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2026年11月6日 14:36

淵上泰史 公開間近の映画で刺青の彫師に「自分が生きてきた人生とは真逆な世界で…」

淵上泰史 公開間近の映画で刺青の彫師に「自分が生きてきた人生とは真逆な世界で…」
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2013年、頼りなさそうなイケメンの先生が、生徒にダンスを教えるため奮闘する姿を描くGoogleのテレビCMで話題になった淵上泰史さん。「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」(フジテレビ系)、映画「7sセブンス」(藤井道人監督)などに出演。2017年、「ダブルミンツ」(内田英治監督)で映画初主演を果たし、「復讐の未亡人」(テレビ東京系)、「インフォーマ」(Netflix)、大河ドラマ「どうする家康」(NHK)など話題作出演が続く。現在「はだかんぼうたち」(テレビ朝日系)が放送中。11月13日(金)に映画「刺青」(いまおかしんじ監督)の公開が控えている。(この記事は全3回の後編。前編と中編は記事下のリンクからご覧になれます)

■初主演映画の撮影中に最愛の母が…

2017年、映画「ダブルミンツ」で映画初主演を果たす。この作品は、犯罪と暴力に満ちた男たちの愛憎を描き、ボーイズラブの傑作と言われる漫画を実写映画化したもの。高校時代に主従関係となっていた光夫と光央(田中俊介)が、犯罪の世界へと堕ちていく姿を描く衝撃の愛の物語。

壱河光夫(淵上泰史)のもとに同じ「イチカワミツオ」の名前を持つ高校時代の同級生市川光央(田中俊介)から「女を殺した」という電話がかかって来る。高校時代、光夫は冷酷で高飛車な光央に隷従させられていた。

数年ぶりの再会に、光夫は逆らうことなく光央の共犯者となるが、2人の関係はかつての主従関係ではない、新しい形の関係へと姿を変えていく…。

――大人気漫画が原作ということでプレッシャーはありました?

「原作のファンの方というのは、自分の頭の中でイメージとかシーンを全部作っているじゃないですか。ある意味その期待値みたいなのもあるので、そことの戦いですよね。僕は、原作も読んでなかったし、原作が人気だったことすら知らなかったんです。それがかえって良かったかもしれない。

僕が信じるのは、監督と脚本。監督は原作者の方と何年もかけて話し合って脚本ができたと聞いていたので。ちゃんと原作者の方と密にコミュニケーションが取れているから大丈夫だろうって。結果的に批判も入って来なかったですね。

内田監督が映画としてちゃんと落とし込んでくれて、ポップな感じじゃなくて韓国っぽいダークな雰囲気の映画になっていて、ちょっとロードムービーっぽくしてくれたのが、それはそれで良かったと思いました」

――撮影中にお母さまが亡くなられたそうですね

「はい。撮影のど真ん中でした。覚悟はしていたんですけど、まさかそのど真ん中で亡くなるとは思っていなかったので、亡くなった日も撮影をしていたし、その次の日も1日中撮影だったから帰れなくて。

母は、『私のことはええから仕事しなさい』という人だったし、父も、もし帰れたら…と言っていたのですが、亡くなった2日後にようやく帰ることができました。午前中木更津で撮影して、そのまま和歌山に帰って、3時間だけ亡骸(なきがら)に会って夜行バスでまた東京に戻ってきて撮影しました。

あまり覚えてないですけど、よく逃げ出さずにやったなって。あれを乗り越えるというか、経験すると、もう何もきついことないなって今思いますね。あれ以上にきついことはないなって。監督とプロデューサーとか数人は知っていましたけど、俳優部には絶対伝えないでくれと言って撮影していました」

2018年、映画「富美子の足」(ウエダアツシ監督)に出演。この作品は、“魔性の足”を持つヒロイン“富美子”に狂わされる男たちを描いたもの。

富豪の塚越老人(でんでん)は、デリヘルで見つけて愛人にした富美子(片山萌美)の足を偏愛し、甥でフィギュア作家の野田(淵上泰史)に彼女の足の等身大フィギュアを作らせることにするが満足できず、富美子の足を理解するために舐めるよう命令する…。

――美脚に惑わされていくというのはわかりますが、カオスでしたね

「そうですね。初めての監督だからやってみたいというのもあったし、でんでんさんが出ているからやりたいっていうのもありました。不思議な作品ではありますよね(笑)」

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■百戦錬磨の俳優陣との会話劇にプレッシャーを感じて

2021年、映画「おとなの事情 スマホをのぞいたら」(光野道夫監督)に出演。この作品は、世界18カ国でリメイクされたイタリアのコメディ映画「おとなの事情」の日本版。

ある出来事をきっかけに結びつき、年に一度集まっている3組の夫婦(鈴木保奈美&益岡徹、常盤貴子&田口浩正、木南晴夏&淵上泰史)と1人の独身男性(東山紀之)。ある参加者の発言をきっかけに、それぞれのスマホに届く全てのメールと電話を全員に公開するゲームをすることに。後ろめたいことは何もないと言いながらも、実は全員が絶対に知られたくない秘密を抱えていて…。

「あれはワンシチュエーションで舞台みたいな感じでしたね。監督がテレビの方なので、やっぱりテレビのように見やすくなるんですよね」

――テンポのいい会話劇が面白かったですが、撮影は大変だったのでは?

