核査察に会談の平壌開催断念…金正恩氏の思惑は?[2018/05/11 11:48]

 史上初となる米朝首脳会談について、アメリカのトランプ大統領は「来月12日に東南アジアのシンガポールで開催する」と発表しました。北朝鮮は平壌での開催を主張していたとされています。アメリカ側に譲った形になりますが、どんな思惑があるのでしょうか。ソウルから報告です。

 (高橋政光記者報告)
 北朝鮮はまず体制の保証、次に制裁解除など経済面を重視しています。会談の場所について北朝鮮は平壌を強く希望していましたが、最後はアメリカに押し切られる形になりました。ただ、譲歩してでも会談にこぎつけ、米朝関係を改善して実を得たいという強い意向がありました。シンガポールには北朝鮮の大使館があり、以前は貿易の重要な拠点としていたことからも悪い場所ではありません。金正恩委員長が専用機で移動することもできます。そして、米朝首脳会談を前に平壌で続けられてきたアメリカと北朝鮮の実務協議が最近、終了し、北朝鮮がIAEA(国際原子力機関)の査察受け入れで基本合意したことがANNの取材で分かりました。核廃棄の透明性を担保するもので、アメリカはこれに対して平和条約の締結や国交正常化を検討しています。制裁の解除や大規模な経済協力も協議されていて、会談の大きなポイントになりそうです。また、金委員長はトランプ大統領との初対面に向けて英語の練習など準備に余念がないということです。北朝鮮にとって核・ミサイル開発からの大きな方針転換が成功するか、まさに命懸けの会談になりそうです。

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