複雑化する中東情勢 米“撤退”でロシアが存在感[2019/10/18 09:20]

 アメリカの働き掛けで一時的な停戦に合意したトルコですが、トルコとの緊密な連携を続けてきたロシアの動向も今後の情勢の行方を左右します。

 シリア北部におけるクルド人勢力の掃討を狙うトルコが軍事作戦を始めたのは、クルド系武装組織を実質的に支援してきたアメリカがシリア北部から全面的に撤退したことがきっかけといえます。後ろ盾を失ったままでトルコを迎え撃つことになったクルド人勢力は、トルコと対立するシリアのアサド政権側に協力を要請し、シリア政府軍はすでに北部へと部隊を派遣しました。この複雑な情勢のなか、ロシアは関係各国と連携を続けてきました。ロシアはシリアのアサド政権に大きな影響力を持つほか、トルコ側とも兵器の輸出などを通じて緊密に連携を続けています。アメリカ軍の撤退以降、シリア北部ではロシア軍が“監視”活動を続けています。また、プーチン大統領がアメリカと同盟関係にあるサウジアラビアを12年ぶりに訪問するなど、アメリカが「制裁」などを通じて影響力の行使を図るのとは対照的に、ロシアは直接的な動きで存在感を強めています。プーチン大統領は22日にトルコのエルドアン大統領と会談する予定で、事態収拾を図るとともに混迷が続く中東地域での主導権を握りたい考えです。

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