靖国参拝、直前に米に通告も…「失望」声明の裏側[2013/12/27 11:48]

 安倍総理大臣の靖国参拝を政府が直前にアメリカ側に通告していたことが分かりました。アメリカは控えるよう求めていましたが、参拝を強行したことに対し、「失望した」とする異例の声明を発表しました。7年前の小泉元総理大臣の参拝に対して、当時のブッシュ政権は「口出ししない」としていました。この違いの背景には何があるのでしょうか。

 (新堀仁子記者報告)
 小泉元総理の時との大きな違いは、ブッシュ前大統領との関係です。2人の間には個人的な関係がすでにありました。2人は靖国問題についても直接話せるような間柄で、小泉元総理は自分で説明し、ブッシュ大統領もそれ以上は何も言わないという関係でした。しかし、安倍総理はまだ今、信頼関係を作り上げようとしているところです。もう一つは、現実主義のオバマ政権にとって、中国が今、アメリカ経済の回復に欠かせない大事な国になっているということです。第二、第三の経済大国、日中が争って経済を悪化させてほしくないという強い思いがあります。そうしたことから、今回はアメリカのメディアの論調も一様に厳しいものです。「アメリカとの関係にダメージを与える恐れがあり、安倍総理が経済再生をおろそかにして国粋主義的な課題へ重点を移しているのではという懸念をもたらしている」などと伝えています。1年前に安倍政権が発足した時に持っていたアメリカの懸念を1年かけて払拭したはずが、また振り出しに戻ってしまった形です。

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