「みんな百戦錬磨のすごい人たちでしたからね。僕が一番経験が浅くてプレッシャーを感じていました(笑)」

2022年、「復讐の未亡人」(テレビ東京系)に出演。この作品は、未亡人が自死に追い込まれた夫の復讐を果たす様を描いたもの。

鈴木美月(松本若菜)は、愛する夫・優吾(平岡祐太)を自死に追い込んだ者に復讐をするべく、IT企業の派遣プログラマー・鈴木密として会社に潜り込む。優吾を追い詰めた同僚たち。一人一人に復讐するため義弟で探偵の陽史(淵上泰史)の協力のもと、周到かつ華麗に罠を仕掛けていく…というストーリー。

――ここぞという時に頼りになる存在でしたね

「そうですね。寂しい役ですけど。兄貴の奥さんですからね。親戚同士だし、気持ちはあるけど出さない、伝えない。一番優しい俯瞰(ふかん)で見守る人という感じですよね。松本(若菜)さんは昔から知っていて長い。彼女の初主演ドラマでご一緒できるというので、彼女を引き立てたいと思ってやっていました」

2023年、藤井道人監督の「インフォーマ」(Netflix)に出演。この作品は、裏社会・政治・芸能など、あらゆる情報に精通する“インフォーマ”の木原慶次郎(桐谷健太)と週刊誌「タイムズ」記者・三島寛治(佐野玲於/GENERATIONS from EXILE TRIBE)が警察・ヤクザ・裏社会の住人たちを巻き込み、謎の連続殺人事件を追う様を描いたもの。

淵上さんは、木原の過去の因縁を知る六車連合組長恭介役。木原が原因で殺害されてしまう。

「僕が出た作品の中では、『インフォーマ』が芝居の評価は一番高くて。業界の人は特に好きな人がめちゃくちゃ多くて、今のマネジャーとの出会いもこの作品がきっかけです」

2023年は、藤井道人監督の映画「ヴィレッジ」にも出演。架空の閉鎖的な集落・霞門村(かもんむら)を舞台に、家庭の事情でどん底の日々を送る主人公の青年(横浜流星)と、

幼なじみの女性(黒木華)がひかれ合う様を描いたもの。淵上さんは、主人公の父親役を演じた。

同年、「どうする家康」(NHK)で初の大河ドラマ出演も果たし、幼いころから秀吉に仕えてきた豊臣家名将・加藤清正役を演じた。

「大河ドラマは、自分には縁がないと思っていたので少し驚きました。大河には歴史がありますからね。嬉(うれ)しかったです。過去にもたくさんの方が演じていますけど、誰も加藤清正に会った事がないので正解がないじゃないですか。だからそういう意味では割り切って思いっきりやることができました。

熊本の市役所の方たちがXに『淵上さん、加藤清正さん、よろしくお願いします』って書いてくださって、あれが一番プレッシャーでしたね。そうだ、熊本って市をあげて加藤清正は神様なんだなって。ある意味熊本を作った人だし、やっぱりカッコいい人。

今までの大河の清正はすごく熱血、熱い感じだったんですけど、あまりそっちに寄せたくなくて、ちょっと賢い冷静な部分も意識してやっていました」

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■最新出演映画で余命半年の彫師役に

(C)2026「刺青」製作委員会
(C)2026「刺青」製作委員会

11月13日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開される映画「刺青」に出演。この作品は、谷崎潤一郎による官能とフェティシズムの金字塔に現代的解釈を加えたオリジナルストーリーとして映画化したもの。

父の死を機に帰国した彫師・清二(淵上泰史)は、深夜に裸足で歩く女・チサト(菅野恵)と出会う。清二は胃がんで余命半年を宣告されていたが、病魔に侵され衰えていく肉体に抗(あらが)うように、チサトの背中に刺青を入れたいという欲望を燃やしていく。

そんな矢先、清二は荒んだ生活を送る幼なじみの隆(佐伯大地)と再会。清二、隆、そして臆病な自分から生まれ変わることを望むチサトの3人は隆が組からくすねた大金とともに、逃避行へとひた走る…。

「話が来た時、二つ作品が入っていたのでスケジュールがちょっと厳しかったんですよね。

それで頭も丸刈りだったし、いけるのかなって。1日か2日ぐらいスケジュールが決定できない日があったんですけど、結局強行突破みたいな感じで。

自分は映画で育ってきているというのもあるので、今でもやっぱり監督のためにという思いが強いんですよね。監督のためにいい映画にしたいって。

でも、きつかったです。自主映画をやっている感じでした。もう一つの作品とスケジュール

が重なっていたので、朝4時とか4時半ぐらいに終わって、朝8時半ぐらいに別作品の入りがあったりして。スポーツをやっていたのもあるので、基本的にからだは丈夫ですけど、多少きつかったですね」

――余命半年という設定で劇中どんどん痩せていきますが減量も大変だったのでは?

