森田健作がアジア・オンライン大学の学長就任「日本とタイのために汗を流したい」[2024/06/27 09:37]

 “青春の巨匠”として、タイでも人気の前千葉県知事で俳優の森田健作(74)が来春、タイにも拠点を置く「アジア・オンライン大学」の学長に就任する。
タイと日本の人的交流を深めることを目的に開校するもので、将来はアジア各国に広げていく方針だという。開校に先立ちタイを訪れた森田は「少子化が進む中で労働力不足に陥っている日本企業の一助になるように取り組みたい」と意欲を見せた。
「アジア・オンライン大学」は、通信教育部の新設を進めている岡山理科大学が、泰日工業大学、パンヤピワット経営大学(PIM)と教育提携を結んでいることから、タイにおける新たな展開として、両大学と話し合いを重ねている。
通信教育部の新設は今年3月、文部科学省に設置申請をしており、7〜8月には認可される見込み。関係者によると「来春4月の開校に向けて、学生募集など具体的な準備を進めている」という。
岡山理科大学の大月史嗣国際交流局長は「タイに居住する人で、実は日本に関心を持っている人は多い。その中でIT人材の育成を目指していく。卒業生は岡山理科大の情報理工学部の学位となります」と話す。今回の取り組みは「日本の大学としては初の試み」となる。
一方、森田の学長任命は、タイの国内事情も大きかったようだ。
森田のタイでの人気はアイドル並み。在タイ王国日本大使館関係者も「日タイ友好をさらに深める大きな弾みになる」と、今回の開校は歓迎ムードだ。
森田は千葉県知事時代、タイや台湾、シンガポールなどアジア各地にトップセールスとして積極的に赴いてきた。タイ国内では現在でも、前知事以上に、かつて主演した青春ドラマ「おれは男だ!」(タイでは「剣道」のタイトル)からのファンが年配者を中心に多い。
「放送から 五十数年経った現在でもレコードやポスター、ドラマのDVDなどが出回っています。ドラマ主題歌で森田さんの歌った『さらば涙と言おう』や『友達よ泣くんじゃない』などがカラオケの上位を占めることもあります」(タイ在住の日本人芸能関係者)。
中でもプーミポン・アドゥンヤデート国王(2016 年 10 月 13 日没)の次女、マハー・チャクリー・シリントーン王女は今でも熱烈な「森田ファン」として知られている。それだけに「タイでの森田さんの人気は不動で信頼も厚い」(前出の芸能関係者)。
そんな森田の知名度の高さを背景に「タイをはじめ、将来はアジアの国や地域、さらには中東、アフリカ地域においても、連携できる教育機関と協力してオンライン大学を拡充させていきたい。そのためにも森田学長には大いに期待している」と、大月局長はと意気込んだ。
一方、森田は、オンライン大学開校を前に、岡山理大と連携する泰日工業大学とパンヤピワット経営大学の客員教授にも任命された。
地元の教育関係者によると、両大学は「高いスキルを持った労働者を育成及び訓練するための大学」だそうで、経営管理、工学技術、コミュニケーション・アート、革新的農業管理、食品ビジネス管理など「専門性を追求しているという。特にPIMは、タイ最大のコングロマリットの一つ「CP グループ」の職業教育と就労機会を提供する教育機関」として認知されている。それだけに「実現に向けては信頼できるパートナーの存在なくしては成立しなかった」(大月局長)としている。
学長就任という重責に森田は「重要なのはタイの若者が日本に関心を抱いて、日本で働きたいと思ってもらうこと。そのためにもインターネットを使って新たな教育機関ができないかと思っていた。大学では専門的な学びはもちろんだが、日本の流儀に合った教育、いわば『日本学』もカリキュラムとして盛り込みたい。とにかく、まずは日本に関心を持ってもらう、興味を持ってもらうことで、将来的にはタイからアジア全域に広げていきたい」と力説した。
少子高齢化の流れが止まらない日本では、人材確保が最優先課題となっている。森田は「専門分野での優秀な技術者、技能者を育てるのは重要なことだし、もちろんタイの日系企業で働いてもらうような環境づくりも重要。そのために、私自身も知名度を利用してもらえるのは光栄ですし、若い人のため、日本とタイのために汗を流したい」と語っていた。

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