イタリアで生まれ育ち、運命的な出会いをした妻・貴久子さんと1988年に結婚し日本に移住したパンツェッタ・ジローラモさん。月刊誌「LEON」(主婦と生活社)で“ちょいワルおやじ”として話題になり、世のおじさんたちの憧れの存在に。連続テレビ小説「ちむどんどん」(NHK)、「ムショラン三ツ星」(NHK)などに出演。ディズニー映画「カーズ」シリーズでは声優としてルイジの声を担当。初主演映画「TAVERNA DE GAGA−人生はまだまだ面白い−」(浜野安宏監督)が公開中。(この記事は全3回の中編。前編は記事下のリンクからご覧になれます)
■モデルは美しいだけじゃダメ!長くは続かない
2001年、「LEON」創刊号から表紙とモデルを務め、2005年には「ちょい不良(ワル)オヤジ」という言葉が流行語にも選ばれた。2014年、「連続して最も多くファッション誌の表紙を飾った数(男性モデル)」という記録名でギネスワールドレコーズ2014に世界記録として認定され、現在も記録更新中。
――2005年の「笑っていいとも!」(フジテレビ系)で「ちょい不良ファッションショー」コーナーも人気でした
「そうですね。おじさんたちを変身させるんですけど、あれは面白かった。いろんな人に普段着られないような洋服を着てもらって。多分自分では、普通だったら絶対に買わないような洋服をコーディネートしてね。いい経験だったと思います。
あれは本当に面白かった。変身前と変身後のギャップが結構あって。意識でファッションは変わるんです。あの時代は、やっぱり『LEON』がきっかけで日本のサラリーマンの洋服の使い方も変わったんですよね。
モデルも美しいだけじゃダメなんです。長くは続かない。僕は少年時代から結構いろいろ研究していましたね。やっぱり美少年はモテるわけですよ。僕は美少年じゃなかったから、どうしたら勝てるのか、モテるのか、そんなことばかり考えていましたね(笑)。
ファッションもそうです。お父さんがおしゃれな人だったから、もともと好きで興味があったけど、『LEONの人』というイメージもあるので、体型のこととか、年齢を重ねてきた今のほうが意識して努力しています。
『LEON』は、多分寝た子を起こすというか、女性に視線を配らなかったような人にもちょっと夢を与えちゃって(笑)。自分もイケるかもしれない、チャンスがあるかもしれないって思わせたのは大きいと思う。人に希望を与えたというのはね。気持ちいいんだから。
例えば僕も『LEON』に出ているけど、見た目が一番というモデルじゃないじゃないですか。自分のキャラクター、個性的な感じで出ているから、自分にもできるかもしれないという夢を与えるんじゃないかって。
僕もできるよと思ってしまう人もいて、『LEON』もいろんなモデルさんを使うけど、僕みたいにはなれないんです。結構若者がわかっていないのは、個性的な人を使うと面白いなってなるけど、個性的じゃない人を使うと、ただマネキンみたいだから薄く感じるんですよ。
個性的な人だと、だんだん年齢とともに味になって、年齢なりの魅力が出てくるんですよ。ただ綺麗で個性がない人だとすぐに終わっちゃう。
たまにいるんですよ。パッと見たらキレイなモデルさんなんですけど、性格が良くなかったら彼女のビューティがなくなる。せっかくメイクアップでめちゃくちゃ美人に仕上げているのに写真で見たらそう見えない。内面が出ちゃうんですよね。だからやっぱりちゃんと意識して努力しないと長くは続かないですよね」
モデル、タレント、俳優、文化人、コンサルタント、飲食店経営をはじめ多角的にビジネスを展開する実業家など多くの顔を持ち、著書も多数。
飛行機の中で運命的な出会いをして結婚、日本に移住することになった妻・貴久子さんと共著のイタリア料理本も出版。貴久子さんは、ナポリに住んでいた頃、ジローラモさんのお母さま(マンマ)の料理の味を知ったことで、イタリア家庭料理への関心を深め、イタリア家庭料理教室を主宰する料理研究家として活躍。日本でのイタリア食文化普及活動に対して2000年、ヴェローナ市よりジュリエッタ賞を贈られている。
