“貿易戦争” 習主席、トランプ大統領の本音は[2019/06/29 17:10]

 米中首脳会談の結果を米中双方はどう受け止めているのでしょうか。

 (布施哲記者報告)
 (Q.トランプ大統領は結果に満足しているのか?)
 今回の会談はトランプ大統領にとっては当面の目標は達成できたが、これから先の道のりはまだまだ長いといっていいと思います。来年の大統領選挙に向けた成果としてこの問題をアピールしたいトランプ大統領ですが、できるだけ早く最終合意したいというのが本音で、今回の交渉再開でまずはその1歩を踏み出した格好です。アメリカ国内では年末にかけて民主党の公開討論会に注目が集まるのが確実で、それに対抗するためには年末までに大きな成果としてこの問題をまとめ上げたいところです。ただ、最終合意への道のりは決して平たんではありません。アメリカ国内には「中国が時間稼ぎをするのではないか」という不信感が根強くあり、安易な妥協をすれば成果どころか批判を浴びかねないリスクもあります。そのため今後の交渉では再び両国の主張がぶつかり合い、緊張する。そんなリスクも確実に残っているといえそうです。

 (千々岩森生記者報告)
 (Q.中国側は今回の結果をどう受け止めているのか?)
 中国としては、交渉の決裂だけはなんとしても避けたかったわけで、今はホッと胸をなで下ろしているというのが正直なところだと思います。習近平国家主席にとって一番の得点は、第4弾の制裁関税が発動されないということです。これを国内に向けて交渉で勝ち取ったと大きくアピールすることになると思います。中国メディアによりますと、習主席は「アメリカが中国企業を公平に扱うよう望む」と強調していて、これはファーウェイへの制裁をやめるよう求めたものとみられます。また、北朝鮮問題も出ました。習主席は「トランプ大統領が金正恩委員長と対話を続けることを支持する」と話しました。ただ、習主席は「中国の主権と尊厳に関わる問題では核心的な利益を守る」とトランプ大統領に突き付けています。今回は対立のエスカレートは避けられたという程度で、今後も国益と覇権を巡る争いが続くことになりそうです。

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