香港デモが関係? 英総領事館職員が中国で行方不明[2019/08/21 14:48]

 香港でデモ以外にも対立を示唆するニュースが相次いで報じられました。メディア同士のトラブルの動画が公開されたほか、イギリスの領事館職員が行方不明になっていることも判明しました。

 デモが連日続くなか、20日にインターネット上で大きな話題となった騒動がありました。中国政府系メディアの記者と香港メディアの記者のトラブルです。赤い服の女性が中国本土「広東テレビ」の記者です。香港警察の会見が終わった後、香港メディアの記者20人以上が女性の周りに集まって問い詰めます。女性は「偽記者」で、本当は警察ではないかと疑っているのです。香港のデモでは以前にも偽記者騒動がありました。
 13日、香港国際空港で中国共産党系のメディア「環球時報」の記者が変装した警察官だと疑われ、デモ隊に取り囲まれました。この記者は「香港警察を愛している」という文字が書かれたTシャツを持っていて、「香港警察を支持する」と発言したことからデモ隊から暴行を受けて負傷。環球時報は自社の記者だと認め、中国政府もデモ隊の行動を「テロに近い」と声明を出しました。
 20日に発生したトラブルで香港メディア側はまず、女性に「身分証」を提示するように要求。女性は自分が広東テレビの香港駐在の記者だとする身分証と名刺を提示し、納得していない様子の香港メディアの記者らを残して部屋から立ち去りました。
 一方、今回のデモが関係しているのかは不明ですが、香港のメディアが20日に大きく報じたのがイギリス領事館の職員が行方不明。香港メディア「香港01」によりますと、香港のイギリス総領事館職員のサイモン・チェン氏が8日から行方不明となっています。チェン氏の家族が情報を求めてフェイスブック上に立ち上げたページによりますと、チェン氏は8日に職務上の理由で香港から広東省の深センに入り、その日のうちに香港に戻る予定でした。しかし、チェン氏が帰りの高速鉄道に乗り、交際相手に「もうすぐ境界を通過する」と伝えて以降、連絡が取れなくなってしまったのです。家族らは香港当局に通報。その後、中国当局に拘束された可能性を口頭で伝えられたとのことですが、その理由や場所など詳細な情報は分からないということです。
 イギリスの外務省はこの件に関し、「広東省や香港当局から情報を収集している」ということです。一方、中国外務省の報道官は「状況を把握していない」としています。対立が続くなか、香港政府トップの林鄭月娥行政長官は20日に記者会見を行いました。しかし、具体的な手段は示さず、デモ参加者が求める「逃亡犯条例」改正案の完全撤回などには応じませんでした。

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