スーパー戦隊シリーズ「超力戦隊オーレンジャー」(テレビ朝日系)で注目され、その後「ぶりっ子キャラ」で大ブレークしたさとう珠緒さん。両手を頭にそえた「プンプン」ポーズはいまだ健在。CM、グラビアモデル、司会、タレント、俳優など幅広い分野で活躍。映画「おかえりの湯」(夏目大一朗監督)が公開中。(この記事は全3回の後編。前編と中編は記事下のリンクからご覧になれます)
■欲求不満の人妻役にチャレンジ
2009年、映画「希望ヶ丘夫婦戦争」に主演。この作品は、1979年に映画化された実相寺昭雄の短編小説を、現代の視点で再び映画化したもの。メガホンをとったのは、実相寺監督に師事した高橋巖監督。スタッフも実相寺組が集結した。
東京郊外に住む猫田千吉(宮川一朗太)は仕事のストレスからED(勃起不全)に陥り、妻・弘子(さとう珠緒)の欲求を満たすことが出来ずにいた。弘子は夫の愛情を取り戻すため必死になるが、リアルドールに性的快楽を求め始めた千吉との溝は深まるばかりで…という展開。
「実相寺監督とは、『ウルトラQ dark fantasy』(テレビ東京系)にゲストで出たことがあって、その作品がとても大好きだったので、
オファーがあった時は嬉(うれ)しかったです。
台本を読んだらとても面白かったし、意外にこういう話は、その辺にもあるのかもしれないなと思って。
他の人には言えないけれど、こういう人って意外と多いんじゃないかなと感じて。もっとこういう映画があってもいいのになあって思いました」
――撮影現場の雰囲気はいかがでした?
「とても温かくてやりやすかったです。(撮影が)押して時間がなくなってきたりするとピリピリした空気になる現場もあるんですけど、そういう険悪な雰囲気は全くなかったです。とても居心地のいい現場でした」
――撮影で印象に残っていることはありますか?
「夫役の宮川(一朗太)さんが競馬に詳しくて、競馬の話で盛り上がって楽しかったです」
――この作品に出演されたことで変わったことはありましたか?
「『こういうことってあるよね』という声をいただきました。あと、EDのイベントに呼ばれたことがあったんですけど、そういう知識はないので、そんなに詳しくは話せないじゃないですか。
なので、お医者さんと、そういう悩みを持つ人たちがいて、私はこうした悩み相談を読む係だったんですけど、リアクションに困って、『こういうお悩みがあるんですね』って振ると、先生(医師)が、『そういう時は、こういう風にして頑張ってください』って答えてくれる。そういうシュールなイベントがありました」
■社交ダンス選手権に挑戦した経験を活かして
亡き父母が経営していたダンススタジオを継いだ長女・藤堂陽花(さとう珠緒)は、パートナーの亮介(勝野洋輔)と妹の葉月(井村空美)が惹かれあっていることを知る。激しい嫉妬に駆られた陽花は、葉月を謎の彫師・桐悟(鈴木一真)の元へ送り込む…というストーリー。
「結構際どい話ですよね。ちょっと意地の悪いお姉ちゃんで(笑)。妹に嫉妬して意地悪するんですけど、あれはあれでやっていて楽しかったです。
三島監督から短い撮影期間にも関わらず具体的なアドバイスをいただいて、とても分かりやすかったです。たとえば、『ここでは、私が好きな映画「さらば、わが愛/覇王別姫」(チェン・カイコー監督)のラストシーンでのコン・リーの表情をして』とか」
“刺青”第二弾ということで、結構ああいう作品を好きな方がいらっしゃるんですね。昭和の時代の作品という感じで。解釈の仕方とか描き方によっては、全然違うものになるというか、やっぱりちょっと独特な世界観ですよね」
さとうさんは、2006年に「オールスター Shall we ダンス?〜有名人社交ダンス選手権〜」(日本テレビ系)に出場。実際に社交ダンス選手権に挑戦した経験を活かしてキレのいいダンスを披露して話題に。
――ダンスシーンカッコ良かったですね
「ありがとうございます。その撮影の前にバラエティ番組のウリナリで社交ダンス選手権に挑戦したことがあって、この経験がとても役に立ちました(笑)」
2013年、オリジナルビデオ「極妻代紋」(植田中監督)に主演。この作品は、極道同士の掟破りの襲撃や抗争によって総長である夫(清水健太郎)を殺害された妻(さとう珠緒)が、極妻だけで構成される「極妻会」を立ち上げ、日本の極道界に大きな影響を持つようになる様を描いたもの。
「撮影時間が短く、3日間ぐらいで撮った作品です。子分をいっぱい従える極道の妻という感じではなかったのですが、いい経験でした」
――極妻は演じていていかがでした?
