日本の賃貸料が上がる?民泊のエアビーとIOCが契約[2019/11/19 14:55]

 オリンピック期間中の宿泊施設不足を解消するために、民泊サイト大手「エアビーアンドビー」がIOC(国際オリンピック委員会)とパートナー契約を結びました。しかし、パリ市は「市民の住居費が上がる」と反発しています。

 民泊仲介サイト大手「エアビーアンドビー」はIOCと2028年までパートナー契約を結んだことを発表しました。宿泊施設が不足することが予想される来年の東京大会に向けて、関東圏の自治体と連携して新たに民泊を始める人を支援していくということです。2016年のリオデジャネイロ大会では、約8万人がエアビーアンドビーを通して民泊を利用しました。
 しかし、これに懸念の声を上げているのが2024年のオリンピックが開かれるパリです。AFP通信によりますと、パリのイダルゴ市長は先週、バッハ会長に「エアビーアンドビーはパリから多数の住居を取り払うことで賃貸料の上昇を引き起こす」と書簡を送付。この契約には「リスク」があると伝えていました。
 日本でも同じことが起こる可能性があります。物件の所有者が通常の賃貸に出さなくなり、民泊を優先させるケース。物件所有者から部屋を借りた賃借人がその部屋を民泊として貸し出す“また貸し”のケースもあります。日本の賃貸物件の検索サイトで物件を探すと「エアビー相談可」と掲載されているものもあります。エアビーのサイトには、また貸ししたい賃借人のための方法も書かれています。いずれにしても物件数が減ることで賃料の相場が上がり、一般市民生活に影響が出ることが心配されているのです。
 パリでは以前から民泊業者の登場で現地住民のための住宅の賃料が上昇したとの指摘があり、イダルゴ市長はエアビーを相手取り、違法な無登録物件を貸し出したとして15億円の罰金の支払いを求める裁判を起こしています。パリや日本では民泊に出せる日数に制限がありますが、それでも宿泊費が高騰するオリンピック期間中は民泊の方がもうかり、賃貸に物件が回らない事態になることも考えられます。パリ市の住宅担当者は、多くのEU(ヨーロッパ連合)の都市がエアビーと戦っている時に残念に思うとしています。

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