「スパイになるよう打診」 中国が豪に工作員を?[2019/11/26 15:41]

 オーストラリアでまた中国人スパイによる疑惑が報じられました。中国のスパイがオーストラリアの議会に議員を送り込もうと工作活動をしたとして、オーストラリアの情報機関が捜査していることが分かりました。

 オーストラリアの治安情報局は、中国政府が中国系のオーストラリア人を工作員にして連邦議会に送り込もうとしていた疑惑について調査をしていたことを明らかにしました。オーストラリアのメディア「ナイン」が24日に報じたところによりますと、中国のスパイがオーストラリアで高級車のディーラーをしていたボーという人物に接触。
 オーストラリアの政治に干渉するため、5月の議会選挙に立候補するよう持ち掛け、その報酬は日本円で約7400万円(100万豪ドル)だったということです。
 しかし、ボー氏はスパイからの提案を治安情報局(ASIO)に相談。調査が始まりました。しかし、謎の死。今年3月、ボー氏はホテルの部屋で遺体で見つかったのです。死因は分かっていません。
 モリソン首相:「非常に不安で憂慮すべき疑惑だ」
 この件に関し、治安情報局は24日に「敵対する外国の情報活動は我が国と我が国の安全保障に対する脅威となっている」と声明を発表し、積極的に捜査していることを明らかにしました。
 オーストラリアと中国では今年に入り、「スパイ」が拘束されたり、スパイ疑惑が報じられる事案が相次いでいます。
 中国では1月に中国系オーストラリア人の作家の男性がスパイ容疑で拘束され、その後に逮捕されました。男性は外部との接触も制限され、オーストラリア政府は「重大な懸念」を表明していました。一方、オーストラリアでは23日に「中国のスパイ」だったという男性のワン氏がメディアに香港や台湾で行った工作活動を証言。5年前、香港で書店員らが行方不明になった事件では「拉致・誘拐をした」と話したうえで、オーストラリアに情報を提供し、亡命を希望していると報じられたばかりです。
 中国当局はメディアに証言したワン氏を「スパイではなく、単なる逃亡中の犯罪者」と批判。オーストラリアでの一連のスパイ報道について、激しく反論しています。
 耿爽報道官:「中国を誹謗中傷し、信頼を傷付ける茶番劇を演じていて、全く信じるに値しない」

こちらも読まれています