幼少期から類い稀な運動能力を発揮し、格闘技全般をはじめ、スポーツ万能で知られるケイン・コスギさん。18歳で来日し、日本語に不自由しながら俳優活動をスタート。スポーツバラエティ番組「スポーツマンNo.1決定戦」(TBS系)や「SASUKE」(TBS系)の出演によってアスリート俳優としての地位を確立。父・ショー・コスギさんのような世界的アクションスターになるべく、日本だけでなくハリウッドや中国等でアクション映画に出演。映画「四十九-SEEK」(シェイン・コスギ監督)が全国順次公開中。10月2日(金)より映画「ブロート 河童は、もう中にいる」(パブロ・アブセント監督)がDVDリリース&配信スタートする。(この記事は全3回の中編。前編は記事下のリンクからご覧になれます)
■ハリウッド映画に本格的に挑戦!
「はぐれ刑事純情派」シリーズ(テレビ朝日系)、「リポビタンD」のCMなどでも知られるケインさんは、2002年、念願のアクション映画「マッスルヒート」(下山天監督)に主演。ノースタントですべてのアクションシーンに挑み、驚異の身体能力を知らしめた。
舞台は、香港マフィアが横行し、無秩序状態と化した東京。元米国海軍特殊部隊兵のジョー・ジンノ(ケイン・コスギ)は、特殊任務のパートナー(哀川翔)を救うため、死の賭博場・マッスルドームで壮絶な戦いに挑むことに…という展開。
「アクション映画をやりたいとずっと思っていたので、すごく嬉(うれ)しかったです。クランクインしてから毎日楽しみでした。その時はまだ20代で若かったし、経験不足だったので、今考えると、もうちょっとこうすれば良かったという部分もありますけど、その時のベストだったと思います。僕は、常にそうですね。今のベストの状態を出したいと思ってやっています」
「忍者戦隊カクレンジャー」(テレビ朝日系)を撮り終わった後、仕事があまりない状態が2、3年あり、その間、ジャッキー・チェンのもとで映画作りを学んでいたケインさん。アクション映画に初主演することをとても喜んでくれたという。
「憧れのジャッキー・チェンさんが『がんばれよ』って。自分のスタントチームを使っていいよと言ってくれたので、とても嬉しかったです。アクション監督は、ジャッキーさんの映画のアクション監督です。撮影が終わった時は、もうみんなとアクションができないんだと思って悲しくなりました」
――ケインさんは、子役の時にハリウッド映画に出演されていますが、いずれ海外でということはずっと考えていたのですか
「そうですね。自分の中では子どもの時からいろいろなアクション映画を世界の人たちとやりたいという目標がありました。『マッスルヒート』を撮り終わって、自分はやっぱりアクション映画が好きだということを改めて感じました。
それで、僕ももうすぐ30歳だし、アメリカで活躍しているアクション俳優は30代〜40代だから、そろそろアメリカに挑戦してみようかなと思って。そこで一旦、日本での仕事をちょっと休んでアメリカに行きました。
アメリカに住んで、(アメリカの)エージェント、マネジャーを探すことも全部ひとりでやって、いろいろなオーディションを受けに行ったのですが、全然ダメで。全部落ちていました。そのショックは大きかったです」
2007年、映画「DOA/デッド・オア・アライブ」(コリー・ユン監督)で本格的にハリウッドデビューを果たす。この作品は、全世界で700万本以上の売り上げを記録した3D格闘ゲームを実写映画化したもの。
世界最強のファイターを決定する格闘トーナメント“デッド・オア・アライブ”を舞台に、クールでセクシーな女性ファイターたちが激闘を繰り広げることに…というストーリー。ケインさんは、行方不明の兄を探す主人公の女忍者・かすみ(デヴォン青木)を守る忍者・ハヤブサ役を演じた。
「いろいろなオーディションを受けて落ちてばかりだったので、やっとという感じでした。中国で3〜4カ月かけて撮影して。コリー・ユン監督は、ジェット・リーの映画のアクション監督をずっとやっていた方なんです。
それで、『今度ジェット・リーの「ローグ アサシン」という映画のアクション監督をやることになっていて、オーディションも終わって役も全部決まっているんだけど、ぜひケインとジェット・リーを戦わせたい』と言ってくれて、出させていただくことになったんです」
■アメリカ映画に主演!「10年ぐらいかかりました」
私生活では2009年に結婚。2019年に第一子となる長女が誕生している。
「奥さんがすごくサポートしてくれるようになったので、アメリカだけではなく、中国とか香港、韓国などのアクション映画にも挑戦することができて、10年ぐらいかかってようやくアメリカでも主演することになって。やっとという感じでした」
2015年、ハリウッド映画「ニンジャ・アベンジャーズ」(アイザック・フロレンティーン監督)にスコット・アドキンスとW主演。この作品は、殺された妻子の復讐を果たすために戦う姿を描く。
日本で甲賀流忍者の修行に励んだケイシー(スコット・アドキンス)は、甲賀道場の跡取り娘・武田波子(肘井ミカ)と結婚するが、何者かによって身重の波子が殺害されてしまう。ミャンマーで麻薬組織を率いるゴロー(菅田俊)が波子を殺害したという確証をつかんだケイシーは、ゴローを追って単身ミャンマーに渡る…。
