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2026年9月25日 14:54

戸田菜穂 「厳しい監督たちとの出会いが私の糧になりました」

戸田菜穂 「厳しい監督たちとの出会いが私の糧になりました」
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連続テレビ小説「ええにょぼ」(NHK)のヒロインを務め、人気ドラマ「ショムニ」シリーズ(フジテレビ系)でのコメディセンスを発揮した演技も話題になった戸田菜穂さん。「JIN -仁-」(TBS系)、映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」(新城卓監督)、映画「沈黙のパレード」(西谷弘監督)などに出演。10月2日(金)に映画「沖晴くんの涙を殺して」(矢崎仁司監督)、10月9日(金)に映画「遥かな町へ」(錦織良成監督)、11月20日(金)に映画「ないものねだりの君に光の花束を」(安藤尋監督)の公開が控えている。(この記事は全3回の中編。前編は記事下のリンクからご覧になれます)

■「ショムニ」のメンバーとは今も仲良し

1998年、都内にある中堅商社「満帆商事株式会社」で「女子社員の墓場」「会社の掃き溜め」と呼ばれる部署である総務部庶務二課所属の6人のOLの活躍を一話完結形式で描いたドラマ「ショムニ」に出演。

戸田さんは、落ちこぼれOLが集まるショムニ(庶務二課)を仕切る主人公・千夏(江角マキコ)と同期入社で犬猿の仲でもある杉田美園役。秘書課のメンバーの中では最年長でリーダー的存在。毎回ショムニの面々と遭遇した際に「あ〜ら、ショムニのみなさん」と嫌味(いやみ)タップリに言うのがお決まり。

「コメディの作品はあまりやったことがなかったので面白かったです。それまでは自然に演技をするようにと指導されていましたが、コメディはオーバーな演技が求められるので、どこまでやっていいんだろうと思いながらやっていました」

――毎回のように江角さんと顔がくっつくほど近づいてにらみ合うシーンも印象的でした。

「振り返れば奴がいる」(フジテレビ系)の織田裕二さんと石黒賢さんと同じくらい近かったですね

「本当に近くて最初はテレくさかったです。近すぎて(笑)。社内で千夏と遭遇する度に嫌味を飛ばしあっているんですけど、ピンチの時に千夏に助けられたこともあって、本当はそんなに憎み合っていなかったのではないかという説もあって。面白かったですね」

――女性の社会進出が叫ばれながらも、実際にはまだまだ女性は責任ある仕事を任されることが少なかった時代でしたから、ショムニのメンバーが活躍する姿にスカッとする女性たちが多かったようですね

「そうですね。いまだに若い俳優さんから『ショムニを見ていました』って言われることが結構あります。連続ドラマが3回ありましたし、スペシャルドラマもいっぱいありましたからね。あの時のメンバーは、今も仲良しで集まって食事をしたりしています。

あのドラマは、始まる前は期待値が低かったそうです。でも、始まったら視聴率が20%を超えていて、みんなビックリしていました。撮影現場にも勢いがあったので、その熱量が伝わったのかもしれませんね。やっていて本当に面白かったです」

1999年、「古畑任三郎 第3シリーズ」(フジテレビ系)第8話「頭でっかちの殺人」に出演。この作品は田村正和さん演じる刑事・古畑任三郎が、完全犯罪をもくろむ犯人たちのトリックを卓越した推理力で暴いていく様を描いた人気シリーズ。

事故で車いすの生活を送る化学者・堀井岳(福山雅治)は、かつての恋人・片桐恵(戸田菜穂)と親友の等々力(板尾創路)とともに研究者として採用された。恵が等々力と結婚することを知り復讐を誓った堀井は専門知識を駆使して等々力を爆殺し、恵にその罪を着せようとする…。

――男の嫉妬も怖いなと思いました

「そうですよね。福山雅治さんが犯人役で。この間再放送していて『出ているよ』って言われて久しぶりに見ました。緻密(ちみつ)な計算をしてロダンの考える人の置物に爆弾を仕掛けて復讐を実行するってすごいですよね」

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■サルサのダンスシーンに苦労「ラテンのリズム感は…」

2003年、映画「女はバス停で服を着替えた」(小沼勝監督)で映画初主演を果たす。この作品は、北海道・鹿追町を舞台に、訳あって別れた男女の再会と新たなる旅立ちを描いたもの。

サルサのトップダンサーだったが、故郷・北海道鹿追町で蕎麦職人として再出発しようとしていた充(遠藤憲一)の前に、死んだ弟・匡の妻であり、かつてダンスパートナーだった瑞枝(戸田菜穂)が突然現れる。2人はかつて不倫関係にあったが、弟の事故死をきっかけに罪の意識に苛まれた充が逃げ出したのだ。すれ違う思いの中、2人は充の幼なじみの結婚式で情熱的なサルサを披露する…。

――妖艶で情熱的なヒロイン役でしたね

「好きでしたけど大変でした。私にはラテンのリズム感は全然ないし、踊ったこともないので。やっぱり女優さんはダンスができた方がいいですね。今の子たちは、結構小さい時からやったりしていますけど、私は踊ったことがなかったので大変でした」

――2人が不倫関係になったことで、匡が事故死したと自責の念にかられていて

「自分だけ幸せにはなれないって。でも、女と男の違いがよく出ていると思いました。女は現実を捉えようとするけど、男の人はそこから逃げようとするんですね。

自分だけ幸せになっちゃいけないという戒めの気持ちが強くて。踊った後の2人も興味深いです。あれだけ激しい思いをぶつけていたのに、女は自分の道を歩むことにする。女の強さも感じる作品でした」

