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2026年9月4日 14:17

前田公輝 毎年オーディションで挑戦し落ち続けた「朝ドラ」ある「面接」で合格し人生が一変

前田公輝 毎年オーディションで挑戦し落ち続けた「朝ドラ」ある「面接」で合格し人生が一変
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6歳から子役として活動をスタートし、「天才てれびくんMAX」(現・NHK Eテレ)で注目された前田公輝さん。2008年、「ひぐらしのなく頃に」(及川中監督)で映画初主演。2010年には、舞台「白虎隊ザ・アイドル」で初舞台にして初主演も果たす。「私をもらって〜追憶編〜/〜恋路編〜」(日本テレビ系)、「完全不倫―隠す美学、暴く覚悟―」(日本テレビ系)、「おいしい離婚届けます」(中京テレビ・日本テレビ系)、「もう1度夫婦になりますか?〜カモフラージュ夫婦〜」(日本テレビ系)など主演連続テレビドラマも多数。メインキャストのひとりを演じた映画「ホーム スイート ホーム」(吉川鮎太監督)が全国公開中。(この記事は全3回の中編。前編は記事下のリンクからご覧になれます)

■華やかなデビュー、トントン拍子の10代から一転、仕事に悩みぬいた20代は「葛藤の日々でした」

6歳の時に初めて受けたCMのオーディションに合格し、自信満々だったものの、そのあとに受けたオーディションに落ちてわずか7歳で挫折を味わったという前田さん。それでも10歳でドラマに主演。映画、舞台にも10代で主演するなど順調に俳優人生を歩んできたイメージだが、自身では葛藤の日々だったという。

「いろいろなお仕事をいただけるようになり、俳優人生に希望が見えた気はしていました。ただ、当時は知識もなく、何が良い芝居なのか、どうすれば思いが届くのかも全くわからない状態で…。自分が良いと思うことだけを表現しようとする、どこか意固地な状態だったと思います。

完成した『スラッカーズ 傷だらけの友情』(渡邊貴文監督)を見た時、『自分の未来はこの仕事にあるのかもしれない』と感じました」

――金髪ヤンキーの主人公はまるで別人のようで演技の幅の広さを感じさせましたね

「ありがとうございます。とんでもない、荒くれた狂犬みたいな役で(笑)。当時はそこまで深く理解できていなかったのですが、今振り返ると、自分は俳優という仕事が好きで、その仕事に未来があると希望を抱けていたあの時間自体が本当に幸せだったなと思います」

――ご自身で意識が変わってきた部分はありますか?

「はい。プライベートはあまり重視しなくなりましたね。自分には俳優としての未来が絶対にあると信じ切っていたので、ある意味自分に対してすごく厳しくなりました。誤解されるような場所や行動は避けたり、危ない橋は絶対に渡らないようにしたり…。

だからといって、次々と仕事が舞い込んでくるわけではなく、一歩間違えたらすごく嫌なやつになっていたと思います(笑)」

――早くにテレビや映画に主演されて、初舞台でも主演でした

「はい。本当にありがたいです。でも、当時は自分本位だったこともあり、その状態が普通なのだと錯覚していました。だけど、シンプルに仕事がなくなって、それが普通じゃないと思い知らされるわけです。そこで初めて、『このままじゃダメだ、何かを変えなきゃいけない』と痛感しました。

あと一番大きかったのは、環境の変化ですね。友人が次々と学校を卒業してお金を稼ぐようになり、どんどん周りが『大人』になっていったんです。

彼らが着実に給料をもらい、社会人として歩んでいる姿を目の当たりにした時、このままだとずっと悔しいままだと焦りを感じて。そこから意識がガラッと変わりました。

僕は、子どもの頃から仕事をしていたので、自分が先に大人になった気になってあぐらをかき、実は全然成長できていなかったんです。そんな自分と向き合って、少しずつ変わっていったというか。オーディションの合格率もどんどん下がっていた時期だったので、その頃から仕事に対する緊張感を覚えるようになりました」

――若くして主演作もあって順調に見えましたが、実はそうではなかったと?

「そうです。20代前半は、暗黒期でしたし、葛藤の日々でしたね。本当に仕事がなくて、監督さんやプロデューサーさんに自ら会いに行っては、『何か仕事ないですか?』と直談判していたくらいです。必死で営業していましたね。

もちろん僕だけでなく、マネジャーさんも必死になって各所に働きかけてくれていたんですけど」

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■念願の朝ドラが決まって暗黒期から抜け出せた

2017年、BS時代劇「赤ひげ」(NHK)に出演。この作品は、断続的に放送されているテレビ時代劇シリーズで、小石川養生所を舞台に、患者には医術を施すだけでなく、患者の抱える事情にも踏み込み献身的に面倒を見る医師・赤ひげ(船越英一郎)と青年医師との関わり、市井の貧しい人々の姿を描いたもの。

