香港を巡り、中国のスパイだったとする男性が「民主派に対抗するために工作活動をしていた」と海外メディアに証言しました。5年前、香港で書店員が失踪した騒動では拉致に関わったということです。
2015年、香港で中国共産党に批判的な書籍を扱っていた書店員ら5人が相次いで行方不明になりました。中国当局に誘拐された可能性が高いとして、香港の民主派政党のメンバーらが中心となって大規模な抗議デモが行われました。
デモ参加者:「もし、中国政府が香港市民を逮捕し、本土に連れて行ったのなら我々の報道の自由への脅威です」
この騒動に関し、当時は政務官だった林鄭月娥氏は…。
林鄭月娥政務官(当時):「(Q.(書店員が)中国内地にいる可能性が…?)現在、調査中のためコメントを差し控えます」
その後、失踪した書店員らが「中国で販売が禁止されている本を持ち込んだ」「自ら出頭した」などと自白する様子が中国メディアで報じられます。しかし、なかには香港に戻ってから「自白は強要された」などと発言を覆す書店員もいて、香港市民は中国メディアの報道に疑問を持っていました。
拉致か、自主的な出頭か、香港で区議選が行われるまさにその直前、この問題に関する新たな証言が出てきたのです。オーストラリアの複数のメディアに「書店員の拉致と誘拐に関わった」と証言したのは中国のスパイだったと主張する「ワン」という男性。書店員のうち1人の拉致のほか、香港大学の学生活動家の個人情報を集めるなど民主派に対抗する工作活動をしていたといいます。
一方、この件に関して上海の警察はSNS上に「中国のパスポートと香港の永住証明書は偽造」とコメントを出し、反論。
詐欺事件で有罪になって手配中だとして「外国メディアでスパイと報じられたワン氏は逃亡中の犯罪者にすぎない」と主張。今後も捜査を続けるとしています。ワン氏は現在もオーストラリアに滞在中で、「中国に戻れば死刑になる」として亡命を申請しています。
広告
広告