2007年、映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」(新城卓監督)に出演。この作品は、

石原慎太郎さんが製作総指揮と脚本を手掛け、“特攻の母”として知られる実在の人物の視点から特攻隊員たちのはかない青春を描いたもの。

太平洋戦争末期、不利な状況に陥った日本軍は、最後の手段として特別攻撃隊を編成。多くの若者たちが大空へと散っていった。そんな中、軍指定の食堂を営む鳥濱トメ(岸恵子)は、複雑な思いを胸に彼らを見守り続けることに…。

戸田さんは、筒井道隆さん演じる田端絋一少尉の婚約者・田端良子役。特攻で出撃する前日、夫婦の契りを結ぶためにトメの食堂を訪れる。

――あのシーンは鬼気迫るものがありましたね

「すごく緊張しました。死ぬことがわかっていて、これが最初で最後という思いでしたからね。魂でぶつかっていきました。実は、良子のその後のシーンも撮っていたんです。夫を亡くして外国人相手の娼婦になっているシーンがあったんですよ。ジープの上に米兵と乗っていて。そのシーンがなくなっちゃっていたのが残念だったんですけど、特典映像には入っているみたいです」

2009年、「JIN -仁-」(TBS系)に出演。この作品は、江戸時代へタイムスリップした脳外科医・南方仁(大沢たかお)が、人々の命を救っていき、医術を通して坂本龍馬(内野聖陽)、勝海舟(小日向文世)らと交流を深め、自らも歴史の渦に巻き込まれていく様を描いたもの。

戸田さんは、下町の長屋で、息子・喜市(伊澤柾樹)とともに枝豆や卵を売りながらつつましく暮らしているタエ役。ある日、暴れ馬に頭を蹴られ瀕死の重傷を負うが、仁の治療によって一命をとりとめるが、辻斬りに殺害されてしまう。

――「JIN -仁-」のタエさんも印象的でした。

「よく言われます。『馬に蹴られて死んじゃうの?』と思ったら南方先生に助けてもらうんですけど、幼い息子を残して殺されてしまって。せっかく枝豆を届けてあげようと思ったのに、すれ違いざまに辻斬りに遭ってしまう。つらいですよね。

先日、あの時に息子役だった伊澤柾樹くんと一緒になったんですよ。『僕、あの時の枝豆の少年です』って言っていました。子どもは大きくなるのが早いですね。ビックリしました。『おっきくなったね』って(笑)。嬉(うれ)しかったですね」

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■怒られても学びたいという人もいるが…

高校2年生の時に「第15回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で、3万人以上の応募者の中からグランプリを受賞して俳優デビューした戸田さん。「NHK俳句」の司会やナレーションなど幅広いジャンルで活躍している。

「デビューした頃から、巨匠と言われる映画監督に出会えたのは、とても幸せなことだと思います。

私の映画デビューは、相米(慎二)さんの『夏の庭 The Friends』なんですけど、厳しい方に指導していただいて、それはすごい宝だなと思っています。全然OKが出ないし、相米さんが一番厳しかったですね。

主演の三國連太郎さんの孫の役だったんですけど、全然OKが出なくて苦しくて。『虹きれい』というセリフがあるんですけど、教えてくださらないんです。『虹がきれいだって思ってないだろう?』って言われたので、『いや、思っています』と言ったら、『じゃあ、思っているように見えない』みたいな。

ずっと三國さんも(現場に)いらっしゃるのに、どうしたらOKがもらえるんだろうって。追い込まれていましたね。『演じる人って孤独なんだな』って思いました。

三國さんたちもみんなシーンとして見てくださっているんですね。別に嫌な顔もせず。でも全然OKが出なくて本当に申し訳ないなっていう気持ちになってきて。でも、あの孤独感を味わわせてもらっていい経験でした」

――向田邦子さんのドラマで久世光彦さんともお仕事をされていますね。久世さんも厳しい演出で知られていました

「はい。久世さんも厳しかったですけど、小さい頃から向田邦子さんのドラマが大好きだったので、呼んでいただけたことはとても幸せなことでした。でも、本当に厳しくて、最初はものすごく怒られて、リハーサル室の隅っこでよく泣いていました(笑)」

――でも、そういう経験があるということは大きいですね

「そうですね。当時は、厳しく指導していただきたいという気持ちもありました。早くに亡くなられた監督もいらっしゃいますが、あの時教えていただいたことをメモしていて、時々読み返しています」

――今は怒ってはいけない時代ですしね

「そうですね、本当に。別に私たちは怒鳴られようが、なんだろうが、全然自分ができないから仕方ないとしか思わなかったですけど、少し不思議な感じになります。現場で、『あれ?ここは監督が怒ってもいいところなのに、怒らないんだな』って。

『厳しくてもいいからもっと教えてください。ついていきます』という人もいますけど、一律そうはできないという感じで。今、過渡期ですね」

私生活では2010年に結婚、14歳と12歳の娘を持つ母として多忙な日々を送りながら2018年には「NHK俳句」の司会も。「テイオーの長い休日」(東海テレビ・フジテレビ系)、「泥濘の食卓」(テレビ朝日系)、連続テレビ小説「あんぱん」(NHK)など話題作出演も続く。次回は撮影エピソード、10月2日(金)に公開が控えている映画「沖晴くんの涙を殺して」も紹介。(津島令子)

ヘアメイク:大沼こずえ(eleven)

スタイリスト:松岡奈央子

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