前田さんは、赤ひげに反発しながらも、患者たちのさまざまな姿に接し、医師として生きるべき道を見いだしていく小石川養生所の若手医師のひとり・津川玄三役。

「僕が演じた津川玄三は、正面から事実を受け入れようとしない、少し屈折したキャラクターなんですが、撮影はとても楽しかったです。

シーズン4まで続いている作品ですが、時代劇特有の難解な言葉遣いも少なく、現代風にアレンジされた一話完結で見やすいんですよね。僕自身も、時代劇へのイメージが変わった作品です。

船越英一郎さんが時代劇の芝居や台本の読み方などを丁寧に教えてくださって、その関係性がまさに作中の赤ひげと若手医師のような距離感でした。船越さんの学校に通わせてもらったような感覚で、学びも多く、本当に嬉(うれ)しかったです。

船越さんには食事会を開いていただいたり、プライベートを通じても温かく接していただいて。そういった現場の外でのコミュニケーションも含めて、船越さんが常に良い雰囲気を作ってくださっていました」

2022年、連続テレビ小説「ちむどんどん」に出演。この作品は、ふるさと沖縄の料理に夢をかけたヒロイン・暢子(黒島結菜)の成長とその家族や周囲の人々が繰り広げるさまざまな出来事を描いたもの。

前田さんは、暢子たち四兄妹の幼なじみで、母親(藤田美歌子)が病弱なため、若い頃から家業の豆腐店を切り盛りしている砂川智役。暢子に想いを寄せ続け、彼女が上京して銀座のイタリア料理店で働き始めると、後を追って上京。暢子との将来を思い描いているが振られてしまう。

「大学生の頃から、『30歳で朝ドラに出演する!』と周囲に言い続けていたんですよ。だから有言実行できて本当に良かったです。暗黒期から抜け出せたなと実感できたのが『ちむどんどん』でした。

『赤ひげ』のスタッフさんが朝ドラにも関わっていらっしゃって、そのご縁で面接に呼んでいただき出演が決まりました。まさに『赤ひげ』が引き寄せてくれたチャンスでしたね。そこから人生が一変して、見える世界がすべて変わりました」

――思い切り振られてしまいますが、印象に残る役どころでしたね

「はい。僕は、ちょっと出られるだけでも嬉しかったんです。毎年朝ドラのオーディションに応募していたんですけど、第一次審査すら全く通らなくて。

少しでも目にとまるように、エントリーシートの余白に細かくアピールポイントを書くなど、できる限りの工夫もしていたんですが、何をやっても落選続きで…だからこそ、出演が決まった時は本当に嬉しかったですね」

――あれだけ一途に好きだという熱い思いは見ていて気持ち良かったです

「ありがとうございます。智という役は、仕事に対してはタフなメンタルを発揮する一方、恋愛となると途端に不器用で、そのギャップも面白かったですね」

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■毎日5,6時間、部活のようなアクション練習

2023年、Amazon Original映画「ナックルガール」に出演。この作品は、日本のAmazonスタジオが手がけ、日本人キャストと韓国の映画制作会社による日韓共同制作で、主人公の女性ボクサーが、自死したとされる妹の事件の真相に迫っていく様を描いたもの。

将来有望視される女性ボクサーの橘蘭(三吉彩花)は、ある日突然、大切な妹が失踪し、自死したと警察からの知らせを受けるが信じられず、独自の調査を開始。妹がまだ生きていることを確信する。そして、蘭は、妹を救うべく、巨大な犯罪組織とルール無用のコロッセオ、GARAGE(ガレージ)と呼ばれる無法地帯で、ナックル一つで命をかけた闘いに挑むことに…。

前田さんは、蘭の元恋人で、彼女に戦闘スタイルを教える神谷瞬役。正義感が強く情にも熱い男で、危険な犯罪組織に闘いを挑む蘭を心配しながらも協力する。クランクイン前からアクションの基礎トレーニングと筋トレを行っていたという。

「普段から役に合わせてからだ作りの方法を変えているんですが、神谷は武骨で人間味のある泥臭さを持った役だと思ったので、あえてジムには通わなかったんです。代わりに家でソファを使ったりしながら自己流のトレーニングを中心に作っていきました。

韓国のアクション表現は、日本と比べてパフォーマンス寄りというか、エンタメ性の高い魅せるアプローチだったんですが、それを三吉彩花さんと一緒に1カ月半ほど、まるで部活のように毎日5〜6時間練習させていただけたので、すごくありがたかったです」

役どころの幅も広がり、「私をもらって〜追憶編〜/〜恋路編〜」(日本テレビ系)、「完全不倫 ― 隠す美学、暴く覚悟 ―」(日本テレビ系)など恋愛ドラマ出演も続く。次回は、メインキャストのひとりを演じた公開中の映画「ホーム スイート ホーム」も紹介。(津島令子)

ヘアメイク:佐藤由貴

スタイリスト:岩田友裕

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