中学3年生の時に芸能界デビューを果たし、ソロ歌手、俳優、MC、レ・ガールズのメンバーとして第一線で活躍を続け、今年60周年を迎えた由美かおるさん。35年以上呼吸法を実践し、著書の出版、講演、レッスンも行い、世界配信も予定されている。5月29日(金)には49年ぶりに出演した映画「小春日和〜Indian Summer〜」(松本動監督)の公開が控えている。(この記事は全3回の後編。前編と中編は記事下のリンクからご覧になれます)
■健康の秘訣は呼吸法
由美さんは、厚生大臣の私的諮問機関「国民健康会議」委員、(旧)厚生省「医療審議会」委員、大阪国際女子大学客員講師などを歴任。35年以上続けている呼吸法では、おへその下にある丹田を意識して行う「コア呼吸」とストレッチを組み合わせた「由美コア・ブリージング」を考案。著書も多く、2023年に「由美かおる ブリージン・レッスン 人生100年時代を生き抜くための神呼吸術」(白秋社)を出版。
「12歳の時に『西野バレエ団』に入団して、激しく踊った後、すぐに歌をうたう事が多かったため、呼吸の大事さに気づき、自分なりの呼吸(ブリージング)の仕方を考えだしました」
――最初に呼吸法の本を出されたのが1985年、41年前なのですね
「そうですね。ちょうど、テレビドラマなどへの出演が多くなり始め、さらに『水戸黄門』のレギュラーで週5日の撮影が入り、講義やレッスンの回数は少なくなってしまいました。
近年はそれらを『由美コア・ブリージング』として再構築し、ますます進む高齢化社会にも呼応できるよう、座っていてもできる新しい呼吸法を独自に構成し、広める活動もしています。
呼吸法の初めての講演は、お医者様や看護師さん1500人の前で…でした。本当に緊張しながらやりましたが、度胸はある方なので(笑)。
全国で『由美コア・ブリージング』のレッスンを開催して教えているんですけど、参加される方の年齢層は幅広くて若い方から90代の方までいらっしゃいます。ご高齢で立っているのがつらいという方でも座って行うことができるのが特徴です。
皆さんが、健康的で明るくなっていくのは本当に嬉(うれ)しいですね。私も呼吸法を実践してきたからこそ、75歳の今に至るまで健康的に過ごせているのだと確信しています」
■初めておばあちゃん役にチャレンジ
1970年代、美しいヌードが大きな話題になった主演映画「同棲時代−今日子と次郎−」(山根成之監督)をはじめ、多くの映画に出演していた由美さん。その後、テレビドラマやバラエティ番組出演が多くなり、映画出演は49年ぶりとなった。
5月29日(金)に公開される映画「小春日和〜Indian Summer〜」に出演。この作品は、
がんと診断されたらそれをどう受け入れ、向き合い共存していくのか、“新たな一歩”を踏み出せるようにという思いが込められたもの。
ある出来事をきっかけに父親と衝突して家を飛び出してしまった小春(水村美咲)。意地を張って家に帰ることができない彼女は、偶然看護助手として働くことになった病院で、様々な人々と触れ合うことにより徐々に自分と向き合うようになる。そんなある日、大好きだった鈴子ばあちゃん(由美かおる)が亡くなったことを知った小春は、生前鈴子ばあちゃんに教えられた大切な言葉をかみしめ、ある決心をする…。
「公開の1年くらい前にオファーが突然やってきました。今までにやったことのない、おばあちゃん役(笑)!でも、台本を読んで行くうちに若い頃は分からなかった事が、今、この歳になって段々と分かるようになって来たなって思って…。
だから、このおばあちゃん役にチャレンジしようと思ったんです。自分の身をもって、おばあちゃんの気持ちを若い人たちにも伝えられれば、と思います」
――とてもステキなおばあちゃまですよね、本当に
「ありがとうございます。人としての愛情や生き方、思いやりのある行動、そして根底に響く温かい気持ちなどを自然体で演じることができるように心がけました。
やっぱり家族愛とか、先祖のことがあまり大事に思われていないような感じがして…。そういった事が、今の日本に足らないところだと思うんです。
両親やご先祖のおかげで私たちがこの世に誕生しているわけですよね。人と人が触れ合う事ですから、家族の中でも大変なこともあるでしょうし、それを愛の力で乗り越えて行かないと家庭も世界も崩壊してしまうように思うんです。
今回、この映画は、がんを患っていらっしゃる方たちが出演していますね。今の時代、がんは(早期発見で)治るようにもなっていますが、がんって聞いただけですごくショックを受ける方も多いのではないでしょうか?
それでも人と人との触れ合いを大切にして、明るく前向きに生きていくというのがこの映画のひとつのテーマかと考えました。特に日本人は2人にひとりががんだと言われる時代ですから、そういう方たちにも前向きになってほしいと願っています。
物語の中では、主人公の小春ちゃんに起こる出来事と、お父さんの一方的な価値観、それに対しておばあちゃんは小春の思いを肯定する心を持っている、そういうおばあちゃんを演じてみました」
――人は迷惑をかけながら生きているものなんだという、あの言葉はいいですよね
「そうですね。いい年をした息子、小春のお父さんにも怒るしね(笑)。あの年齢ではなかなかそうは言ってもらえないと思います。
私は、どちらかと言えば、小春のおばあちゃんのような性格ですから、リハーサルから気持ちが高ぶってきて、いいものが撮れたかなって思います」
――由美さんは、主題歌「とまり木」も歌ってらっしゃいますね
「はい。この歌は、男性が女性に思いを込めた歌なんです。神戸の方が作られた曲です。本当にこの歌は、心を込めて歌いたいと思って…。
そういう風に歌えなかったら、本当にもう歌もやめちゃおうっていうぐらいの情熱を込めて歌っています。この歌は映画のエンディングに流れますから、皆さんにぜひ聞いていただきたいと思っています」
――60周年記念にふさわしいですね
「そうですね。49年ぶりの映画出演があって、主題歌も歌わせていただき、『由美コア・ブリージング』の世界配信が予定されていて。本当に嬉しいです。
今まで『何十周年記念』のイベントってやったことがないんです。新人賞をもらった時だけかな?あとは次から次へとお仕事が入ってきて、忙しすぎてライブはあまりできなかったのですが、今またステージのリハーサルもしています。良い記念の年になりそうです」
抜群のプロポーションは60年前と変わらず、デビュー時の衣装が今でも着られるという由美さん。まるでタイムスリップしたよう。「水戸黄門」に出演していた24年間は、ミニスカート=かげろうお銀のイメージがあったことから敢えてはかないようにしていたというミニスカート姿がカッコ良かった。(津島令子)