3Dプリンターで心臓を作成 原料には患者の組織[2019/04/16 12:27]

 イスラエルの研究チームが3Dプリンターで心臓や血管を作成しました。その方法とは。

 3Dプリンターで制作中の小さな赤い物体。プリンターから吹き付けられた物質が少しずつ積み重なっていきます。この制作中の映像を早送りしてみると、小さな心臓が完成しました。青い血管のようなものも張り巡らされています。イスラエルの研究者グループは15日、世界で初めて3Dプリンターで血管を伴った心臓を制作したと発表。機能が失われた臓器の代わりになる大きな進歩だとしています。完成したのはウサギの心臓ほどのサイズで、3時間程度で制作できたということです。その詳しい内容と課題を臓器再生の研究者に解説してもらいました。
 臓器再生医学に詳しい慶応大学医学部・遠山周吾氏:「(心臓の材料が)患者さん由来の細胞であれば、移植時に拒絶されないというメリットがある」
 この心臓の作成方法ですが、まず患者のおなかの脂肪組織から材料の土台となる細胞を切り出します。一方で、患者のiPS細胞を使って心筋と血管のもととなる細胞を作り出します。次に、土台と合わせて3Dプリンターの材料となる心筋のインク、血管のインクをそれぞれ作ります。これらを3Dプリンターで吹き付けて心筋と血管を組み合わせ、心臓を作り出すことに成功したということです。しかし、実用化には課題も残されています。
 臓器再生医学に詳しい慶応大学医学部・遠山周吾氏:「まだまだ小さくて、ミニチュアの臓器。太い血管は構築されているんですけど、本当に血管として機能するかは確認できていない。毛細血管、細い血管まで作ることができて、細胞に栄養が与えられるかというのはまだハードルがある」

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