世界が注視する中国のハッカー集団「APT10」とは…[2019/06/27 16:00]

 日本の大手企業2社が中国のハッカー集団からサイバー攻撃を受けたとロイター通信が報じました。そのハッカー集団とは「APT10」。中国政府とのつながりが指摘されています。

 「中国が大手通信事業者8社をハッキング」。ロイター通信はそのなかに日本の富士通とNTTデータが含まれると伝えています。記事によりますと、ハッキングを行ったのは中国政府とつながりがあるとされるハッカー集団「APT10」。聞き慣れない名前ですが、実は世界各国が動向を注視しているハッカー集団です。アメリカ司法省は去年12月に「世界12カ国、45の企業や政府機関にサイバー攻撃を仕掛け、情報を盗み取った」としてAPT10のハッカー2人を起訴。2人は天津市国家安全局に勤めていたということです。これを受け、イギリスやカナダやオーストラリアなどもAPT10が中国の情報機関と関係があるとして相次いで非難しました。日本政府も今回の攻撃については注意を促しています。また、朝日新聞によりますと、APT10は2016年に経団連が受けたサイバー攻撃にも関与していた疑いがあり、経団連と日本政府とのやり取りに関するファイルにアクセスした痕跡があったということです。APT10についてアメリカは2015年、習近平国家主席と当時のオバマ大統領の間で交わされたサイバー攻撃停止の取り決めに反し、中国が繰り返しサイバー攻撃を仕掛けている証拠だと主張。これに対し、中国側は猛反発。
 華春瑩副報道局長:「アメリカが事実を捏造(ねつぞう)し、でっちあげた」「嘘を1000回言うと真実になると思っているかもしれないが、嘘は万回言っても嘘に過ぎない」
 一方、今回、APT10の攻撃対象になったとされる日本の企業2社ですが、富士通は社内で調査したものの、現在までに情報漏洩(ろうえい)などの被害は確認できていないとしています。NTTデータは「現段階ではコメントはありません」ということです。

こちらも読まれています