぶりに再会した杏平と愛し合うようになり、二人の関係を知り強請(ゆす)って来た野心家の男を杏平が殺害。友紀子も嫉妬深い夫を誤って殺してしまう。
「2人とも人を殺してしまってセスナで飛び立って、結局死んでしまうのですが、それは映らないんですよね。文字で出るんです。でも、逃げてもどうにもならないですからね」
同年、映画「トラック野郎 天下御免」(鈴木則文監督)にマドンナ役で出演。この作品は、派手な電飾と極彩画で飾られた長距離トラックの運転手「一番星」こと星桃次郎(菅原文太)と、「やもめのジョナサン」こと松下金造(愛川欽也)が出会った人々と巻き起こすさまざまな出来事を描いたもの。
仕事で四国に渡った一番星の桃次郎と金造は、八十八カ所巡りの御礼所で巡礼姿の清楚な女性・我妻和歌子(由美かおる)と出会う。美術大学卒でデザイナー志望の和歌子に二人はすっかりのぼせあがるが…という展開。
「菅原文太さんと愛川欽也さんの人気シリーズで、お二人と一緒の四国での撮影も楽しかったですね」
――1970年代は、ソロ歌手、そして「レ・ガールズ」としての活動に加え、映画、ドラマの出演も続きましたね
「そうですね。スケジュールをこなすだけで精一杯でした。だから見てくださっているファンの皆さんに、もうちょっと時間があったらこういう風にできたとか…反省点はありました。
一生懸命やっていたんですけど、ゆとりが本当になかったから、セリフを覚えて撮影して移動して、全力で歌って踊ってと言う感じで…本当にたくさん仕事をしていました。よくからだがもったなあって思いますけど、若かったですからね(笑)」
■連続ドラマ、米人気ドラマヒロインの吹き替えも
1976年、「高原へいらっしゃい」(TBS系)にレギュラー出演。このドラマは、山田太一さんのオリジナル書き下ろしで、荒廃したホテルを一流にするべく立ち上がった一人の男性と、彼を取り巻く人々の奮闘を描いたもの。
かつて東京の一流ホテルで致命的な失策を犯し、ホテルを解雇された過去を持つ面川清次(田宮二郎)は、八ヶ岳のふもとにひっそりたたずむ荒廃したホテルを立て直すことに。限られた予算と期限内に自ら選び抜いたメンバーと共に潰れかけたホテルを再建することに…というストーリー。由美さんは、美人で気立てがよく、ホテルの看板娘でもある北上冬子役。ほかのメンバーからも人気が高いマドンナ的存在。
――景色もホテルの建物もステキでしたね
「名前は違いますけど実際にあるホテルで、いまだにファンの方が来ているそうです。多くの方が見てくださっていて嬉(うれ)しかったです。
昔のドラマだから、今と違って17話あったんです。車で行っていたんですけど、泊まったこともありましたね。食事もあのホテルのレストランで食べたり、本当に普段遊びに行くのもいいところだなと思ったぐらいステキなところでした」
――前田吟さん、益田喜頓さんをはじめ、個性的な皆さんが共演されていましたが、撮影はスムーズにいったのですか?
「スムーズでした。私も個性的なうちの中に入るのかもしれないですね。自分では普通だと思っているんですけど、みんな自分のことは普通だと思っているので(笑)」
――連続ドラマというのはいかがでした?
「最初はバレエをやっていて、歌、ミュージカル、映画、さらに連続ドラマにまで出演させていただきました。だから、全部できてとても幸せでした。未熟だったと思いますが、どれもみんないい思い出です。ドラマの撮影中には、特にスタッフの方々の職人技に、とても感動させられました」
1980年〜1981年に放送された米人気テレビシリーズ「紅い旋風ワンダーウーマン」(フジテレビ系)では、元ミス・ワールド アメリカ代表のリンダ・カーターが演じた主人公ダイアナ・プリンス(ワンダーウーマン)の声優をつとめた。
「ワンダーウーマンは、日本版オリジナル主題歌『愛の冒険者』というレコードも出していたんです。でも、そのあたりから女優業等が多くなってしまい、歌から少し遠ざかってしまいました。今回は、映画『小春日和〜Indian Summer〜』の主題歌を歌うチャンスに恵まれ、今、音楽に燃えているんですよ!」
■「水戸黄門」の入浴シーンが話題に
「水戸黄門」シリーズ(TBS系)の入浴シーンも有名。1986年に初めて入浴シーンを披露してから2010年に降板するまで24年間で計204回あったという。
由美さんが演じた“かげろうお銀”はレオタード風の衣装に網タイツ姿でキレのいいアクションも披露。入浴シーンとともに話題に。
「今見直してみると、やっぱり新しいキャラクターでしたよね。『水戸黄門』には何度かゲスト出演していたんですが、プロデューサーの逸見(稔)さんから『今までにない新しいキャラクターを登場させたいから自分のスタイルを作っていいよ』って言われたので、着物を短く切ったミニスカート風衣装にブーツを履いてという感じで…。
神保町にある洋服屋さんに頼んで作ってもらって、ブーツも四ツ谷の靴屋さんで頼んで。アクションの時の動きやすさも考えて、そういう風にしてキャラクターイメージを作りあげていったんです」
――合気道をやってらしたということでアクションシーンもカッコ良かったですね
「合気道もですが、ずっとやってきた呼吸法も大きかったですね。合気道をやって、日本武道館でも何度か演武もしました。おかげで足腰の鍛錬にもなりましたし、西洋的なバレエや日本的な合気道などを取り入れて楽しく精進できたと思います。
それで、『水戸黄門』に出会って、立ち回りが楽しくなりました。お風呂のシーンが注目されましたが、私は悪を成敗する立ち回りの方が好きです」
――お風呂のシーンは、テレビ局に何時に放送か問い合わせが殺到したと聞きました
「そういう問い合わせが結構あったそうです。それで最初は毎回ということではなかったのですが、プロデューサーが、『それだけ話題になっているんだったら毎回入ってくれる?』って(笑)。それから毎回になって、結局204回入りました」
――お風呂のシーンの撮影はどのようにされていたのですか?
「私は水着をつけていたので、その上にお湯に浸けたベージュの布をつけて、お湯に入っても透けないように同じ色になるようにしていました。スタッフの皆さんが本当に協力的で、お風呂でのぼせないように、早く撮影が終わるようにと動いてくださっていたので感謝しています」
――「水戸黄門」のレギュラーの間は、京都に住んでいたのですか?
「そうです。『水戸黄門』は、週に5日間拘束だったんです。私は京都生まれでしたが、マンションを借りて、そこに25年間住んでいました。月曜日から金曜日は『水戸黄門』、土日はほかの仕事や取材、呼吸法の講演などをしていました」
35年以上呼吸法を実践してきている由美さんは、おへその下にある丹田を意識して行う「コア呼吸」とストレッチを組み合わせた「由美コアブリージング」を考案。著書の出版、講演、レッスンも行っている。次回は、5月29日(金)に公開される映画「小春日和〜Indian Summer〜」も紹介。(津島令子)



