与党に厳しい情勢、相次いだテロが影響 英総選挙[2017/06/09 17:20]

 イギリスの総選挙の結果は、まもなく大勢が判明します。「改選前」の状況ですが、これまで、メイ首相率いる保守党が過半数の326をわずかに上回っていました。しかし、今回、日本時間の9日午後4時までのBBCの開票速報によりますと、当初は優勢と伝えられていた保守党が議席を減らし、第1党の座は維持するものの過半数を割り込むことが確実となりました。ロンドンのイギリス首相官邸前から報告です。

 (吉田豪記者報告)
 (Q.保守党過半数割れの原因は?)
 今回の選挙は、メイ首相の信任投票ともいえるものでした。そして、結果は保守党だけに政権を認めないというもので、つまり「メイ首相、あなた一人には国を任せないよ」というものです。その背景には、やはり選挙戦中にあった2回のテロ事件が影響しています。選挙戦は「EU(ヨーロッパ連合)離脱問題」よりも、さらに身近な不安の「テロ対策」が国民の関心となったからです。労働党はメイ首相が内相を務めた6年の間に、警察官2万人を削減したとして強く批判しました。その批判が国民の不安と重なったともいえそうです。
 (Q.EU離脱の動きは変わる?)
 今のところは、メイ首相は離脱交渉どころではないといった感じです。EUよりも国内、国内よりも党内をどうしていくのかが喫緊の課題となっています。去年、EU離脱に賛成した国民のなかには、メイ首相がどんどんと推し進める強硬な離脱方針に「こんなはずではなかった」と思い、ふと、我に返った人が多くいます。一方の労働党は、離脱には賛成するものの、EUとの関係を完全に断ち切ることは望んでいません。そんな国民の不安をよそに、スタスタと離脱の道を歩くメイ首相の姿に「このままでは離脱より孤立だ」と感じた国民の気持ちを今回、労働党がうまくすくい上げたのかもしれません。総選挙の翌朝には首相がスピーチを行うのが慣例ですが、いつもより時間が遅れているようです。自身の去就を含めて、メイ首相がまもなく、首相官邸で国民に向けて演説を行います。

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