「前に一度、舞台でガッツ石松さんの奥さん役をやらせていただいたのですが、それが極道ものだったんですよ。啖呵を切るシーンもあって、それはすごく気持ち良かったですよね。普段は極妻のような衣装を着たり、啖呵を切ったりすることはないので面白いなあって思いました(笑)」
2022年、YouTubeドラマ「空と山と緑〜遥かなる旅路〜」(柿崎ゆうじ監督)の第6話に出演。この作品は、航空機事故で両親を亡くした三姉妹が、両親の残してくれた八ヶ岳にある別荘に移り住み、キャンプ場を整備して運営し、多くの出会いと別れを繰り返しながら
新たな人生を歩む姿を描いたもの。新たな編集で劇場公開もされた。
「柿崎監督には、2010年に戦争が題材の舞台に参加させていただいてから、ありがたいことに何度か呼んでいただきました。
私は戦争が題材の作品が苦手というか、つらくて。凄惨(せいさん)すぎるじゃないですか。『火垂るの墓』(高畑勲監督)も見られないぐらいだったんですけど、柿崎監督の舞台が実話に基づいた話だったので、その時に初めてちゃんと勉強して臨みました。
その数年後に金沢でお仕事をした時に、(この舞台で)私が演じた方のいとこさんがスタッフさんの中にいて。こういう方に会うご縁ってすごいなって。それも、こういう仕事をしていて良かったなと思うことの一つです。
柿崎監督はそういう作品を定期的に撮っていらして、あと東日本大震災を題材にした作品もですけど、すごく細かいところまで研究なさってらしてすごいなあって思います。柿崎監督からはいつも多くのことを学ばせていただいています。
『空と山と緑〜遥かなる旅路〜』は飛行機事故で両親を亡くした三姉妹のお話なんですけど、八ヶ岳の自然の中での撮影で、雪景色や星空を眺め自然に癒されました。
私は覆面調査員の役だったんですけど、タレントの仕事をしてなかったら、記者とかライターになりたいと思っていたので、ちょっとその気分が味わえたというか。
好奇心が強いのか、取材とかやってみたかったので、覆面調査員の役は楽しかったですね。山の中でいただくご飯もとても美味しくて嬉しかったです」
■撮影の合間には、怪談や都市伝説で盛り上がって
現在、映画「おかえりの湯」が公開中。この作品は、東京染井温泉SAKURAを舞台に、記憶を失った正体不明の女性を雇った支配人と従業員たちが織りなす心温まる日常を描いたもの。
温泉の支配人・佐山(風間トオル)は、記憶を失い倒れていた正体不明の若い女性・桜(星乃夢奈)を温泉で働かせてあげることに。真摯な働きぶりの桜を見守りながら、宴会場での発表会に向けて趣味の落語に打ち込む佐山だったが、本番を前に桜が突然姿を消してしまう…。
さとうさんは、古くから温泉で働いている従業員・吉川さくら役。記憶を失い何者かわからない桜を働かせることに反対するが、支配人に押し切られてしまう。
「お話を聞いてすぐにやりたいと思いました。地方のお話なのかなと思っていたら東京の巣鴨で。温泉施設の作りも豪華で贅沢(ぜいたく)だし、東京にこんなに素敵な温泉があるんだと思ってびっくりしました」
――撮影はいかがでした?
