習主席“米朝成果なかったし、全人代で忙しいし…”[2019/03/04 17:13]

 米朝首脳会談を終えた金正恩委員長は帰る道すがら、北京に寄って中国の習近平国家主席と会談するのではと注目されていました。しかし、金委員長の特別列車は4日朝に天津を通過、まもなく北朝鮮との国境に到着するとみられます。トランプ大統領との会談が実質、物別れに終わるなか、金委員長は、いわば「後ろ盾」の習主席と会談することなく、真っすぐ戻ることになります。金委員長はなぜ北京にも寄らず、習主席との会談もせずに直接、帰国ということになったのでしょうか。中国・北京から報告です。

 (前田輔記者報告)
 習主席としては今回、北朝鮮の非核化が全く進まなかったなかで金委員長とわざわざ会う必要がなかったという考えもあると思います。中国はこれまで北朝鮮の核保有について度々、反対の立場を示していました。北朝鮮との国境には多くの住民が暮らしているので、中国にとっても北朝鮮の核実験などは実際、脅威になっています。北朝鮮の後ろ盾を自認する中国としては、アメリカと北朝鮮の会談で成果が出ていないのに金委員長と会えば国内で反発が出る可能性もあるので、そのリスクを避けたという見方もできます。スケジュール的にも国内では1年で最も大事な中国の国会にあたる全人代の開幕を5日に控え、すでに一連の政治日程が始まっています。そもそも調整が難しい時期だったという見方もあります。さらに、米中の貿易協議が大詰めを迎えています。この時期に金委員長に会うことで、トランプ大統領を刺激したくないとの思いもありそうです。中国の外交関係者は「アメリカとは必ずうまい結果を見つける必要がある」と話しています。1度目のアメリカと北朝鮮の首脳会談では、その1週間後に今度は中国と北朝鮮の首脳会談が行われました。今回、全人代の閉幕を見据え、改めて習主席と金委員長の会談が模索されることになりそうです。

こちらも読まれています