ケインさんは、ケイシーの兄弟子・中原役。自身の肉体を駆使した壮絶なアクションのほか、刀や手裏剣など忍者ならではの道具も登場している。ケインさんは、通常7〜8%の体脂肪率を4%に絞って撮影に臨んだという。
「アドキンスさんは、からだも筋肉も大きくてパワフルなアクションができる人。負けたくなかったので、ブルース・リーのようなスピーディーなアクションで対抗できるようにと思ってトレーニングをしていました。それまで演じたことのないキャラクターだったので、やりがいがあってワクワクしていました。
子どもの頃から父親(ショー・コスギ)がハリウッドで、ずっと忍者シリーズの映画をやっていましたし、僕も幼い頃、何本か出させてもらっていたので、自分もハリウッドで忍者を題材とした映画に出られたことは嬉しかったです」
2016年、「鉄拳 Kazuya’s Revenge」(カオス監督)でハリウッド映画単独初主演を果たす。この作品は、2009年にも実写映画化された対戦型格闘ゲーム「鉄拳」を再映画化したバトルアクション。
ケインさん演じる主人公・三島一八は、記憶喪失で自分が誰なのかもわからないが、脳裏に断片的な過去の記憶と、ある男の姿が脳裏に浮かぶようになり、自分が地下犯罪組織に誘拐され、冷酷な暗殺者として育てられたことを思い出す。そして暗殺の標的となっていたブライアン・フューリー(ケイリー=ヒロユキ・タガワ)の手を借りて自分の身元を探り始める…というストーリー。
「いろいろなオーディションに落ちてショックも受けましたが、一つずつステップアップしていったという感じです。やっぱりアクション映画が一番好きでずっとやっていきたいし、いろいろな方と仕事したいですね。映画の撮影をしている時が一番嬉しいので。
今は、娘の学校もあるので本拠地は日本で、海外の撮影の時には単身で行っています」
■渡米中に「君もパーフェクトボディ!」が大人気に
2015年、ものまね芸人の山本高広さんがケインさんのモノマネで「君もパーフェクトボディ!」という決めセリフを披露したところ話題に。
昔、ケインさんが一度だけテレビ番組で、「大胸筋! 三角筋! 三頭筋! 全部鍛えれば君も、パーフェクトボディ!」と言ったのを見て山本高広さんがモノマネするようになったという。
「ちょうど流行(はや)り始めた頃、僕はアメリカにいたので全く知らなくて。日本に帰って来て街を歩いていると、みんなから『ケイン、これやって』って、パーフェクトボディのポーズで言われるんですよ(笑)。
最初は何を言われているのか全然わからなくて、『これって何ですか?』という感じだったんですけど、YouTubeで調べてわかりました(笑)。普段は全然言わないですし、昔テレビ番組で自分が言ったということも覚えてなかったんですけど」
――YouTubeで山本さんをご覧になっていかがでした?
「結構笑いました(笑)。本当に嬉しかったですし、僕のモノマネをやってくれるなんて光栄だなって。本当にありがたいですね」
――お二人で一緒に「パーフェクトボディ!」をされているのも楽しかったです
「ありがとうございます。子どもができて変わりましたね。今までのキャラクターだけではなく、いろいろなことに挑戦したいと思うようになりました」
2018年にはゲーム配信をスタート。友人から紹介されたPCゲーム「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」にハマり、配信をしながら腕を磨こうと思って始めたという。『肉体派のイメージのケインさんがゲーム?』という意外性が話題を集め、初配信で視聴者数1万6000人を突破した。
――インドアのイメージがなかったので、ゲーム配信は驚きました
「本当は、ずっとインドア派です。昔からゲームが好きで、始めたのは4〜5歳の頃です。18歳で日本に来た当初は日本語ができなくて、友だちもいなかったので、仕事とトレーニング以外はずっとゲームをしていました(笑)。
だから結婚した時も奥さんが、『ロッククライミングとかいろいろなことを外でやっているイメージだったのに、実際はずっと家の中でゲームばかりしているじゃない』って言われました(笑)」
2022年、映画「劇場版 仮面ライダーリバイス バトルファミリア」(坂本浩一監督)に出演。スーパー戦隊シリーズ、ウルトラシリーズ、仮面ライダーシリーズの3大特撮ドラマシリーズに出演し、3シリーズすべてで変身ヒーローを演じた。
「海外ではほとんど悪役です。東洋人でアクションをやるということは、だいたい悪役
になるんですけど、日本ではヒーローもいろいろやらせていただけるので楽しいです」
2022年、「SASUKE2022〜NINJA WARRIOR〜」(TBS系)第40回記念大会に出演。21年ぶりの復活が話題に。2023年には、なかやまきんに君とコンビ「パーフェクトパワーズ」を結成し、「M-1グランプリ2023」(ABCテレビ・テレビ朝日系)に参加。次回はその舞台裏、全国順次公開中の映画「四十九-SEEK」、10月2日(金)よりDVDリリース&配信スタートする映画「ブロート 河童は、もう中にいる」も紹介。(津島令子)
ヘアメイク:金子 時菜(TOKINA PARIS)