「家内は、日本に移住した僕がホームシックにならないように、イタリアの家庭料理をいろいろ作ってくれていました。最高においしいです」
■免許を取って初めて乗った車・フィアットのキャラで声優に
日本で一番有名なイタリア人と言っても過言ではないジローラモさん。大人の色気がダダ漏れの陽気でダンディな唯一無二の存在感を放ち、「最高の離婚」(フジテレビ系)、「俺のダンディズム」(テレビ東京系)、「Re:リベンジ−欲望の果てに−」(フジテレビ系)など、ドラマに本人役で出演。俳優としても活躍の場を広げていく。
2011年、ディズニー映画「カーズ」(ジョン・ラセター監督)に声優として出演。この作品は、クルマたちが人間と同じように生活している”クルマの世界”を舞台にした冒険ファンタジー映画。ジローラモさんは、イタリア車ルイジの声を担当。
若き天才レーサー、マックィーンは、「レースでトップになることだけが人生の全て」と信じて疑わない傲慢で身勝手な性格。しかし、チャンピオン決定戦へと向かう途中、思わぬトラブルに巻き込まれ迷い込んだ田舎町で、個性的な住民、サリー、メーター、ドック・ハドソンらとの人情味あふれる触れ合いによって、心に変化が。やがて彼は、レースに勝つことよりも、もっと大切なことに気づいていく…という展開。
――大の車好きで知られるジローラモさんにピッタリでしたね
「そう。僕が免許を取って初めて乗った車がフィアットだったので、ルイジの声に決まった時は嬉(うれ)しかったですね。あれも面白い経験です。
映画の吹き替えは初めてだったけど、現場に行ったら急に台本を渡されて、練習なしでやることになって。ショックでした。これでもうパニック。台本が読めないといけないじゃないですか、漢字でも読めるんですけど、時間がかかるんです。だから難しかった。
普通は当日に渡されて練習なしでやるなんてことはないでしょう?それで、『もうダメかな?』って思ったけど、『ダメだな』と言われた瞬間にムカついて。
ああいうところで、本当に負けたくない感じだったんです。頑張らないといけないと思って監督と話して。ちょっとずつやり始めて、できたんです、1回目は。2回目と3回目は、勉強していきました。難しくて大変だったけど、イタリア人の気持ちで演じられたから面白かったですね」
――人気キャラで合っていましたね
「そうですよね。今でもあれを見ている子どもは、ぼくが喋(しゃべ)ると(足が)止まるんです。『本物(のルイジ)なんだ』って(笑)。そういうのも嬉しいですよね」
2011年には「カーズ2」(ジョン・ラセター監督)、2017年には「カーズ クロスロード」(ブライアン・フィー監督)が公開され、ルイジの声を担当している。
2022年には、連続テレビ小説「ちむどんどん」に出演。この作品は、ふるさと沖縄の料理に夢をかけたヒロイン・暢子(黒島結菜)の成長とその家族や周囲の人々が繰り広げるさまざまな出来事を描いたもの。
ジローラモさんが演じたのは、イタリア料理人のアレッサンドロ・タルデッリ役。著名人が人生の最後に食べたい思い出の食について語る東洋新聞の人気企画で和彦(宮沢氷魚)のインタビュー取材を受けることに。
「初めて朝ドラに出演することができてすごくうれしかった。僕は、俳優のプロじゃないので、プロフェッショナルなドラマのスタッフさん方にいろいろ教えてもらいながら演技をする機会があったことが本当にうれしかったし、とても楽しかったです」
俳優としての評価も高く、今年放送された「ムショラン三ツ星」では、小池栄子さん演じる主人公のイタリア修業時代の師匠で名シェフ・ロレンツォ役で出演して話題に。次回は、2025年から始めた米作り、公開中の初主演映画「TAVERNA DE GAGA−人生はまだまだ面白い−」も紹介。(津島令子)