「結構スケジュールがタイトだったんです。現場の温泉施設の改修工事の期間に撮らなきゃいけないということで、詰めて撮っていたという感じでした。
私は古くから働いている従業員で、お局様まではいかないけれども、『何でこんなわけわからない女の子を雇うの?』みたいな感じで。そんなに怒らなくてもいいのになって思うぐらい怒っていましたよね(笑)」
――料理長役の嶋大輔さんをはじめ、従業員の皆さんも個性的なキャラでしたね
「そうですね。他のメンバーも含めて、みんな濃かったですよね(笑)。嶋さんのキャラは、料理に対するこだわりも強いですし、娘との父娘の関係のストーリーもありますからね。
ファンタジーの要素もある不思議な作品だったので、合間の時間はみんなで不思議な体験や怖い話で盛り上がっていました。ずっとそんな話ばかりしていたので、めっちゃ楽しかったです(笑)」
(従業員役の)ハニトラ梅木さんが、怪談師もされている方なので、怪談話を聞いたりとか、
撮影以外でも充実した楽しい時間を過ごしていました」
――温泉の施設もとても魅力的でしたが、さとうさんは劇中で温泉に入っていましたね
「はい。入りましたけど、撮影中は私たちがのぼせないようにお水でぬるくしていました。だけど、水で薄めても温泉の質の良さがわかり、お風呂の種類もたくさんあって、サウナも良くて改めてちゃんと行きたいと思いました。
あと、売店があるんですけど、売店のお菓子が私の好みのものばかりだったので嬉しくて、毎日楽しかったです。
それと、すごくいいマッサージ機があって、それをみんなで代わりばんこで使って、みんなそこから動けなくなるみたいな(笑)。今のマッサージ機って進化していて無重力というのもあるんです。それはもう最高でした。おすすめです」
――初日の舞台挨拶は監督、キャスト、総勢21名が登壇でしたね
「ビックリしましたけど、みんなに会えて嬉しかったです。この映画はまるで温泉に浸かったように心が温まる物語なので、ぜひ見てほしいです」
――今後はどのように?
「『おかえりの湯』にも出てきました“小さいおじさん”なんですけど、私は不思議な話が大好きで、前にもテレビの番組で『小さいおじさんを探す』というロケをやらせてもらったことがあるんです。
色々な人にインタビューして、神社にも行ったりしたけど見つからなくて、最後はホストクラブに行って飲んで終わりという感じで。2回で終わっちゃったんですけど、またやってみたいな(笑)」
現在、チワワのちゃっくちゃんとヨークシャーテリアのはなちゃんと暮らす愛犬家。
「ヨーキーは、去年おば友から引き取ったんですけど、いまだにトイレトレーから外すことがあって、粗相をしちゃうんです。トレーニングをしているんですけど、なかなかうまくいかなくて。
先住犬のチワワとの仲があまり良くないこともあって、今は2匹の様子を見られるよう、ケージの近くに薄いマットを敷いて寝ています。もう1年以上、ベッドでは寝ていません(笑)。
目が離せないので。早くマスターしてくれるといいですけど。でも、何だかんだ言っても、やっぱり一番の癒しですね。可愛いです」
――「女が嫌いな女」とか、いろいろきついことを言われた時代もありましたが、やめたいと思ったことはありますか?
「それはないですね。あの当時は雑誌やバラエティ番組でネタにされてただけで、直接いじめられたとか、石が飛んできたとかもなかったですし(笑)。実際は楽しくお仕事させていただいていました。
こういうのって気持ちの問題なんですよね。ある意味客観的に見ていられました。振り返ると、いろんなお仕事をさせていただいてとても感謝しています。これからは可愛いおばあちゃんになるため、より一層ぶりっ子道を極めてみようかな(笑)」
抜群のプロポーションを誇るさとうさんだが、意外なことに運動が苦手だとか。最近パーソナルトレーナーを紹介してもらい、トレーニングを始めたという。サービス精神が旺盛で細やかな気配りをされるステキな方。生で見せていただいた「プンプン」もたまらなくキュート。さとうさんには「可愛い」が良く似合う。(津島令子)
ヘアメイク:結城小百合