「体脂肪だけ落としました。10%に。この前に撮っていた作品の関係で丸刈りだったんです。

それは去年から言われていたんですけど、ちょっと体重を落としながら体格はごつくしようということもあってトレーニングを始めていて。

そんなさなかだったので、この作品の役は病気だし、体脂肪だけ落として、とりあえず10%でキープしていくという感じでした。食べ物と低酸素のトレーニング、ウエイトトレーニング+走る、ダッシュですね、僕の場合は」

(C)2026「刺青」製作委員会
(C)2026「刺青」製作委員会

――彫師ということで、元になる絵を描いたり、刺青を彫るシーンもありますが、準備はどのように?

「自分が生きてきた人生とは真逆な世界ですからね。いろいろリサーチするために、監督と一緒に彫師の方のところに行きました。彫師の技の深さ、ストイックさ、そしてそれは人に対しても。

刺青を入れることに覚悟を持って来る人、その人ともつべき距離感、それらすべてがリスペクトへと変わっていったのを覚えています。あと家でもちょっと練習したりはしていました」

――チサトの背中に下絵を描くシーンは、全部淵上さんご自身がやられていますね

「そうです。あれは全部、手も吹き替えなしでやりました。習字をやっていたので、そういう筆の持ち方には慣れていますが難しかったですけど、(完成した作品を見たら)うまくできていた感じがしました」

――筆の持ち方、描き方が画になっていましたね。丸刈りも和のイメージに合っているなと思いました。清二は、子どもの頃に見た隆のお母さんの背中の刺青を見たことで彫師に

「それだけ衝撃的だったんでしょうね、子どもにとっては。鮮明に覚えているわけですから」

――女性のヌードシーンがあると、綺麗に見せる手の置きどころなども大変だったのかなと思いますが、いかがでした?

「そうですね。最初に(チサトの)背中を触るシーンとかは監督の細かい演出がありました。ああいう作品は、やっぱり女性をきれいに撮るというのが第一なので、そこは僕の手もその邪魔にならないようなやり方でいいと思うし」

――男性の手の置き方で全然違いますからね。昔ベッドシーンが多い俳優さんがテストで、「とりあえずやってみてと言われるのが嫌だ」と言っていました。淵上さんも映画「花宵道中」(豊島圭介監督)とか、結構多いですね

「そうですね。30代の時は多かったですけど、それでいろいろ経験もできて。『花宵道中』の時は、ラブシーンのああいう役って、監督が絶対(自分を)投影するんですよ、役者に。

『花宵道中』の時は豊島さんの思いが強くてめちゃくちゃ指摘されました(笑)。『淵上くん、その触り方はそうじゃない!』ってモニターの前からバーッと出て来て、『もっとこうで、こうだろう?』って言われて。内心『それは監督の趣味でしょう?』と思いながら『すみません』と言ってやっていましたけど。

『刺青』もそうですけど、最近はラブシーンで『とりあえずやってみて』という監督はいないですね。やっぱりあれも形を決めておかないと、ちょっとしたアクションと同じで、ちゃんと決めてやった方がお互い安心ですから」

――撮影現場はいかがでした?

「いまおか監督は、優しい口調ですが、映画への情熱が伝わる演出で、自分の自主映画時代を思い出すくらい、刺激的な撮影の日々でした」

――幅広くいろいろな役柄を演じていらっしゃいますね、今後はどのように?

「僕は、日本の役者の売れる道筋からだいぶ外れてきているので。GoogleのCMの役の雰囲気のままやっていたら、多分もっと早く上にいったかもしれないです。でも結構幅広く色々なキャラをやってきた感じが僕の中であるんです。

だから今はちゃんと主演をやっていけるような役者ですかね。からだ作りも含め、いつでも準備を怠らない。2人だけで自主映画を撮っていた藤井道人監督は、今やすごい監督です。

自主映画時代から撮影スタイルを一切変えずに高い評価を受けているのはすごいなって。自分ももっと頑張らないといけないと思っています」

低酸素運動やダッシュなど本格的なからだ作りをしているというだけあって、体脂肪の低い肉体は現役のアスリートのよう。健康の秘訣は、鼻うがい。1年ほど前に始めて以来、風邪をひかなくなったと話す。13日(金)に公開される映画「刺青」に加え、放送中のドラマ「はだかんぼうたち」、公開待機作も。藤井道人監督の「イクサガミ」の続編製作も待ち遠しい。(津島令子)

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